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魔力無しですが溺愛されて聖女の力に目覚めました  作者: しろまり


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86.その一線の中へ(途中からシリウス視点)

お義父様達に『もっとシリウスに我儘を言うといい』『シリウスを頼って甘えなさい』と言われた所為なのか、川や森の雄大な自然を目にして気が大きくなってしまったのか、はたまたシリウス様に『望みを聞かせてね』と言われた所為なのか、私の中で何かが……そう、タガが外れてしまったみたいなの。


それはきっと―――どんな時もシリウス様は私を受け入れてくれて、愛を示してくれた。そのおかげで、自分に少しだけ自信が持てたからでもあると思う。




馬車に揺られている時、ふと向かいに座って本を読んでいるシリウス様の手が目に入った。


(手、繋ぎたいなぁ)


ハッ、私ってば何を?!


外にいる時は危険だからと手を繋ぐか、腕を組んでいるけれど、ここは馬車の中なのだから不要なことよ。


私、どうしたのかしら?

いつも手を繋いでいたから、恋しくなってしまったの?


ジッと一点を見つめている私に気づいたシリウス様が顔を覗き込んできた。


「どうしたの? アリシア」

「へぁ?! い、いいえ、何でもないです」

「アリシア?」


何でもないと言ったのに疑っている様子で、今度はシリウス様がジッと私の目を見つめてくる。


(ひゃぁぁ!!!)


澄んだ青い瞳、長い睫毛、きめ細かい肌、スッと通った鼻筋、血色のよい形の整った唇。


シリウス様は、ご自身の顔がとても素晴らしく、ある意味で凶器にもなるのだと自覚された方がいいと思います!


「アリシア、教えて?」


顔を赤くした私の耳に、眉を下げたシリウス様の声が甘く響いて思考力が奪われていく。恥ずかしいのに、抑えきれず私の口からは小さく零れてしまった。


「手を……繋……いなと」

「ん?」

「手を繋ぎたいなと思ったのです」


聞き返されて、少し大きくなった私の声を聞いた瞬間、シリウス様はキョトンと目を見開いた。


「でも、ここは馬車の中ですし、それに」

「ふふふっ」


言いかけた言葉を遮るように、シリウス様は笑いながら本をパタンと閉じて立ち上がると私の横に腰かけた。


そして私の手を掬っていく。


「僕の奥さんは可愛いね。いつでも、どうぞ。アリシア、手を繋ぎたい時は遠慮しなくていいからね」


温かくて安心するその手に包まれて嬉しくなる。


でもシリウス様はいつも余裕の笑みで、それが何だか悔しいような、羨ましいような!


******


境界線のなくなったアリシアは凄かった。


プロポーズ以降、いや互いの気持ちを確かめ合った日以来、アリシアは僕を境界線の中に入れてくれたようで、距離感が縮まっているのが分かる。


そして『もっと我儘を言って欲しいし、甘えて欲しい』と言ったことがキッカケだろうか。それともハーゼの森で『もっと君の望みを聞かせてね』と言ったお陰だろうか。


アリシアは望みを僅かながら口にしてくれるようになった。

それが嬉しくて堪らないのだが―――


手を繋ぎたいと言った時のアリシアは、すごく可愛かった。

でもアリシアの行動はそれだけでは終わらなかったのだ。


あれは、ある貴族の別宅を宿として使わせてもらった時のことだった。


お茶を部屋で飲んでいたのだが……マリー達が下がって二人っきりになると、隣に座るアリシアが僕の服の裾をキュッと掴んだ。


どうしたの?と聞いてみれば、アリシアはキョトキョトと目を左右に揺らして照れながら


「う、腕を組んでもいいですか? あ、いえ、座っているのに腕を組むなんて、おかしいですよね」

「別に、おかしくはないよ。はい、どうぞ」


小脇を開けるとアリシアの手がそっと伸びてきて、僕の腕を抱きしめるようにギュッと包み込んだ。そして僕の肩口に、コツンと頭を寄せる。


アリシアは、とても嬉しそうに顔を綻ばせていたが……。


(ア、アリシア……む、胸が、胸が当たって……僕は試されているのだろうか?!)


またある時は、アリシアが手をモジモジさせながら僕に何か言いたそうにしているので、どうしたのかと尋ねると


「抱きついても、いいですか? はしたないでしょうか?」

「大丈夫だよ。おいで、アリシア」


僕が笑顔で両手を広げると、アリシアはスススッと僕の胸元に身を寄せる。


か、可愛い!!

アリシアが、こんなに甘えてくれるなんて!


思わず抱きしめると、アリシアは“ふにゃり”と蕩けるような顔で頬擦りして、僕に身を委ねた。


(んんん! 僕は一体何を! 試されているんだ!)


境界線のなくなったアリシアは、とにかく凄かった!!


******


また別の日も、アリシアがモジモジしながら僕を見ていた。


「アリシア、わざわざ断りを入れなくても僕に触れていいんだよ」


僅かに手を広げながら言うと、おずおずとアリシアは僕の手を握った。

そしてニコリと微笑みを向けてくる。


可愛い!!


思わず天を仰ぐ。握られているアリシアの手を引き寄せると優しく頬を撫でた。

アリシアは嬉しそうに顔を寄せてくる。


これは……キスを……いや、してもいいのか……?


今頃、父上が判を押してアリシアとは夫婦になっているはず。

それならキスぐらい許されるだろう。


いや、しかしアリシアはそんなこと考えていないはず……愛されることを知らなかったんだ、今はもっと、ゆっくりと時間を掛けていくべきだろう。


そうだ。まだ僕達にキスは、ちょっと早い。


でもアリシアの顔を見ていると口付けたくなるから見えないように、その顔を僕の胸にギュッと抱いた。アリシアは一瞬驚いたようだったけど、すぐに目を細めて僕の胸に頬擦りする。


ふと視線を感じて顔を上げると、フェリシアがジトーッとこちらを見ていた。

その顔には『ヘタレ』と書いてあるようだが、僕は無視する。


いいんだよ!

僕達には、僕達のペースがあるんだから!


自分達以外の存在に気づいたアリシアは「あっ」と声を上げると、パッと僕から離れ、フェリシアに苦笑いを向けた。そんな恥ずかしそうにしているアリシアにフェリシアは近づく。


「アリシア様、今後のこともありますから申し上げますが、わたくし達や使用人がいても気になさらないでください」

「え?」

「王城に行けば、わたくしやジュリアン以外にも護衛がつきます。しかし、私達のことはいないものとして行動されてください」

「え、でも」

「どうか私達のことは空気だと思って、存分にシリウス様とイチャイチャしてください」

「イ、イチャイチャ!!」


真っ赤になって俯くアリシアも、とても可愛かった。

もっと愛して、もっと可愛がって、アリシアを満たしたい。


そうして僕とアリシアの境界線を一つに。

アリシアの暴走?ですかね笑

今まで我慢していた”甘える”が出来て、アリシアのタガが外れてしまったんです。

シリウスに愛されて、やっと、甘えていいんだってなれたアリシア。

触れ合うと、その体温の心地よさに”もっと”という気持ちが溢れてきちゃうんですねぇ。

引っ付き虫になっちゃう未来が見えるんですけど、アリシアに邪心はないので、耐えろ、シリウス!って感じです(^ω^)

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