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魔力無しですが溺愛されて聖女の力に目覚めました  作者: しろまり


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46.衝動の結果

ふっと目が覚めた。

ここは……自分の部屋だ。


横を見ると、私が起きたことに気づいたマリーが慌てた様子で部屋の外に声を掛けた。


「お嬢様が目を覚まされました!」


何があったのだっけ?


あぁ、そっか、私……窓から飛び降りたのだった。

どうしてそんなことしたのか、自分でもよく分からない。


あれ? どこも痛くない?

あの高さから落ちたら、怪我しているだろうに。


そう思って起き上がり、身体のあちこちを触ってみるけど、痛みがなければ違和感も不快感もなかった。


「無傷……?」


あの後どうなったのか、記憶を辿る。

そういえば、あの時シリウス様の声がしたような……。


「アリシア、入るよ」


掛け声と共に扉が開くと、シリウス様が部屋に入って来る。

私の部屋の近くにシリウス様がいたから、マリーは外に呼び掛けたのね。


「アリシア、大丈夫かい? どこか痛いところはない?」


心配だと眉を寄せたシリウス様はベッドの横に腰かけると、私の顔色を窺っている。


「はい、どこも痛くありません」


さっき確認していてよかった。

おかげで、ちゃんと答えられる。


普段通りの私を見て、シリウス様は安心したような表情を浮かべた。


「君が無事で良かった」

「あの……」


何で怪我どころか掠り傷一つないのか不思議に思っていると、少しずつ詳細を思い出してきた。


そうだ。

あの時、目の前にシリウス様が……確か抱きしめられていたような。

それから聞きなれない言葉が聞こえた気がする。


「ごめんね。咄嗟のことだったから、君をずぶ濡れにしてしまった」

「ずぶ濡れ?」

「風魔法で着地出来れば良かったんだけど……慌てていたから、つい得意な水魔法を使ってしまってね」

「水魔法?」

「うん、水球を出してそこに着地……いや、着水か。衝撃を和らげるためにね」


シリウス様のおかげで無傷なのね。

そのことにも驚いたけど、それ以上に驚いたことがある。


「シリウス様は魔法が使えるのですか?」

「えっ?……あー、うん」


頬を掻きながら、困ったようにシリウス様は笑う。

それもそのはず、この国ではメラルーシュ学園を卒業した後に魔法を習うのだから。


逆に言えば、学園を卒業した後でないと魔法を学べない。

卒業前に家庭教師や他の方法で学ぶことは禁止されている。

では、シリウス様はどこで魔法を習得したのだろう?


「そのことについては、いずれ話すから。今は誰にも言わないでね」


人差し指を口に当て、そう釘を刺された。

“誰にも言わないで“と言われたけど、話す相手もいないのだから心配は無用だわ。

そしてシリウス様がそう言うのなら、いつか話してくれるのだろう。

私は特に追及することなくコクンと頷いた。



それから暫しの沈黙が訪れた後、シリウス様は静かに口を開いた。


「アリシア、学園に通うのは辞めないかい?」


シリウス様の突然の提案に、驚いた私は叫ぶように声を張り上げてしまう。


「そんな! 学園に通わなくなったら私は……!!」


私は……私は認めてもらえなくなる!!!

そう強く思った。


(えっ?)


自分で思ったことなのに、自分で疑問に思う。

認めてもらえなくなる? 誰に……?


確かに、初め私は学園に通いたいと思った。

それは、あの家の外に出たかったから。外の世界を知りたかったし、勉強もしたかった。


それに、もしかしたら友達が出来るかも、自分の居場所が出来るかも……と期待もしていた。


でも……あぁ、心のどこかで、学園で優秀な成績を収めれば父に認めてもらえる。母に愛してもらえる。


そんな期待もしていたのだと、今更ながら気づいた。


本当に今更だ。

私は“魔力無し”の無能で、すでに両親からは捨てられたのだから。


それなら学園に通う理由は何?

友達だと思っていた人達も、居場所だと思っていた場所も、もうないのに……。


ふいに押し黙った私を見て、シリウスは沈痛な面持ちでいる。


「アリシアが辛い思いをするぐらいなら、傷つくなら行かない方がいいと思う。けれど君にとって学園が大事な場所ならば、望むならば行ったらいいとも思う。アリシアの好きなようにしていいんだよ」


そっとシリウス様は、私の頬に触れて優しく撫でる。


「でもね、無理してはいけないよ。苦しいと思うなら、嫌だと感じたなら、いつでも学園は休んだらいいし、辞めたらいい……追い詰められて、あんなことをするぐらいなら」


そう言われてハッとした。

シリウス様は泣きそうなぐらい顔を歪めている。


「私、死にたかったわけではないです!!」


何故あんなことをしたのか、自分でも分からない。

一歩間違っていれば、いやシリウス様がいなければ、間違いなく死んでいただろう。


実感した途端、急に怖くなって手が小刻みに震え出した。


「うん、分かっているよ。あれ程の努力をする君が、それを無にするようなことはしないだろう。ましてや自分の命を粗末にするわけがない」


衝動的な行動だったと、シリウスも分かってくれているみたい。


落ち着かせるように、シリウス様の手が私の手に重なる。

その温かさのおかげで、震えは徐々に治まっていく。


そして「分かっているから、大丈夫だよ」と私の頭を撫でると


「とりあえず、ゆっくり休んで」


それだけ言い残して、悲しそうに微笑んだシリウス様は部屋を立ち去った。

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