第9話 二人の侵入者
部屋の扉がゆっくりと開き始める。扉の動きに合わせるように、部屋の松明が消えていく。部屋の中央とボスの椅子の周りだけ残して。
俺とボスの護衛2匹は、ボスの後ろに移動、小さなボスに不似合いな大きな椅子は、いい隠れ蓑になる。残りのゴブリン達は、入口付近の暗がりに隠れる。扉の外は、松明を多めに設置して明るくしてある。目が慣れるまで侵入者は、部屋の中の様子が分からないだろう。
扉の前に二人の侵入者が見える。初めてのボス部屋侵入だろうか、オドオドした様子でこちらに歩き出した。初期装備のままなので、LVや職業は分からない。まだ、LV10になっていないのも知れない。そういえば俺も職業の設定をしてない。ダンジョンのゴブリンの配置と武器の設定、罠の種類と位置の設定、宝箱の中身と場所の設定。これが終わると、侵入者を待つ日々が続く。マスターの特権である経験値の分配を受け、毎日ダラダラとしていた。そんな俺は、LV10を超えていた。そろそろ、このダンジョンを出る事になりそうだ。
二人が中央ほどに来た時には、ゴブリン達はいつもの定位置、侵入者の後方に移動している。扉の外には、音に気付いたゴブリン達が集まってきた。外のゴブリン達には、入室の許可を与えていないので扉を塞ぐ格好になる。
いつも最初の一撃は、弓を使う。3階層からここまで弓の攻撃はないので、侵入者は弓の警戒をしていない。簡単に射貫く事が出来た。
一本の弓が外れたが、1人は、HPバーに赤色の表示が見えない。どうやら死んだようだ。侵入者の体が床に倒れる。もう1人は、一本貫通しているが、まだこちらに歩いてくる。一応、ボス護衛に待機してるゴブリン達をボス前に移動させる。が、そんな心配はいらないようだ。ボスの周りに増えたゴブリンを見て、侵入者は立ち止まる。後ろから再度弓を受けた侵入者は、HPの赤いバーが見えなくなると床に倒れた。死んだ侵入者に興味の無いゴブリン達は、いつもの定位置に戻っていく。俺とボスは、侵入者が稀に落とすアイテムがないか見に歩き出す。
侵入者にあと2~3歩まで来た時、それぞれの侵入者に異変が・・・ボスは、・・又か・・というような顔をしている。これはもしかして・・・
二人の上に薄い長方形の箱?が現れた・・・箱?・・いや、どう見てもあれは特大のスマホだろう・・・その箱から・・指が・・おそらく親指?・・手が・・・腕が・・・肩と頭・・・幼い顔が出てきた。操作していたのは・・・それからは、一気に体が出来てきた。足が出終わる頃、手はアバターの中に入っていく。
侵入者の上に浮かんでいたスマホは、恐らく操作していた本人?を吐き出すと霧の様に薄くなると消滅した。残ったのは、死んでいるアバターに本人を吸い込んだ二人の侵入者。




