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魔力無しですが溺愛されて聖女の力に目覚めました  作者: しろまり


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94. 今まで聖女の力を使えなかった理由

手紙を読むことなく対処も全て人任せで、思い浮かんだのはゴードンだけなんて、私は酷い人間だわ。


「やっぱり私は薄情者ですね」

「そんなことはない」


ポロリと零れた心の嘆きを、シリウス様は即座に否定した。


「アリシアは薄情ではないよ。僕や父上達だけではなく使用人達にも、あれほど優しく出来る人が薄情なわけがないだろう? アリシアは人に情を掛けられる人だ。決して薄情者ではない。僕が断言するよ」


シリウス様の力強い言葉に、胸の中にあった薄暗い靄が晴れていく。


やっぱりシリウス様は強くて優しいわ。


シリウス様がいてくれたら、私は何があっても、どんなに辛いことがあっても平気だと思えた。


「むしろ薄情なのは彼らの方だよ。あんな酷い仕打ちを我が子にして平然としていられるなんて、人の親とは到底思えないね。学園の生徒達だってそうだ。アリシアを尊敬して慕い、時には助けられていたというのに魔力の有無だけで否定した。学園側だって同じだよ。アリシアの能力を認めていたのに、魔力がないとなった途端に蔑ろにした。それなのに聖女という価値を見出したら、己がしたことを反省せず、本来ならば自ら訪れて謝罪すべきところを、謝ることなく手紙で呼びつけるなんて。思いやりがなく自分本位な彼らこそ、薄情者と呼ぶべきだ」


憤った様子のシリウス様はティーカップを手にすると、憂さを晴らすように紅茶を一気に飲み干した。即座にフェリシアが、おかわりをティーカップに注ぐ。


シリウス様は怒っているのに、それがなんだか嬉しくて胸がくすぐったい。


不思議な気持ちだわ。

あぁ、不思議と言えば―――


「ダノン国では魔力を何よりも重んじているのですから、彼らの反応は当然のことだったのだと思います。私には神聖力はあっても魔力はない。彼らの価値観では、私は“無能”のはずです。だから、このような手紙が来るのが不思議なのです。それほど聖女には価値があるのかと」


私が首を傾げると、シリウス様だけでなくマリー達もキョトンと目を丸くした。


あら?

私、変なことを言ったのかしら?


「アリシアは聖女について、まだ詳しく知らないんだったね」


そう。

シリウス様の言う通り、まだ私は聖女の勉強をしていないの。


「まずは希少性。現在、聖女はアリシアを含めて世界に4人しかいないんだ」


えっ! 世界に、たった4人なのですか?!


「次に貴重性。前にも言ったけど、ポーションを使わない限り治療が出来るのは聖女の治癒魔法だけ。しかも治癒魔法は、ポーションでも治療不可能な重症患者ですら治すことが出来るんだ」


なるほど、ポーションでは治療が難しい重篤な怪我でも聖女の力なら治せるのね!


「それから一番重要視されるのは、やはり『聖女の祈り』と『聖女の加護』だろうね」

「聖女の祈り?」


加護は聞いたことがあったけど聖女の祈りとは、どう違うのかしら?


「聖女が祈りを捧げることによって、自然環境に干渉できるんだよ。それを聖女の祈りと言うんだけどね。例えば、魔獣を退ける結界を張ったり、川や海の汚れを浄化したり、土地を豊かにして作物の収穫量を増やしたり」


まぁ、聖女の祈りは色々なことが出来るのね。すごいわ!


「つまり国を潤すこと、発展させることが出来るんだ」

「えっ、国を?」


そんな大規模な力なの?と思ったところで、ハッと気づいた。

山越えの時にシリウス様とお義父様達が話していたことを。


「だから、ダノン国王が私を取り戻そうとするかもしれないと?」

「うん、国の利益になるからね」


そんな……シリウス様と離れるなんてイヤよ。


「あ、その問題については父上が対処するから心配いらないよ。父上は、その方面に強いからね。それに僕だってアリシアを渡す気はないし」


僅かな焦燥に気付いたのか、シリウス様は安心させるように私の肩を撫でた。それだけで私の不安は吹き飛んでしまう。それを察したのか、シリウス様は話を続けた。


「それから、加護には願いに合わせて様々な効力があると言われているね。中には、個人に幸福や富を与えた例もあるよ」

「えっ、まさか……だから、こんなに沢山の手紙が?」

「そうだろうね。どれもこれも聖女の力にあやかろうと、加護を与えてもらおうという打算が見え見えだから」


聖女だから、皆が私を求めているの?


もしも生まれた時に私が聖女だと分かっていたら、クラディア家の人達は私を愛してくれたのかしら。幼い頃から欲していた愛を、私にも注いでくれたのかしら。


せめて、魔力検査の時に聖女だと判明したのなら学園のクラスメイト達も教師も……そう思った時、ずっと気になっていた疑問が口から漏れた。


「どうして、今まで私は聖女の力を発揮できなかったのでしょうか?」


魔力と同じで神聖力も生まれた時から持っている力ならば、どうして今になって使えるのか。


何故、今まで使えなかったのか。


もしも、もっと早い段階で使えていれば、あんな思いはしないで違う人生を歩めたのだろうか。


そんな考えが次々と頭に浮かぶ。


「それは、アリシアの心が満たされず疲弊していたからだろうね」

「満たされず、疲弊?」


予想もしないシリウス様の答えに、私は復唱しながら首を傾げた。


「アリシアが聖女かもしれないと思って聖女について調べた時、文献に『とある聖女が力を失った後、取り戻した』って記載があってね」

「え、聖女の力は失われる事があるんですか?」

「そうなんだよ。この聖女は教会に属していたんだけど、力を失ってしまった。ところが、教会を出て隣国へ渡ったら、聖女の力を取り戻したと言うんだ」

「一体どうして、そんなことに?」


何があって力を失い、そして取り戻したのかしら?


私も同じ道を辿るかもしれない。

そう思うと、詳細が気になった。


「実は、その聖女は教会で力を酷使され、しかも平民だからと冷遇されていたらしい」


力を失うほど酷使されたなんて……どんなに過酷な状況だったのだろうかと想像して、胸が痛んだ。


「それが隣国で平穏を手に入れて、幸せになると力が戻ったという」


その聖女が幸福を得られたと聞いて、今度はホッと胸を撫で下ろす。


「この事から―――冷遇されて疲弊した所為で聖女の力は失われ、また心身ともに健全になると力を取り戻した事から、聖女の力には精神面が大きく影響されると考えられるようになったらしいよ」


聖女の力に精神面が関係しているとは思ってもみなかった私は、ただただシリウス様の話に耳を傾けるだけだった。


ちなみにですが、アリシアは聖女の価値をイマイチよく分かっていないんですけど、マリーは常識的に知っているので、自分の価値が分かっていないアリシアにキョトンとしたわけですよ。


アリシアより聖女の価値をマリーは知っているわけですよ。え、なんでアリシアは知らないのかな?←自分で書いておいて言う?笑


あれですね、外に出られなかったアリシアは一般常識を知らないまま、知識の方向性を専門(経済学とか)に振ってしまったからですね。

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― 新着の感想 ―
成る程ですね。 バランス良く知識の蓄積なんて、環境が安定したものでなければ中々出来ないものですものね。 ましてや一般常識は親との会話の中で、そして生活の中で言葉や態度によって得られていくもの。 褒めら…
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