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廻生のアリア  作者: jurabisu
第一章
15/107

第15話 4歳、王都レドラム 5

...パクッ

もぐもぐ...


(...美味い)


今までリーニャの手作りを食べてきた俺からしたら、とてつもないご馳走だ。

まぁリーニャの手作りも食えない訳じゃないが...

(味が無かったり、火が通ってなかったり...)


...パクッ


ガチャッ


「ん?...」

「あっ、リーゼル起きたの?」


ドアが開いたと思ったら、リーニャが部屋へ入ってくる。


もぐもぐ...

ゴクッ


「ふぅ...疲れたぁ〜...」

「お母さま...一体、今までどこに行ってたんですか?」

「えっ!?あ、えっ、とぉ〜...」


俺がさりげなく訊くと、リーニャの言葉が詰まる。

その目線は明後日の方向を向いている。


リーニャは時々、こうして目が泳ぐことがある。

なんかわざとらしいが、当の本人には自覚がないらしい。

なんかあったなら、あったと言えばいいのに...


何を隠しているのか?

なぜ隠しているのか?は気になるが、無理に教えてもらおうなんて考えてはいない。


「星夜祭の準備...ですか?」

「あっ、そう!それ!」

「疲れてるですか...?」

「ん?そうね...ちょっと疲れたわ」


リーニャは俺の向かい側に座り、机に置かれた朝食からパンを一つ手に取る。


ぱくっ


「あっ、これ美味しい...」

「...お母さま、お仕事の準備は終わったんですか?」

「ん〜...だいたい終わったのだけど、水晶玉がねぇ...」

「無くてもいいんじゃないですか?」

「ダメ!水晶玉は占いの命なのよ?...普通は...」


「普通は」って...

リーニャは普通の占い師じゃないのかよ...


「はぁ...でも、水晶玉なんて普通に買える物なんですか?」

「そう、ねぇ...前割っちゃったのはお師匠様に頂いた物だから、相場は知らないわ」

「それは、困りましたね...」


師匠...?

リーニャにそんな人がいたのか。


まぁそんなことは置いといて...


話を要約すると、この世界では水晶玉一つで占いの信憑性が変わるということだろう。


今までリーニャが水晶玉を使わずとも占えるのに水晶玉を使っていたのも、これが原因だろう。

どんな占いをしても、信じてもらえなければ意味は無いからな。


だが、自分で買ってないとなると再入手は困難だろう。


相場も分からなければ、入手場所も分からない。

ここに来る前にリーニャが水晶玉を割って困っていたから、宿を探している時に探してはいたが...

それっぽい店や、水晶玉そのものは見られなかった。

やはり、それなりに貴重な物なのだろう。

(占い師が使うくらいだしな)


「そのお師匠様?とは、連絡は取れないんですか?」

「ええ、もう10年以上連絡が取れてないわ...」


10年以上...

今から再会は厳しそうだな...


「ん〜...」


パクッ

もぐもぐ...


何かいい案がないものか...


「あ、お母様」

「ん?」

「それって水晶玉以外じゃダメなんですか?」

「え?」

「え?」


おっと?

なんだ、その"考えもしなかった"みたいな反応は...


まさか、大した理由も無く水晶玉にこだわってたのか?


「えっと...多分、ダメなんじゃない?」

「多分...?」

「なに、その目。お母さんを信じてないの?」

「そういう訳じゃないですけど...」

「...でも、そうよね。あやふやな情報を鵜呑みにするのはダメよね」


なんか分かってくれたみたいだ。

だが、何の解決にもなってない。


せめて、この世界のスタンダードが分かればいいんだが...


ふと、リーゼルは窓の外を見る。

そこにあったのは、様々な商品が陳列されたテントの並ぶ通り。


中には、使用用途の分からない道具や奇怪な食材、何かしらの本など、実に多様な物が見て取れた。


「どうしたらいいのかしら...」

「...あ!色んな物を試してみたらどうですか?」

「試す?」

「はい。色んな品物が集まってるなら、水晶玉の代替品の一つや二つ見つかるんじゃないですか?」

「確かにそうね...ちょうど水晶玉も飽きてきたし、探してみようかしら?」


どうやら、代替品案に前向きになったようだ。


新しいモノは中々世間に広まりにくいが、ちょっとしたキッカケで爆発的に浸透していく可能性を秘めている。


もしこれで、以前より客層が広がったりすれば、それだけ収入アップに繋がるからな。

そうなれば俺達の生活も潤って、今より暮らしの選択肢も増えるはずだ。


「...あ、リーゼルも着いてくる?」

「いいんですか?」

「せっかくのお祭りだもの。ずっと室内っていうのも退屈でしょ?」

「お母様が大丈夫なら...行きたいです!」

「そういうと思ったわ。さ、行きましょ」


リーニャに手を引かれ、リーゼルは宿を後にする。


活気づいた人々の声。

陳列された品物の匂い。

そんな賑やかな街の様子に、リーゼルは密かに胸の高鳴りを覚えた。

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