表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/146

98話

 闘気法、これを使えば制御不能だった魔法のいくつかが、制御できるのではないだろうか?

「アドルフ、また危険なことを考えているな?」

「危険だったら、使わないのか? ラインハルト」

「なに?」

「例えば、神殺しの法が危険だったら、使わないのかってこと」

「・・・・・・そ、それは」

「魔法も同じさ、使えるものを使って最善を尽くす。それが一戦闘に全力を尽くすってことですよね? 先生!」

「あ、ああ」

「なら、試せる時に試さないと」


 これから試そうとしている魔法。

一人の時には試すことが出来ない魔法だ。

「失敗したら暴走するらしいんで、その時は・・・・・・」

「ったく! 分かった、安心しろ。骨は拾ってやる!!」

「馬鹿! 気絶させろってことだよ! 何斬る気満々になってんの? ねぇラインハルト?」

「それぐらいの意気込みで、付き合ってやるってことだろ! 早くやれ」

ホントかよ~。まぁ、先生もいるし、大丈夫だろ。


 全力の闘気法を全身に掛ける。

0.5の頃の様に魔力の膜をイメージして、それを体の芯まで浸透するように。

よし! いくぞ。

火・土・木を合成していく。

相変わらずの攻撃性だ。

そして、俺に対する反発も強い。

よくよく考えてみれば、俺の魔力が俺に反発する?

ふざけた話だ。


 俺の言うことを聞け! 俺に従え!

高々魔力如きに、・・・・・・舐められてたまるか!!

俺は自分に喝を入れながら、合成した魔力を自分の体に戻す。

痛い! 体が悲鳴を上げているかのようだ。

耳から入るうるさい音。

これは? 俺の声か?

自分の感覚と意志が、自分の体から離れるような不思議な、不快な感覚。

これが暴走・・・・・・か?


 痛みが徐々に強くなる。

ふざけるな! また仲間を襲う気か?

させない!! 言うことを聞け! 俺に従うんだ!

魔法との反発、どれぐらい続いたんだろうか?

自身の感覚が、体に戻る。

勝った! 魔法を、暴走を抑え込んだ!


 皆が心配そうに、俺に視線を投げかける。

大丈夫、俺が勝った!

皆の所に戻ろうと、一歩踏み出す。

視界が暗くなり、何かにぶつかる感覚が襲う。

なに? 何があった? どうなった?


 視界が戻ると、数歩先にいたはずの先生が目の前にいる。

「だ、大丈夫か? アドルフ、今何したんだ?」

先生が俺に疑問をぶつけてくる。

「何があったんでしょう?」

自分に起きた現象が、今一飲み込めない。


 歩き出そうとしたら、視界が効かなくなり、目の前に先生が移動していた。

起きたことをそのまま話すと、

「い、いや、私たちにはお前が消えて、いきなり目の前に出てきたんだけど・・・・・・」

皆も頷き、先生に同意する。

自分に起きた現象、皆が見た現象。恐らく、客観的観測が正しいのだろう。


 つまりは、あれか。 早く動きすぎて、知覚が追いつかない。

そう言うあれか?

なら、6段階の身体魔法を使いながらでは、どうだろうか?

先ほどより、抵抗は少ないが魔法の反発は起きる。

だけど、慣れればラグも少なく使用できるだろう。

よし! 条件は整った。 いくぞ!


 先ほどと同様に、視界が効かなくなる。

今度はカチヤにぶつかったようだ。

「大丈夫、アディ?」

「ああ、大丈夫。カチヤは」

カチヤは首を振る。大丈夫なようだ。


 しかし、参ったな。これほどまで速いなんて。

自分の動きが、自分の知覚を超えるなんて。

どうやれば、対処できる?

・・・・・・知覚した情報が、処理できないならあらかじめ処理しておけばどうだ?

周囲を知る方法。

俺には、いくつか手段があるな。


 探索魔法の3種類。 これをあらかじめ掛けて置いたら、周りの状況も動く先も分かるんじゃないか?

・・・・・・。 自分で言って置いてなんだが、無茶苦茶だな。

でも、やらないことには、何も始まらない。


 皆には事前に説明をしておく。

いきなりやったら、霧に驚かれるかもしれない。

特に、初見の先生は話して置いても驚くに違いが無い。


 探索魔法を順に掛けていく。

魔石の反応。周囲の動くものへの反応、そして地形への反応。

それらが、俺の脳へ送られてくる。

情報過多かな? いや、これぐらいしないと安心できない。

軽い頭痛に襲われながら、問題の魔法を自身に掛ける。


 皆の位置ではない所に、足を踏み出す。

視界が戻ると、目の前には誰もいない。

離れた場所に、皆が立っている。


 いけるな。次いで連続して動く。

一歩また一歩と。 速さの代償なのか、ひどく足が痛む。

その代わり、頭痛は感じなくなってきた。


 魔法を解きその場に膝を付く。

思わず肩で息をしてしまう。

出来たけど、中々にしんどい。

足が痛いし、疲労感も凄い。 なにより、無酸素運動以上に酸欠になるのが早い。


 でも、これがあれば魔神の速さに対抗できるんじゃないか?

思わず、口角が上がる。

相手の絶対的優位が、一つ崩れた。

これを笑わずにいられるだろうか?


 後は神殺しの法。相手に触れることが出来れば、あの幼顔に一発お見舞いできる。

気分が高揚してくる。

ふは! 今からアイツの顔が歪むのが、楽しみでしょうがない。

顔を綻ばしている俺に、皆が駆け寄る。


「アドルフ! 無事か?」

「ああ、大丈夫。それより見たか? これならあの魔神も驚くだろう!!」

「アドルフ、残念ながらこれは使えないと思いますよ?」

「え? な、何でですか? 先生!」

「周りを見てみなさい」


 そう言われて、周囲を見渡す。

霧に覆われているが、何も変わらない・・・・・・いや、所々地面が抉れている。

あれは・・・・・・俺が踏み込んだ場所・・・・・・か?

縮地を覚えた当初、地面を凹ますことがあった。

これは、それの比ではない。

一歩を中心に、30センチほど掘り返されている。


「私なら、見えなくてもこの跡で位置が予測できます。魔神とやらはそんなに未熟なのですか?」

どうだろうか? いや、最悪を想定すれば先生と同等、いやそれ以上を考えないと。

折角見つけた対抗手段、実戦で日の目を見ることは無いのか?


 いや! 何か方法はあるはずだ。

使用頻度が落ちる魔法はあっても、全く使えない魔法はなかった。

なら、絶対にあるはずだ。

3属性なら、3属性の中に必ずあるはずだ。

残りの組み合わせの中に! 

えっと、これまで三つの組み合わせを試したから。

残るは・・・・・・5種類の中の3種を使うと・・・・・・!!

え!! 10種類?!


 ってことは、あと7種類?

確認した組み合わせの多さに、思わず眩暈が生じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ