第33話 6歳、日常 6
「...?」
あんな建物、あったっけ?
とある夏の昼下がり。
日課のランニングの途中、俺あることに気づいた。
いつも走っているランニングコース。
そこから見える大きな山、ペルーナ山の麓あたりに建物が建っているのが見える。
いつも走っているから見慣れた景色のはずなのだが、その山の麓に建物が建っていた記憶は無い。
そもそも、昨日も同じ道を走っていたから、俺が気付かないことはまず無いだろう。
だとすれば、あの建物は昨日の夕方から今日の昼までに建てられたということになる。
はたして、そんな短期間で家が建つのだろうか?
「ん〜...」
(...行ってみるか)
ザッ
リーゼルは好奇心に負け、いつもの道を脇に逸れる。
夏の日差しはリーゼルを燦々と照らしていた。
ザッザッ...ザッ
「ここか...」
ペルーナ山の麓、そこに広がる森の中に木造の屋敷が建っている。
木漏れ日に照らされた屋敷は、まるで、ずっとそこにあったかのような重厚感があった。
(大きいな...)
近づいてみて、まずその大きさ驚いた。
この距離で、俺の視界に全貌が入らないほどの大きさ。
ランニングの道から見えていたのは、ほんの一部だったようだ。
ひょこっ
「見えないか...」
俺は屋敷の窓を覗くが、カーテンが閉められていて中が見えない。
中を確認するには、正面から入るしかなさそうだな。
ザッザッザッ...
ザザッ
「...ここだけか」
とりあえず、屋敷を一周してみたが出入り口はパッと見一箇所だけ。
そして、今はその一箇所の前なのだが...
(デケェ...)
目の前には、俺が見上げる大きさの扉があった。
「ふん!」
ぐぐぐ...
やっぱり押しても開かないか...
そもそも、この扉は押戸なのか?
引き戸って場合も...
まぁどちらにせよ、俺の力じゃ動かせないか...
(...ん?まてよ?)
この扉、変な金具が付いてるな。
この形...地球で昔使われてたドアノッカーってやつに似てるな。
たしか、呼び鈴と同じ役割を果たしたものだったはずだ。
しかも、やけに低い位置に付いている。
背伸びをすれば俺でも届きそうだ。
(もしかして...)
叩いたら開くのか?
「ん〜...」
無いかなぁ...
まぁでも、何もしないよりはマシか...?
「ふっ!」
...ゴンゴン!
「...」
まぁ、だよね。
(...帰るか)
そして、リーゼルは扉に背を向ける。
その時だった。
...ドン!!!
「!?」
リーゼルは突然の音に驚き、後ろを振り向く。
「嘘だろ...この扉...」
押戸だったのか...




