第10話 ボス交代
俺は、床に倒れている二人の様子を見に行く。すると、気だるそうに起き上がる二人は、同時に同じ動作をする。あまりに自然な為、鏡に映っているのかと錯覚しそうだ。
起き上がった二人は、周りを見渡す・・・まだ、状況が呑み込めないようだ。視界に一緒に落ちてきたもう一人を見つけたようで、お互い立ち上がるとよろよろと歩きだす。
「お姉ちゃんなの?」
「勇気?」
一瞬でお互いを認識すると、手を伸ばしてお互い相手を触ったり、叩いたり、撫でたりとしきりにボディタッチをやり始めた。
お互いの手が相手の額を触った後、すぐに自分の額を触る。クスクスとお互い笑い始める。
同じ動作を続ける二人を見ていてもつまらないので、俺は、ボスとの交渉を・・・
「あんたら、そろいもそろって、ばっかじゃないの!」ボスの怒ったよりも呆れたような声が部屋に響く。俺は。そんなに大した事を要求してしていないけどな・・・
「そこの二人、笑っていないで、ここに来なさい。あんたもよ。」俺、一応マスターなんだけど なぜかボスが羽振りを利かしている。ブツブツいいながらボスの前に・・大人しく隣に二人も並ぶ。
「そこの二人。」と指をさす。
「「はい。」」大人しく返事をする二人。
「あなた達は、誰で。ここにどうやって来たのか説明しなさい。」二人は、双子で。学校で流行っているゲームを始めた事。一緒に行動したいので隣に座り 相手の位置を確認しながら待ち合わせをして、このダンジョンに入って来た事を説明した。ボス部屋で死んだと思ったので、放心状態になり、スマホを絨毯に放り出す・・・しばらくすると階下から。
『いつまでゲームしているの!宿題は終わったの?もうすぐご飯よ、さっさとしなさい!』
『『はーい。』』双子は、立ち上がるとスマホをすくい上げ親指で画面を押さえると・・・
「それで、さっきからお互いの体を触っていたのは?」
「触った場所のステータスが分かるんです。そして、額は体のステータス、胸は能力のステータスが。」
俺も触ってみる。なるほど、体や能力、装備のステータスが頭に浮かんでくる。これは便利だ!
「額を触った時、全部9なのに 俺のSTR36になっていた。勇気のSTRは9なのにDEXは27。あまりのバランスに笑ってしまった。」双子の一人が笑いながら答える。面白くもないのかそんな双子を無視すると。
「次!マスターに言いましたよね。ボスを連れ出す事はできないと。」俺は、双子がここに来る前にLV10になっていた。そろそろ別のダンジョンに行こうか思案していたのだ。丁度仲間に出来そうな双子が現れた。そこで、このダンジョンでゴブリンをPT仲間として調達しようとしていたのだが・・・
ここのボス、妙に色々な事を知っている。ゴブリンの中で強い奴を連れ出そうと思ったのだが・・・知識に勝るものはない(自論)・・・に従い、さっきボスに言ったのだが。
「こんな脆弱な私より、もっと強くて大きなゴブリンがいるでしょ!」と部屋のゴブリン達を指さす。ま、そこは考えた事なので無視して・・・
「ボスを連れ出せないって・・・嘘でしょ?」
一瞬固まるボス。やはり、とニンマリする俺。こいつ、大戦の時、死んだ仲間の陰に隠れて、戦いが終わった後に、最初に生み出されたボス部屋のゴブリン達がボス争いを始めるとマスタークリスタルを触りボスになったと言っていた。だったら、もう一度このボス部屋の誰かがマスタークリスタルを触ったら?
ボスに確認すると・・・返事をしない・・・だったら・・・
「マスターとして命令する。この中で一番強い者は、俺の前に来い。」
一匹のゴブリンが前に歩いてきた。他のゴブリンより多少マシかな・・程度だが他のゴブリンが名乗り出ないのだから、こいつが一番なのだろう。
「お前をボスに任命する。クリスタルを触れ。」
言われたゴブリンは、最初何を言われたのか分からない様だったが・・ボスになれる・・そう理解したようで・・クリスタルに近づき躊躇もせずてを翳し・・静かに触れる・・淡く光っていたクリスタルは瞬時光輝き、新たなボスを認めたようだ・・・いや、本来のボスを受け入れただけのようだ。




