第8話 ボス部屋
音を立てて扉が開く。「ドン」扉の動きが止まる鈍い音がダンジョン中に響き渡る。
『お姉ちゃん、どうしよう。にげようか?』勇気のおびえた声が、姉も不安にさせる。
『こんな大きな音が出たのなら、ここいらのゴブリンが集まってくる。もうボスに向かっていくしか。』
二人は、寄り添うように部屋の中央に向かって歩いていく。
しばらく歩くと、部屋の奥が見えてきた。正面に大きな椅子が見える。そこに座っているのがボスだろう。
『お姉ちゃん、あれ。』勇気が指すのは、ボスの後ろ。えぐったようなくぼみには、淡く光るクリスタルが・・・
『あれを触ればダンジョンクリアだ。いくよ。』双子は、どうみてもひ弱そうなボスに向かい、また歩き出す。
双子が部屋の中央に来たとき。門の外が騒がしくなってくる。ゴブリン達が集まってきたようだ。しかし、ゴブリン達は、部屋に入る様子もない。許可なく入るのを禁止されているようだ。それでも事態が好転したわけではない、双子にとって逃げ場が塞がれた事になる。
『もう戦うしか・・』
ボスを目指して双子は歩く。こん棒しか持っていない双子は、ボスの目の前まで歩くしか方法がない。今の二人に後ろを振り向く余裕すらなくなっていた。
ヒュー、コン。姉の横を何かが通り過ぎ、乾いた音を出して前の方におちた。何か?と目を向けたとき、アバターに何かが突き刺さった。目をやると、弓矢が突き刺さっている。現実世界の目で見ているだけなので自分に痛みはない。ただ、恐怖が襲う。勇気に目をやると、弓矢が2本突き刺さっている。頭の上にあるHP表示は、0なのか?赤い表示バーが見えない。隣の妹は、スマホを落とし 目に手を当てて泣いている。よほど怖かったのだろう。妹が泣き出した事で逆に冷静になる姉。HPの赤いバーは40%くらい残っている。後ろを振り向くと、どこから出てきたのか弓を持ったゴブリン4匹・短い剣を持ったゴブリンが5~6匹、こちら目がけて歩いてくる。もうボスを叩くしか方法は残っていない。姉は、一気に走り出す。
ボスまでもう少しと思ったら・・ボスの後ろから2匹のゴブリンがでてくる。急いで立ち止まる。この時、再度姉の体を弓矢が突き刺さった。HP表示に赤い部分が見えない。姉もスマホを床におとして呆然としていた。もう終わった・・隣の妹を見ると姉のスマホを見ていたのだろう、妹も傲然としている。
ゴブリン達は、HPに赤いバーが見えなくなり、ピクリとも動かない二人の侵略者を見ると それぞれの定位置に戻っていった。通常、1人で入ってくる侵略者は、HPの赤いバーがなくなると霧のように消えてしまう。時たま、アイテムを落としていく時があるが それはボスの所有となるので 消えていくものに興味がないのだ。




