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魔力無しですが溺愛されて聖女の力に目覚めました  作者: しろまり


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20.キャロラインの思惑

キャロライン視点です。

「どういうことよ!!!」


思わず爪を噛む。

苛立った声に、傍で控えていたメイドはビクっと身体を震わせた。


「キ、キャロラインお嬢様。只今、お茶をお持ち致しますね」


落ち着かせようと思ったのか、メイドは逃げ出すように部屋から出て行った。



数日前、アイツが“魔力無し”だと分かった。

これは良いチャンスと思って、お父様に教えて差し上げたわ。

これでアイツは学園からいなくなるはず!


そう喜んでいたのに、お父様に何を吹き込んだのか、アイツは退学させられることはなく……馬車もないのに、こともあろうか馬に乗って通学し始めた。


(それがもう許せなくて、許せなくて!)


私が姉とも家族とも思っていなくても戸籍上、アイツは姉。

それが馬に跨って来ているなんて学園の皆に知られたら……私が恥を掻くじゃない!!


だから、お父様に“お願い“したの。いつものように。

お父様は、すぐにアイツの除籍手続きをしてくれたわ。合わせて学園の退学手続きも。


でも狡賢いアイツのことだから、何か覆るようなことをするかもしれないし、こっそり学園に行くかもしれない。


(何せアイツは、学園にご執心だもの)


“優秀な成績を収めれば、お父様に認めてもらえる”なんてバカなことを思っているらしい。


そんなことあるわけないのに何を期待しているのか、一生懸命頑張ってくれちゃって……主席ですって?


アイツが成績優秀だかなんだか知らないけど、その妹なのだから『さぞ勉強が出来るのだろう』って勝手に周りが期待してくるから、嫌になっちゃう!

私、勉強は嫌いなのよ!


「さて、念のため手は打っておかなきゃね」


そう思って朝早々に学園へ向い、アイツを目の敵にしているパトリシア様に情報を流した。これでアイツが学園に来ても、パトリシア様が妨害してくれるに違いない。


敵の敵は味方ってね! 私って頭良い! 勉強しなくたって、私は賢いのよ!


思わずニヤリと笑みが零れた。


「あ、今日は宝石商が来る日だったわね!」


それは、いつも贔屓にしている宝石商。


(今日は、どんなアクセサリーを持って来てくれるのかしら!)


私は意気揚々と授業を受けて、急ぎ帰宅した。

その日、登校時間に起きた、ちょっとした騒ぎを知ることもなく。



授業が終わり帰宅すると、何だか屋敷の雰囲気がいつもと違う気がした。

使用人達が忙しそうにしているけど、私の専属メイドも乳母も何も言わないから、特に気にすることもないわね。


制服から着替え、メイドにお母様がどこにいるか聞けば「応接室にいる」と言うから急いで行くと、すでに宝石商は来ていた。


「お母様~、ただいま戻りました!」

「あら、お帰りなさい。キャロライン」

「おやおや、お帰りなさいませ。キャロライン様」


当たり前のことながらお母様だけでなく、宝石商の主人も私を迎え入れてくれる。


(当然よね、わたくしも大事なお客様なのですから!)


彼は私を見るなり鞄を取り出すと、お母様に出していたものとは別の宝飾品を見せてきた。


「まぁ、素敵!」


目の前には、色とりどりの宝石が散りばめられたアクセサリーが並ぶ。


(どれもこれも素敵! 目移りしてしまうわ! 今日はどれを買おうかしら!)


あれもこれも綺麗と興奮していると、一つのアクセサリーで目が留まる。

それは、薄ピンク色の大きな石がはめ込まれたリボン型のブローチだった。

私の視線を宝石商は見逃さず、高らかに声を上げた。


「おや、お目が高い! そちらは最高級のローズクォーツでして、大きさも色も透明度も申し分のない一級品でございます」


宝石商に「さすがキャロライン様」と言われて私は、自分の見る目は確かなのだと得意げに胸を張る。


「しかもローズクォーツは“愛と美の女神の石”として、美容と恋愛に効果があると言われております」

「まぁ!」


美容も大事だけど、それ以上に恋愛も大事。

何故なら私には今、好きな人がいるから。

それは同じクラスのライオネル殿下だ。


(恰好良くて、頭が良くて、皆に慕われていて、とっても素敵なの!)


私は、一目で恋に落ちてしまった。

王族とお付き合いなんて簡単に出来るものじゃないし、普通は婚約者がいる。

だけど彼は学生ということもあってか、まだ婚約者はいない。


それなら私にだってチャンスがあるはずだわ!

私の他にもライオネル殿下を狙っている令嬢はいるけど、あの人達は私の足元にも及ばない。私の方が何倍も可愛いのよ!


(彼と同じクラスになれたことは奇跡……いえ、運命だわ!)


この石の力で、彼ともっとお近づきになれるかしら。


「それにリボンのモチーフは“縁を結ぶ”と言われております。きっと良い縁を結んでくれることでしょう」


“縁結び”と聞いて、もう私はそのブローチしか見えなくなってしまった。


「お母様、わたくしこれが欲しいわ!」

「あらあら、キャロラインってば。ふふふっ、もちろん買ってあげますよ」

「ありがとうございます、お母様!」


私は嬉しさを伝えるように、お母様に抱きつく。


「そんなに喜んでくれるのなら、わたくしも嬉しいわ」

「お二人は、本当に仲がよろしいですねぇ」


お母様との仲睦まじい姿を見て、宝石商はニコニコと微笑ましそうにしている。


「当然ですわ。わたくし、お母様のことが大好きですもの!」

「まぁ嬉しい。わたくしも愛していますよ、キャロライン」


ふふふっ、私は愛さているの。どこかの誰かと違ってね。


(お父様もお母様もわたくしのことを、わたくしだけを愛してくれているわ!)


そう思いながら、応接室の少しだけ空いている扉に目を向ける。

いつもなら、あの扉の隙間からアイツがこちらを羨ましそうに見ている頃合いだ。


愛されもしないのに、自分も愛されたいと私を焦がれるように見るアイツの表情は、いつ見ても小気味よかった。


(それを見るために、いつもわざと扉を少し開けておいたけど……あぁ、そっか。今はもう使用人棟にいるから、ここに来ることもないのね)


あの優越感に浸れなくなるのは、少し名残惜しく感じた。




宝石商が帰ったので応接室から場所を変え、今度はお母様とゆっくりティータイム。


メイドに持ってこさせた鏡に映る私の胸元には、先程のブローチがキラリと光っている。


「うふふ、本当に素敵だわ」


これは、ライオネル様との恋が結ばれるための御守りよ。


(あぁ、何だか付けているだけで、恋が叶う気がするわ!)


そう胸をときめかせていると、お母様が


「そういえば、アレは屋敷を出て行ったそうよ」


世間話をするような口ぶりで言う。

お母様の言う“アレ”とはアイツ、アリシアのことだ。


……え、出て行ったの?


「何でも今日の朝、誰と言ったかしら? どこぞの伯爵に引き取られたとか。あんな不吉な“魔力無し”の無能を引き取るなんて、物好きもいたものね」


そう言いながらお母様はティーカップに口を付けると、興味がなさそうに続けた。


「まぁ、下女にでもするのでしょう。アレには、それぐらいしか出来ることはないでしょうから」


下女……まぁ! なんてお似合いですこと!

そもそも“アレ”が私の姉だったということが間違いなのよ。

気持ち悪いものがなくなって清々するわ!




お母様とのお茶が終わり、私は自分の部屋に戻ってニンマリと笑う。

アイツは除籍され、学園からもこの屋敷からも出ていった。もう顔を見ることもないでしょう。


「やった、やった! やったわ!!」


ついに、私の目の前からアイツを消し去ってやったわ。

私は両手を広げて、喜びを噛み締める。


「とても気分がいいわ!!」


ほらお願いすれば、私の願いは何でも叶うのよ!

欲しいものは何でも、お願いすれば手に入るの!!

だからライオネル様だって、きっと私を愛してくださるわ。

だって私は愛される人間ですもの!!


そう明るい未来を想像して、私はブローチに手を当てた。




翌日、学園はお休みだけど、仲良くしている令嬢からお茶会に招待された。

この間、お父様に買ってもらったドレスを身に纏い向かう。

胸にはもちろん、あのブローチを付けて。


(うん、色合いもピッタリだわ!)


新しいドレスに新しいアクセサリー。

皆『ドレスが可愛い』、『ブリーチが素敵』と褒めてくれる。

私はご機嫌で、令嬢達と談笑していた。そして、そこで有り得ない話を聞いた。


「ねぇねぇ、聞きました?」

「えぇえぇ、聞きましたわ」


それは驚愕の話だった。

噂の大好きな彼女たちの話では、アイツが結婚したという。


(え、どういうこと!?)


伯爵に引き取られたって……まさか結婚したということだったの?!

しかもその相手が、よりにもよってシリウス・クロフォード様とは!!


(私は学年が違うから、あまりお会いすることはなかったけど)


シリウス様と言えば“眉目秀麗・成績優秀・文武両道”三拍子揃った令嬢達の憧れの人じゃないの!!


在校生でシリウス様を知らない人はいないと言っても過言ではないぐらい人気がある。

私だって一目見た時、見惚れてしまって……いえ、私にはライオネル様がいるのよ!


「キャロライン様は、シリウス様の義妹君になるのですよね、羨ましいですわ」

「あれ? でも確かアリシア様は、クラディア家を除籍になったとか」

「あらっ、それではシリウス様とキャロライン様は何の関係もないのですね」


令嬢達は先程、私のことを「可愛い」「素敵」と言った時と同じ顔色で、ニコニコとお喋りしている。


その笑顔が、私のことを嘲笑っているように見えた。

怒りやら憎しみやらで身体が震える。


それはアイツに向けたものか、令嬢達に向けたものなのか。



******



「あんな恥ずかしい思いをすることになるなんて!」


今思い出しても、顔から火が出そうなぐらいだわ。

あんな屈辱を私が受けるなんて、許せない!


何か手はないかしら……。

戻ってきたメイドがテーブルに置いた紅茶を一口飲み込んで考える。


(あ、そうだ!)


紅茶を飲んだおかげで落ち着いてきたのか、無意識にブローチに触れていたら閃いた。


(そうよ、わたくしは頭がいいのよ!)




翌日。

学園に行って、念のため確かめた。

本当にアイツが、シリウス様と結婚したのか。


登校の馬車が集まる場所で待ち伏せていると、クロフォード伯爵家の家紋がついた馬車から、シリウス様に手を取られてアイツが出てきた。


(本当だったのね?!)


昨日の令嬢達の話しは、俄かに信じられなかったけど……今、その光景を目の当たりにして事実だったのだと実感する。

その姿を見ているだけで、イライラして腹が立って、胸のあたりがムカムカしてきた。


(何でアイツが、わたくしより幸せになっているのよ!!)


昨日考えた計画を早く実行しよう。そう心に決めた。

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