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魔力無しですが溺愛されて聖女の力に目覚めました  作者: しろまり


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37.アリシアの心の影

シリウス視点になります。

暫しの沈黙の後、拳を弱々しく見つめる僕を横目にフェリシアが「肝心なことですが」と尋ねてきた。


「ちゃんとアリシア様にお気持ちをお伝えしたのですか?」

「ちゃんと好きだと伝えたさ!」


勢いよく顔を上げ、フェリシアの質問に自信をもって答えたが、嘆かわしいと言わんばかりの視線が向けられる。


「ですが、アリシア様には1ミリも伝わっていないようですが。全然お心を射止められてはいらっしゃいませんよ」

「何故、伝わってないんだ?!」


僕は再び項垂れた。


まずは信頼を得ることからと、出来るだけ傍にいた。

学園では守るために、それ以外では時間を共有するため、少しでも僕を知ってもらうために、それに……


「デートだってしたし、贈り物だってしたのに……」


それなのに何故アリシアは僕と別れる前提でいるんだ?

あまりのすれ違いに悲しくなってくる。


「でも僕は別れる気もなければ、アリシアを手放す気もないのだが」


もう一度、気持ちを伝えた方がいいのか?

いや、しかし……アリシアがそう考えているということは、まだ心の距離があるということだろうか? まだ卒業まで時間があるから、どうにかしないと!


「あの……」


僕が考えいる間、同じように考えながら様子を伺っていたマリーは、おずおずと手を上げた。


「その、お嬢様は……自分は愛されるはずはないと思っているのではないかと」

「「「え?!」」」


マリーの思いも掛けない言葉に、僕達3人は驚きの声を上げた。

どういうことかと聞けば、マリーは言いづらそうに僕以外のフェリシアとジュリアンを一瞥した後、重く口を開いた。


「その……お嬢様は家族から虐げられていました。自分は愛されないのに、妹は両親から愛されている。そして、その妹から『私は愛される人間なの。でも、あんたは愛されない人間よ』と言われた所為か、お嬢様は“自分は愛されない人間”だと思い込まれているようで……自覚はされていないかもしれませんが」


何だって? キャロライン嬢はそんなことを言ったのか?

何故そこまでアリシアを嫌うんだ?


疑問に思いつつ言葉を詰まらせていると、マリーは心苦しそうに言う。


「その上、我が子のように接していた乳母も解雇されて……」

「「「乳母を解雇?!」」」


またも3人で声が揃った。

そんな……上級使用人でもある乳母は大事される存在のはずだが。


「はい。乳母が『アリシアお嬢様をキャロラインお嬢様と同じように愛してください』とお願いした所為で解雇されたのです」

「なるほど、クラディア伯爵の反感を買ったわけか」


察した僕の言葉にマリーは頷き、静かに続けた。


「それまで、お嬢様は使用人を家族だと思っていたようなのです。両親から見向きもされなくても、他の人達から見てもらえる。それだけで満足されていたようでしたが、乳母が解雇された時に両親と妹以外は、使用人という立場であって、自分とは主従関係になるのだと初めて気づかれたようで……それ以来お嬢様は使用人達に、どこか甘えてはいけないというように一線を引くようになりました。それは私達がクビにならないためという思いもあるようでしたが」


分かるよ。乳母や親しくしてくれる使用人は家族だと思ってしまうものだ。それだけ近しい存在だから。


でも、それは両親や他の大人達の使用人に対する態度を見たり、自身が成長するにつれ分かるようになるのだが……アリシアの場合は乳母の解雇がキッカケだったんだな。


黙って聞いていたフェリシアが口を開いた。


「つまりアリシア様は長年一緒にいた家族からも愛されず、愛情を示してくれる使用人達は立場的にそうしているだけと思っていらっしゃるのですね」

「そうだと思います。それに加えて学園のことが……」

「学園のこと? あぁ、魔力が無いと分かってからの周りの態度か」


“あのことか”と僕が言うと、またもマリーは頷いた。


「はい。お嬢様にとって学園は屋敷と違って、自分個人を見てもらえる場、心の拠り所のように思っていたようです。それなのに親しかった方々から冷たくされて……」


今度はジュリアンが口を開いた。


「あぁ、なるほど。使用人のように主従関係ではない人達からの親しみは、アリシア様にとって本当の愛情、この場合は友情でしょうけど、それが魔力が無いと分かった途端、裏切られた形になっているのですね」

「その通りだと思います。魔力検査の後から、あまり顔には出されませんが、お嬢様はそのことに大変ショックを受けていらっしゃる様子でした」


屋敷と学園以外の外出を禁止され、お茶会などの社交の場にも参加させてもらえなかったアリシアが唯一、手にした“外”の人間との交流。それがどれほど大切なものだったか、どんなに大事にしていたのか、信頼を裏切られたアリシアの心中を考えると胸が苦しくなった。


次に口を開いたのは僕だった。


「ということは家族から愛されず、使用人は立場上よくしてくれているだけで、信頼していた友人達からは裏切られ……それでアリシアは“自分は愛されるはずがない”と、より一層思い込んでしまったということか」


僕の言葉を聞いた3人は頷くように目を伏せた。


(そんな悲しいことがあって堪るか!)


絶対に気づかせてみせる。アリシアは愛されるべき人間だと。

僕は、魔力が無いからと蔑む者達からアリシアをただ守ればいいと思っていた。


常に一緒にいて、その視線から言葉から態度から、アリシアが見なくて聞かなくて済むように僕が盾となって庇えばいいと、そう思っていたのだけど……。


僕は考えが足りていなかったみたいだ。もっと問題は根深い。アリシアの心を解かすのは容易ではないようだ。


さて、どうしたらいい? 僕はアリシアのために何が出来る?

どうやったらアリシアを、そんな寂しいところから救い出せるだろうか。

お読みいただき、ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾

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