第64話 フェアリー第21階層 迷子その3
「お姉ちゃん、どうしよう?」眠い目をこすり、勇気が訪ねる。野営するのだが、交代で見張るので十分な睡眠がとれない。したがって、常に体力に不安を抱えている。
「どうって、越えていくか?」勇気の首が、激しく左右に動く。
「じゃ、どっち?」
目の前には、モコモコが何列も・・ワームの群れの移動にぶつかったようだが、動きが無い。右にワームの先頭が見える。左にモコモコが続いている、終わりは見えない。
「右。」先にワームの止まった理由が有るはず。トラブルに巻き込まれる恐れもある。
ワームの先頭の前に、蟻塚?が5個。これが原因のようだ。
「どうするの?」勇気の問いに。
「しゃあない、乗り掛かった舟や。」お姉ちゃんが槍を構えると、指を二本、スッ、スッ、一本にして奥を指さす。
勇気は、1本次の矢を口に挟むと、弓に1本引き絞ると、お姉ちゃんが飛び出す。脇をかすめる様に矢は、手前の蟻塚に刺さる。キュー、悲鳴の様な音と同時に槍先が蟻塚に沈む、静かになる。その間に次の矢が飛んで行く、矢を追うように槍先が次の蟻塚に刺さる。最初の悲鳴が警戒音なのか、3個の蟻塚にヒビが入り、3匹の大モグラが出てくる。弓に2本の矢を番える、一気に引き絞ると 2匹の大モグラ目掛けて放たれる。矢を矢筒から引き抜く・・今度は、力一杯引き絞ると奥の大モグラ目掛けて『強打』、間髪入れずに再度弓を放つ。
姉は、足で3匹目の大モグラを蹴り、体勢を崩す。反動を利用して4匹目に槍を突き刺す。体勢を整えつつ、3匹目と対峙。そのまま小走りに槍に体を預け突き刺す。
大モグラ達の脅威が消えると、ワーム達の移動が始まる。向きが変わっている。今度は、北を目指すようだ。お姉ちゃんと勇気の下にワームが入り込むと背に乗せる、北に向けてモコモコが動き出す。
お姉ちゃんも勇気も俺も知らなかったが、ワムちゃんと「その1匹」の群れから他の群れに、イメージ伝達が行われていた。この3人は、ワーム族の仲間だと。




