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魔力無しですが溺愛されて聖女の力に目覚めました  作者: しろまり


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25.君に花束を

左手は変わらずアリシアの手、右手は先程買ったオレンジが入った紙袋。

本当にいっぱいオマケしてくれたおかげで若干重い。

始めにオレンジを買ったのは失敗だったかな。


(でもアリシアが嬉しそうにしているから、いいか)


そう思っていると、アリシアは次の目標を捉えたようだ。


「シリウス様、あの白いものは何ですか?」

「あぁ、あれはブールドネージュだよ」


アリシアは、瓶いっぱいに詰められたお菓子を指差している。

そこは焼き菓子を扱う店だった。


ブールドネージュ? とアリシアは首を傾げている。

もしかして食べたことないのかな?


「嬢ちゃん、食べたことないのかい?」

「えっ、はい」

「じゃあ、試食を」


目敏く察知した店主はそう言って、アリシアと僕の手にポンと一つずつ乗せてくれた。


先程のこともあってか、アリシアはこちらを見ることなく口に入れている。

すると、ポポポンと花が咲いたように顔が綻んでいく。


「これは……サクサクしていてホロホロしていて、とても良い食感です! それに外側の粉砂糖の甘さと、中に入っているアーモンドかな? の風味がよく合っていて美味しいです!」


興奮気味に感想を述べていると、店主も嬉しかったのか上機嫌だ。


「嬢ちゃん、美味しそうに食べるね~。おじさん嬉しいからオマケいっぱい入れちゃうよ、買っていくかい?」


そう言われて、アリシアは輝いた瞳で僕と店主を交互に見てくる。

これは分かる。欲しいんだね。


「いただこう」


先程と同じ流れになった。



僕の右手と左手はさっきのままで、アリシアの左手には新たにブールドネージュが入った紙袋が追加された。


こちらもまた、オマケが大量で。焼き菓子だから重くないのが救いだろう。

はてさて、これであの店は採算が取れるのだろうか?


「あの、シリウス様。すみません……私、お金を持っていなくて……」

「そんなこと気にしなくていいんだよ。それとも僕はそんなに甲斐性なしに見える?」

「そ、そんなことは!」


冗談めかしに笑って言うと、アリシアは慌てて首を横に振る。


本当に気にしなくていいんだけど。それでもアリシアは気になるようだ。

あぁ、そうか……アリシアは与えられることに慣れていないのか。


「アリシア、君はもっと強請っていいんだよ。欲しい物は、何でも買ってあげるから」


我儘を言っていいんだと言うと、アリシアは何と返事したらいいのか分からないようで、薄く笑うように曖昧な表情を浮かべた。



それからも色々なお店を見て回っている内に、市場の端の方まで来た。


(そろそろ馬車に戻るとするかな)


そう思ってアリシアを見ると、その目線は一点に注がれていた。

そこにあったのは、色とりどりの生花が並ぶ花売りの店だった。


「あら、いらっしゃい。可愛いお嬢さん」


店の女主人はアリシアを見て、そう声を掛けた後、僕の方を見て「カッコイイお兄さんも」と付け足していた。


「お嬢さん、気になる花はあるかい?」


そう言われて、アリシアは一つの花を指差した。


「この花なのですけど、初めて見ました」

「あぁ、これはここら辺じゃ珍しいからね。チューリップって名前でね、隣国でよく見掛ける花だよ」

「へぇ、そうなんですね!」


感心するようにアリシアは頷く。

そういえば確かに、イングリルド国ではよく見るな。


「お嬢さん、好きな花は?」


そう聞かれて、少し考えてからアリシアは答えた。


「スイートピーです」

「そうかい、可愛らしいお嬢さんにピッタリだねぇ。スイートピーの花言葉は『別離』や『門出』と言われていてね。でも、それ以外に『ほのかな喜び』『永遠の喜び』なんて意味もあるんだよ」

「へぇ、そうなんですねぇ! 花言葉までは知りませんでした」


より感心しているアリシアに、女店主は「あっちも見てごらん」と種々の色のスイートピーが入った籠を指差した。


そしてアリシアがそちらを見て行っている隙に、僕の方へ近づくと


「お兄さん、あのお嬢さんと良い仲なんだろう?」


女店主が「見てりゃ分かるよ~」と言うので、僕は少し照れながら「そうです」と答える。


「男なら花束の一つも買っておやり! 花は食えないから腹の足しにもならないなんて言われるけど、女は花の一輪も貰うと、そりゃもう嬉しくて心が満たされるもんさ。それに想像してごらん、あの可愛いお嬢さんが綺麗な花を携えている姿を、あんたも見たいでしょ?」


とても商売上手だ。

でも言われるまでもなく、そう思っていた。


「彼女に似合う花束を一つ頼むよ」


屋敷に花がないわけではない。むしろ庭に出れば、沢山の花を見ることが出来る。

でも、それとこれは違うだろう。“特別”だと、アリシアに伝わるだろうか。


女店主は「あいよ」と明るく返事して、花を見繕い束ねていく。


アリシアは充分見て満足したのか、戻ってくると何の躊躇いもなく僕の手を掴んだ。

手を繋ぐのを習慣にするのも、悪くないかもしれないな。


「アリシア、ちょっと待ってね」


僕は硬貨と引き換えに、花束を受け取る。

それは三色のスイートピーと、三色のチューリップだった。


「はい、アリシア。プレゼント」


そうして僕は、アリシアの持つブールドネージュと引き換えに花束を渡す。


「えっ……わ、私にですか!?」


予想以上に驚いている。

あ、もしかして花束を貰うのも初めて?


そしてアリシアは手にした花束をまじまじと見た後、花束と変わらないぐらい明るい笑みを浮かべた。


「あ、ありがとうございます!」


まだ僅かに影が差す笑顔だけど、アリシアのその笑顔に僕の心も明るくなる。


(可愛いなぁ。プレゼントして良かった)


それを見ていた女店主は、微笑ましそうに


「良い彼氏だね~。この白いスイートピーは『ほのかな喜び』、このピンクの方は『優美』と『恋の楽しみ』、そして紫色のは『永遠の喜び』って花言葉だよ。あとチューリップの方は……いつか色と本数も合わせて調べてみるといいよ」


そう意味深に言って「まいどあり~」と手を振っていた。


花束にはピンク、赤、紫のチューリップが1本ずつ入っていた。

気になる方もいらっしゃるかと思いますので、チューリップについて補足しますね。(わざわざ調べる手間を省きましょう!!)

花言葉ですが、ピンクは「誠実な愛」、赤は「愛の告白」、紫は「不滅の愛」と言われているそうです。

そして3本の意味、それは「あたなを愛しています」だそうです!何とピッタリなことでしょう!!

実は、花については適当に選んだんですよね。スイートピーもチューリップも、パッと思い浮かんだものにしたのですが……

決めた後に花言葉を調べて、ここまで内容が合うことがあるなんて!これはもう運命だなと思いました(*´꒳`*)

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