第7話 ゴブリンダンジョンの罠
9階層に入った時、勇気はなにか異常な雰囲気を感じた。
『お姉ちゃん、ここなんか変だよ。』
『どこが?8階と同じだよ。』
『違うよ。』いつもと違う勇気。かなり落ち着きがない。
『どうした?いつもの勇気じゃないみたいだよ。』
『怖い・・』姉の後ろにしがみつく勇気。知らず知らずのうちに疑似PTを組んでいる。通常は、使役した魔物とPTを組む、しかし、アバター同士ではPTが組めない。そこで、疑似PTという方法がある。アバター同士を何かで繋ぐと疑似PTができる。疑似PT中は、相手に自分の優位なステータスを1/人数だけ上書きできる。例えば、姉 STR40 DEX10 勇気 STR10 DEX30 の場合、疑似PTだと 姉 STR40 DEX15 勇気 STR20 DEX30 となる。勇気が姉にしがみついてる為、疑似PT状態になってた。
『お姉ちゃん、なんかおかしくない?』
『なにが?』
『だってさ、2階の最後の頃に弓のゴブリンいたでしょ。』
『うん、ビビッたよ。突然、ビューって飛んでくるんだから。』
『3階からここまで弓出ないね?』
『そういえば、・・・でもゴブリン強くなってるだろ。そのせいだよ。』
『そうかな・・。それとね、2階の部屋に入った時、ゴブリンいたよね?』
『いたね、急に襲い掛かって来るから焦ったよ。』
『3階から部屋にいないよね。』
『そういえば・・』
『でね、2階の終わり頃だと、部屋に2~3匹いるときあったよね。』
『うん、あれはマジこわかった。』
『この9階、部屋に4匹いたよね。』
『うん、用心してたから隠れているやつを、外におびき出して倒したんだ。面白かった。』
『でも、宝箱のアイテム。ポーション1個でしょ。』
『だから、部屋を見つけても入らない様にしただろ。』
『それとね。2階まで落ちるアイテムは、お金・服・武器とポーションだったでしょ。』
『そうだったかな。』
『3階からポーションしか出てこないよ。』
『うーん。確かに。でもさ、俺たちそのポーションで回復してるんだから、いいんじゃん。』
『そうなんだけど・・・』納得していない勇気。
急に勇気が止まる。
『どうした?』
『あれ、罠じゃない?』勇気が床を指さす。その先には、1個だけ浮き上がったような石畳がある。
『確かに不自然だ。』その石畳みを避けるように二人は進む。
罠をいくつか避けながら進んでいくと・・・10階層の奥に、すごく大きな門がある。もうポーションは使いきっている。二人のHPは80%程度。
『ボス部屋?』
『そうみたい。』
『戻る?』
『ここまで来て戻れない。死んでも地上で復活できる。』
『だね・・・』二人は、静かにドアを押す。しかし、ゆっくり開いていくドアは、不気味な音を出して・・二人は、もうすぐLV10になろうとしている。




