第16話 危険な休憩
ゴブミの爆弾発言は、俺達を凍り付かせる。とても豚がいつ現れるか分からない路地での立ち話ではない。勇気の怯えた顔(アバターは顔の表情を変えられないけど、態度でわかる。)とお姉ちゃんの青い顔・・このままではヤバイ・・とりあえず休憩、いや・・疲れたら睡眠を・・と、部屋を探す。
幾度か路地を曲がり・・豚に注意しながら進む・・扉があった。
丁番がこちらに無い。・・内開きのドア・・ドアの危険性を双子に話すが・・限界のようだ。
ドアの奥に豚がいる確率は・・・100%だろう。ドアが開いたら、いや、途中で走り出してくるだろう。当然、ドアのそばにいるのは危険だ・・何故か勇気が志願する。危険だと言っても言う事をきかない。お姉ちゃんも「勇気がこうなったら、いつも後にひかないんだ。やらせてみようよ。」と、言う出す始末。知らんぞ!
ゴブミは、さっさと壁に張り付いてドアから見えない位置に移動。まっ、一番軟弱だししょうがないか。俺とお姉ちゃんは、ドアの前に・・勇気が開けようとした時。
「待って。」ゴブミの声。・・何やらブツブツ言っている。どうしたんだ?ゴブミは、俺達の後ろに立ち。
「一つ呪文を覚えた。」後で聞いた話だと、治療系か攻撃系の呪文を取得したかったがLVが足りないようだ。・・って、魔物もLVアップとかあるのか!? 状況が差し迫って来たので、今使える呪文を取得したそうだ。
ゴブミは、双子を見つめると「Chain」・・ん?何も起きないよ?
これは、敵を拘束する足止め呪文。時間と強さが反比例するとかで・・LV1なので、強く掛けると豚でも止める事ができるそうだ。但し、3秒だと言う。・・・・ん~~?役に立つの?
でも、今双子に掛けたのは、最弱で最長時間(約10分)。足止めで拘束される事もなく目で見える範囲なら二人は繋がった状態になるとの事。それが・・?と、俺。
ゴブミから疑似PTの説明・・ハイハイ、解りました。と、俺。移動制限のある疑似PTをやめていた双子は、お互いの額に手を当て満足そう。
ゴブミが壁に隠れた所で、勇気が静かにドアを開ける。キィー、建付けが悪いのか油が切れた音が・・静かに・・と願うが、聞こえているだろうな。
勇気は、ドアにへばり付く様な恰好でドアを開ける。豚に少しでもぶつからない様に・・隙間が50cm程になった時、豚が1匹飛び出して来た。勇気にぶつかると、そのまま、お姉ちゃん目掛けて走る。お姉ちゃんは、短剣を上段にかざし振り下ろそうとするが、その前に豚がお姉ちゃんの左腕に噛みつく。思わず短剣を落とす。自由になった右手で引き離そうとするが・・豚は噛みついたまま体を左右に振り始める。お姉ちゃんは、体ごと引きずれる様に左右に動く。まずい・・俺は、豚の首に抱き着くと短剣を取出し・・首に突き刺す。グェー、豚が一声・・そのまま、絶命する。お姉ちゃんも勇気も床に倒れたまま動かない。
ドアの奥にもう豚が居ないか確認する・・・居ないようだ・・・ゴブミと双子を部屋に入れる・・・




