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MARIA  作者: 空蝉ゆあん
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The snow melts


 One pupil is looking at us

 Another pupil is dead

 Two things

 It melts while mixing and becomes one picture


 一つの瞳が僕達を見ている

 もう一つの瞳は死んでいる

 二つのものが

 混ざり合いながら溶けて一つの絵になる


 

 雪溶けが過ぎると春が来る。数少ない溶け残りの雪の結晶が石墓を守るようにして、耐えていた。春が来ると言うのに、冬の名残を忘れてほしくないのか、手の温もりを注いでも簡単に消えてなくなったりはしなかった。


 しぶとい雪の結晶を手のひらに乗せて、石墓を撫でてみた。


 冬が過ぎ去り、新しい季節が蘇っていく。そこに人の心も同じように繰り返されている。全ては僕達が決めた通りに動いているんじゃない。誰が決めたのかなんて分からないけれど、神秘を知らない人間は無知のような気がした。


 「人はボロいのに、残されたものは続くんだな……」


 何百人、何千人、何億人、人が死んで、産まれてくるのだろう。

 何の為に産まれて、沢山のものを成し遂げようとしているのだろう。


 壊れる時は簡単なのに、そんなもの作り替えて何がしたいんだろう。


 牧師サマに伝えたい言葉が頭の中に生まれて、かき消せない。僕の心の中が海のように青く澄んでいて、自分自身の感情に溺れそうで怖かった。


 ‘神が祈り

  マリアは嘆く

  ツキと太陽のバランスに似てる,


 

 注がれている視線の先に(ひざ)をつけ、手を握り、石墓の前で祈りを(ささ)げている少女を見ているとそんな言葉が浮かんできたんだ。


 変な違和感と清められた空気がここにあった。


 <アナタノホシイモノハアリマスカ?>


 ふいに聞こえてきた言葉に全て遮られたような感覚が全身に向かって届いた。

 頭の中、神経の全てが振動を受けて、痺れを創り出している。


 僕は痺れて

 考える事も出来なくなって

 儚い夢に辿り着いた


 <アナタノホシイモノハアリマスカ?>


 聞こえる声に

 歪んだ顔の自分が鏡に映っていた。


 分からない──




 

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