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魔力無しですが溺愛されて聖女の力に目覚めました  作者: しろまり


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39.原因:睡眠不足

シリウス視点になります。

廊下を歩いていたら、血相を変えたフェリシアが飛び出してきた。


「何かあったのか?!」


その珍しく取り乱した様相に、只事ではないと察する。


「シリウス様! アリシア様が倒れられました!」

「なんだと!」

「それで、お医者様を……」


そう言いかけたフェリシアの声を遮るように


「ジュリアン!」

「はっ、手配して参ります」


名前を呼んだだけで意図を汲んだジュリアンは、すぐさま駆け出して行く。

次にフェリシアに目配せすると彼女はコクンと頷き、僕を先導するようにアリシアの部屋へと向かった。


部屋の扉をバンッと音を立て無造作に開け放つと、そこにはアリシアを膝に抱くマリーの姿が。

僕は「アリシア!」と呼びながら駆け寄った。


「何があった?」

「お、お嬢様を、呼びに来たのですが……そしたら、鼻血を出されていて、そして倒れられて……」


マリーは狼狽えているようで、言葉が途切れ途切れになっている。

鼻血を…?

アリシアの顔を見ると、確かに血が。


「頭は打っていないか?」

「それは大丈夫だと思います」


アリシアの身体に触れると、とても熱かった。

その身に何が起きているのか気になりつつ、でもそれは医者が来るまで分からないことなので、せめて自分が出来ることは―――


僕はアリシアを抱き抱えると、そっとベッドに下ろした。


******



「お医者様をお連れしました!!」


暫くすると叫び声と共に、僕が開けた時よりも遥かに大きな音を立て戸が開かれる。

その音に皆が部屋の入口に注目すると、そこには医者を抱えているジョンがいた。


「ジョン?」


そう声を上げたのは誰だったか。

僕もフェリシアもマリーも、その奇妙な光景に思わず目を丸くして時が止まる。

そのジョンの後ろには苦笑いを浮かべるジュリアンの姿があった。


「さぁさぁ、お医者様! お嬢様を診てください!!」


僕達の戸惑いを気にすることなく、ジョンは医者をアリシアが横たわるベッドの脇にドスンと下ろした。


後から聞いた話だが、アリシアが倒れたと聞いたジョンは大層慌てたそうだ。

とりあえず走り出し、どこに行くのかと周りが聞くと「お医者様を呼びに!」と玄関へ向かおうとして「いや、それは既に他の者が馬車で呼びに言っているから」と止めると、今度は玄関を出て、馬車が来るのをまだかまだかとウロウロしながら待ち構え、やっと待ちに待った馬車が見えた時には“こっちだ、こっち!“と飛び跳ねるように手を振り、馬車が止まった瞬間、扉を壊す勢いで開け放すと医療鞄を抱える医者ごと掻っ攫うように抱き上げ、一目散にアリシアの元へと駆け出したのだという。




診察するということで、男性陣は部屋の外で待機となる。

そこでジュリアンは、ハッとしたように僕へ視線を向けた。


「シリウス様、学園に欠席の連絡をしてまいります」

「あぁ、そうだな。頼む」


ジュリアンもアリシアのことが心配なようで表情が曇っているが、そのまま一礼して去って行く。その間もジョンは、ずっとウロウロと歩き回り落ち着かない様子だった。


「落ち着け、ジョン」

「シリウス様は何で、そんなに落ち着いていられるんですか?」


それは、あたふたしたジョンがいるからだろうな。

医者が来るまでの間、僕も今のジョンのように余裕を欠いていた。

しかし動揺している時、自分より慌てている人を見ると冷静になるというのは本当のようだ。


「僕達が出来ることはないからな。今は待つしかない」

「うぅ、そうですけど……ハァ、シリウス様は俺より年下なのに、よっぽど大人ですよね」


項垂れたジョンに僕が苦笑していると、連絡を終えたジュリアンが戻って来る。

その時、スッと扉が開けられ「診察が終わりました」とフェリシアが僕達を招き入れてくれた。


部屋に入るなり、僕はアリシアの傍に行くと医者に容体を尋ねる。

何の病気だ? 大病でなければいいが……医者の口から、どんな病名が告げられるのか不安が募っていく。


「過労ですな」

「……はぁ? 過労?」


予想外の言葉に一瞬反応が遅れ、間が抜けた声が出てしまった。

大事なくて良かったと胸を撫でおろしたが、何故アリシアが?

そんな多忙に過ごしているわけでも、過酷な重労働をしているわけでもないのに?


「ちゃんと睡眠は取られていますか? おそらく睡眠不足が原因かと思われますが」


寝不足だと?

フェリシアとマリーを見ると、彼女達も不思議そうにしている。


「それから、ちゃんと食事は召し上がられていますか?」

「あぁ。それは三食、ちゃんと。小食ではあるが食べている」


睡眠については分からないが、食事については知っている。何せ、三食いつも一緒に食べているからな。ついでに、お茶の時間も。


「そうですか、それなら……あとは栄養ですな。肉のタンパク質を摂られた方がよろしいでしょう」

「分かった。他には?」

「3、4日は安静にされること。それから睡眠をしっかり取ることです。あと、これから熱が上がるでしょうから、その際はこちらの薬をお飲みください」

「分かった、助かったよ」


医者は鞄から薬を取り出しマリーに渡すと、身支度を整え立ち上がる。

見送るためジョンが近づくと、医者はビクっと身体を震わせた。


大方、先程のように抱きかかえられるのではと懸念しているのだろう。

かなり揺れていたようで、ここに着いた時は若干、目を回していたからな。


「ジュリアン」


僕が声を掛けると、ジュリアンは「私がお見送りを」と扉へ向かう。そう言われた医者は安堵の表情を浮かべていた。


(ふむ、肉か)


医者に言われたことを思い返す。

そう言われると、アリシアは肉類をあまり口にしないな。

もっぱら野菜や果物を好んで食べていて、次に魚類……サーモンのパイ包み焼きやイワナのムニエル、そうそうエビも好きなようでシュリンプソテーは好んでいるようだ。

きっとロブスターも好きだろうが、未だ食卓に上らない。

ジュリアン、どうした! ロブスターはまだか!


まぁ、アリシアに肉を食べさせるのは追々考えるとして


「さて、アリシアは寝ていないのか?」

「就寝時間には、ベッドに座って挨拶をされますが……」

「その後は明かりを消しますので、そのまま寝ているのだとばかり……」


フェリシアとマリーに状況を確認すると、二人は交互に答える。


「ふむ。では何故、睡眠不足など……」


原因が分からないと首を傾げていると、ジョンが「あの、いいですか?」と手を上げた。


「何か心当たりでも?」

「あー、多分ですけど、お嬢様あんまり寝てないと思いますよ」

「「「え?」」」


その言葉にジョン以外の皆、驚きの声を上げた。


「俺が夜に外の見回りをしている時、お嬢様の部屋から少しだけ灯りが漏れているので」

「それは、どのぐらいの頻度だ?」

「それは分からないですけど、俺が見回りしている時はいつもなので、多分毎日じゃないですか」


僕が尋ねると、ジョンは少し上を見ながら考えるように答える。

何だって? 毎日? いや、しかし問題はどのぐらいの時間かだな……


「お嬢様が『クラディア家にはランプがなかったけど、ここにはあるから勉強が捗る』って言っていましたし」


おっと、それはかなりの時間だな。

アリシアは勉強し始めると止まらないところがあるのを、図書館で一緒に勉強している僕は知っている。


「ジョン、それは何時間ぐらいなの?」


マリーの質問に、ジョンは“う~ん”と首を捻って答えた。


「見回りの時に見ただけだから、時間は分からないけど……お嬢様がクラディア家にいた時『月が出ている時は、その明かりを頼りに勉強して、出てない時間は眠って朝日と共に起きて、また勉強している』って言っていたから、ここでも同じような感じじゃないかな?」

「それって相当な時間数では? 月明かりと違って、ランプを手に入れたお嬢様なら際限なく……何で、もっと早く言わないのよ、ジョン!」

「え、いや、知らないとは思わなくて」

「お嬢様が倒れたらどうするの! って、もう倒れているのよ!」

「いや、まさか、そんなことで倒れるとは思わないし。数日ぐらい寝なくても、普通は平気だろう?」

「それはジョンみたいに屈強な筋肉バカの話よ! バカ!」


泣きそうな顔で食って掛かるマリーにポカポカと胸を叩かれたジョンは「悪かったよ~」と両手を上げて降参のポーズをとっている。


「まぁ、これで原因はハッキリしたな」


僕の言葉に一同が頷く。さて問題は……


「アリシアを、どう説得して眠らせるかだが」

「私達が心配したと、良心に訴えるのはどうでしょうか」


マリーの提案に、アリシアはそういうのに弱そうだと僕は頷く。


「それに加えて、クロフォード家では7時間以上眠るのがルールだと言うのは如何でしょうか?」


ルールや規則という言葉に弱そうなアリシアに有効だと思われるフェリシアの提案に、僕とマリーは「天才か!」と称賛の眼差しを向けた。

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