第94話 フェアリー第40階層 天空の部屋 その2
下から見ると、ドーナツの中心を突き抜ける世界樹だが、ダンジョンを突き抜けた世界樹から見る『天空の部屋』は、卵を逆さ(北に下膨れ南に少しスリムな球体)にし、南に黄身(世界樹の抜けている部分)を移動させた形になっている。
門の前での戦闘に勝利した俺達は、目を慣らしながら中心へと向かう。頭上には、幾百の妖精が下の様子をただうかがっている。今も絶え間なく羽ばたく羽の音は、門を開けた時に聞いた物。
中央の妖精達が語りかけている。同時に話される数十の言葉は、意味を持たない。
何を伝えようしていたのか直ぐに分かった。蝙蝠の羽を羽ばたいてインプ達が襲ってきた。先ほどと違い統制が取れているのが分かる、1人に3匹いっぺんに襲い掛かる。ただ 救いは、武器を持っていないという事。鋭い爪を向けて飛び掛かる。
1匹に剣を向けると、空中で止まる。その間に2匹が腕、肩、頭などと襲ってくる。じわじわとHPが減っていく。
お姉ちゃんは、剣を仕舞い槍を出す。剣と違い扱い慣れた槍は、1匹を突き出す(間合いを見ていて逃げられる)、その間に襲ってきた別の1匹に対応し素早く引き戻すと突き出す。今度は襲うつもりで来ているインプは、止まる事も出来ず串刺しになる。反撃に驚いたインプは、2匹とも間合いを取ってお姉ちゃんを襲わない。この機を逃さず、勇気の元に移動する。
お姉ちゃんは、勇気の背に背を預ける。前方に集中すればいい、安心が余裕を生み・・インプの動きをよく見る事が出来た。
勇気は、ショートボウを取り出すと狙いを定める。天井に向けると妖精に当たる為、斜め上のインプを狙う。様子見のインプが撃ち抜かれる。4匹のインプは、パニックになって飛び交う。近づけば槍に刺され、遠ざかれば弓にやられる。その双子に俺ももぐり込む。俺の剣が空を切る度、HPが減っていく。助けを求めて双子に移動した。リーダーの特権である。
7匹のインプは、落ち着きを取り戻す。今度の狙いは、俺らしい・・お姉ちゃんと勇気に向かって飛ぶ、間合いの先で止まって威嚇する。俺には、5匹で襲ってきた。剣を振り回すが当たらない。ただ、HPが減っていくだけだった。
自棄になった俺の目は、インプの先を見ている。『天空の部屋』の中央に描かれているのは?
「ねえ、お姉ちゃん。あれって、ゲームでよく見る魔法陣だよね。」勇気も気付いたようだ。
その端では、黒い物体?がしきりに何をやっている。もしかして、召喚?




