第2話 誕生
(・ー・・ー・ー・・ー・ーー・・...)
なんだ?この音...
微かに音が聞こえる。
本当に微かだが、たしかに聞こえる。
耳鳴りや幻聴ではない。
(ーー・ーー・ー・ーーー...)
...声?
誰だよ、一体...
その音は、"声"だった。
誰かに話しかけているように聞こえる。
だが、その相手は俺ではないようだ。
(ー・・ー・・・ー・ー・ーー...)
静かにしてくれ...
俺はもう、生きていない...
あの日、俺は死んだ。
それは紛れもない事実だ。
そんな事、俺が一番よく分かっている。
...ガタン!
ん?なんだ...
揺れ...なんで?
あの声からどれほど経っただろう。
俺は突然の音と揺れに驚く。
その音は、以前聞いたものよりも大きく、うるさかった。
(あれっ...浮いてる?)
その時、俺は液体に浸かっているような感覚がした。
あの時は、何も感じなかったのに...
そしてもう一つ、俺はある事に気づく。
(身体が...)
そう、俺には指や手足の感覚があった。
液体が溜められた、なにか狭い容器のようなものの中に閉じ込められているようだが、手足が動かせる。
動かしづらいが、指も曲げられる。
ポン
俺は試しに、"壁"を蹴ってみる。
すると、むにゅっ、となにか柔らかいものに当たった。
(...なんだ?)
俺が壁を蹴ると、謎の揺れがくる。
壁が伸縮して、音がしているようだ。
少しすると伸縮は治まった。
一体、自分に何が起きているのか...
俺には想像もできなかった。
それから、いくつかの時が過ぎ...
俺の意識がだいぶハッキリとしてきた。
だが、未だに"箱"から出られない。
(暇すぎる...)
そもそも、俺って生きてるのか?
あの時、たしかに死んだよな...
まさか、この"箱"が生命維持装置で、俺は生かされている...とか?
...って、さすがに現実的じゃないな。
(ー・・ー・・・ーーーー・ー・・・ー・・...)
(...ん?なんだ?)
最近は、"声"がよく聞き取れるようになってきた。
意味はよく分からないが、声色からおおよその表情は分かる。
今回の声は..."喜び"か?
心配な様子も少し感じ取れる。
...それにしても、この声を聞くと妙に落ち着く。
なんと言うか、包み込まれるような...
とにかく不思議と安心するのだ。
一体、何故だろう...?
...ザザッ
!?
なんだ?
突然、"箱"が縮小を始め"壁"が俺の体に密着する。
潰される...!?
一体、何が...?
俺は、遂に身動きが取れなくなった。
「ッん"ん"ん"!!」
喘ぎ声...?
状況が掴めない...
そんな状況が、おそらく数時間続き...
...!
その時、俺は"光"を見た。
長らく見ていなかった"外"の光...
「...ッ!ん"ん"っ!ふうぅー...」
...オギャアァァァ!
(...ん?)
なんだ?今の声...
赤ちゃんの泣き声...?
ここは病院か?
俺はゆっくりと目を開ける。
(天井...)
あっ、俺仰向けになってるのか。
(よいしょっ...ん?)
あれ?寝返りが打てない...
というより、体が思うように動かない。
どうなってるんだ?
「はぁ、はぁ...」
(うおっ!?なんだ?)
俺は何者かに抱き寄せられる。
その誰かは俺を抱き寄せると、俺の額と自身の額を合わせる。
(うわっ、すっげー美人...)
俺と額を合わせたのは、他に類を見ないような美女だった。
金髪のロング。
整った顔に、水色の目(多分カラコン)。
下を見れば、吸い込まれるような谷があった。
こんな美人、今まで見たことがない。
誰なんだ?
名前聞けないか...?
「あー、あう」
(...えっ?)
「うー」
なんだ今の...
俺の声...なのか?
発声器官がやられてる..?
...ん?
俺、足ついてない...?
そういえばこの人、どうやって俺を...
俺、175cmはあったよな?
それをこんなに軽々と...
...一体、どうしちまったんだ?...




