97話
「プッ! ククク・・・・・・」
「あはは、なるほど。 婿殿らしい!」
リーズベルト家に、大人2人の笑い声が木霊する。
先程の行動の真意を問いただされて、正直に答えた結果だ。
「なるほどなるほど、いやいや。カチヤから聞いたものとばっかり思ってました」
「いいか、アドルフ。剣鬼殿を常識で測ってはいかんのだ」
我ながら、頭に血が上ったとはいえ、大それたことをしたものだ。
まさか、剣鬼に剣を向けるなんて。
「我が家では数年間共に過ごし、お互いが求めればそれが婚姻の契りとする家訓があるのですよ。婿殿」
カチヤはそんな事、一言も話していないし、そんな馬鹿な話があるだろうか?
男爵家ですよ? あなたの家は。
「でも、もっとこう、格式ばった・・・・・・」
「ないですね。我が家の重要視することは、剣術を発展させることが出来る人物であるかどうか。家柄や人柄は二の次です。その候補の中でも婿殿ほど、発展させられる可能性のある人物はいなかった。」
え? 他に候補がいたの?
「なので、後はそう、相性とでも表現しますか。本人同士求めあうのが、血統的にも一番優秀に決まってますからね。」
「まぁ、あの態度に向かってこない様なら、婚姻の話も握りつぶしますが、婿殿も我が娘を好いていてくれる様子。 安心して嫁がせることが出来そうです」
そう言うと、リーズベルト男爵は頭を下げ
「娘をよろしくお願いいたします」
俺も咄嗟に頭を下げ
「必ず幸せにして見せます」
そう宣言した。
「それにしても、婿殿の最後の一撃。闘気法にあのような使い方があったとは。ダグラス君の指導ですか?」
「いえいえ、あのような使用法は見せたこともありません。まぁ、元々変わったことを仕出かす弟子ですから」
「あ、あの! そのとうきほう? ってなんのことですか?」
俺の言葉を聞き、2人は顔を見合わせ笑いだす。
何か、また変なことを言ったのだろうか?
「いやいや、婿殿が家に入ってくれれば、リーズベルト家も安泰なのですがね」
「全くです。ヴェルマー家も、さぞ悔しい想いをしているでしょうな」
? いや、御二人とも。質問に答えては貰えないんですかね?
「いいか、アドルフ。闘気法と言うのはな・・・・・・」
先生の説明でやっと判明した。
闘気法とはバルドゥル様の言っていた、防具の下の防具と表現させる技術のこと。要するに0.5段階の正式名称らしい。
魔法と同様に魔素、魔力を使用するのは変わりが無いが、魔力を皮膚に留める技法と言うことだ。
そして、皮膚に留めた魔力を徐々に体内に浸透させることで、筋力を物理的にあげたり、五感を鋭敏にさせたりすることが出来るらしい。
筋力を上げると言うことは、筋を動かす各種物質も増強すると言うこと。
なるほど、0.5に回復効果があるのも頷ける。
ただし、俺が使っているのは亜流らしく、正しい使用法の訓練が必要だと先生に言われた。
実際に正しく使用が出来れば、防御だけではなく攻撃力も向上するらしい。
身体強化魔法と闘気法、これらが合わされば先生の例のあれも容易に防げるのかな?
「因みに、お前の父ヴェルマーさんも使えるけどな」
な・・・・・・なに?
「いや、父上は0.5の話をした時、知らないと言ってましたよ?」
「お前の書いた本を読ませてもらったけど、表現が分かりずらい。私でさえ違う技法だと思ったからな。それに、お前がヴェルマー家の奥義を使えず、父上が使えるのは闘気法の有無によるものだ」
え? 俺のせい? 分かりずらい?
うーん、もう一度読み直す必要があるのかな?
だけど、覚えればアルムブラストが使えるようになる? 本当に?
確かに今まで、数回使って見たけど上手くいったことは無いんだけども。
まぁ、それはそれとして。
「ところで、先生はどうしてこちらに?」
「私と手合わせに来たんですよ、ね。ダグラス君?」
「ええ。そのつもりでしたが、次の機会にしましょうか。弟子の闘いぶりを見てわが身の未熟さに気が付きました」
「いいんですか? 今なら剣鬼の称号も夢ではないかもしれませんよ?」
「男爵! 昔のことですから!」
「剣鬼になりたかったんですか? 先生?」
「彼は剣鬼になって軍を辞め、諸国を旅することが夢だったんですよ。ね?」
「だから、若気の至りですから」
へー! そんな事もあったんだ。
因みに家を訪れたのも、家の父と手合わせしに行っていたらしい。
先生は、自己研鑽のため度々父上や義父と、手合わせをしているらしい。
信じられないことに、全敗を喫しているらしい。
父上って強かったんだ・・・・・・知らなかった。
まぁ、色々あったけど自分なりのけじめはつけられた。
ラインハルト達も誘い、稽古の日を迎える。
壮絶な地獄を見ることになったが、皆が闘気法を使えるようになった。
先生の指導も最終段階と言うことで、例のあれを防御することもできた。
まぁ、要するに0.5を強力に効かせるのが、闘気法だ。
如何に魔力を体内に浸透させるか、そこだけが重要だったみたいだ。
闘気法を覚えたせいなのか、魔法もいつもよりスムーズに使えるようになった。
中級魔法までのタメが、短い時間で行える。
・・・・・・これを使えば、3属性魔法も使えるんじゃないか?
俺の理論で言えば、魔法の副作用を無くすわけではなく、元々抑え込んでいただけだ。
3属性魔法を0.5で抑えきれていない、そのことが俺に対する攻撃性に感じたんじゃないか?
闘気法と言う今までより強力なもので、副作用を抑えられるんじゃないか?
元々の作用は変わら無いはず。
使い方を変えると言う神の話にも適応している。・・・・・・気がする。
やってみよう!
俺から魔法とったら、何も残らないしね!




