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95話

装備品の受け取りの日、俺達はこの後直ぐに帰国する事にした。

ダグラス先生、直ぐに見つかるといいんだけど・・・・・・。


「おー! できてるぜ、自信作達がな!」

店に入ると、親方が出迎えてくれた。

「いやー! 久しぶりに仕事をやりきった気分だ。」

何だか、よく分からないが、凄い自信だ。


「ほら、こいつらが可愛い自信作たちだ!」

見せられた装備品。

絢爛と言う言葉が似合う、一瞬装飾品かと思わせる美しさ。

これが、翼竜の装備なのか。

皆、その美しさに目を奪われ、言葉を発する事が出来ないようだ。


「どうだ? 凄いだろ? 凄いのは、見た目だけじゃねーんだぜ?」

そう言うと、剣を一振り携え、歩き出す。

「付いてきな!」


裏に回ると、試し切りの出来るスペースに出る。

・・・・・・この世界は、武器屋にこんな場所を、必ず併設してるのか?

「これなら、良いか?」

そう言うと、淡い光を放つ剣を取り出す。


「あ、あの・・・・・・それって」

「おうよ! 竜鉱だ」

持っていた翼竜の剣を、俺に差し出し。

「あれ、切ってみな!」

え? 俺?

皆は、親方から離れて動かない。

こんな時、真っ先に動くはずのカチヤも動かない。


やめておいた方が、いいんじゃ?

だが、場の雰囲気と言うものがある。

やらないと、いけないみたいだ。


台に乗せられただけの、竜鉱の剣。

自信作と言われた、剣を抜く。

何色もの輝きが、重なった刀身まで美しい剣。

半信半疑ながらも、俺は上段から真っ直ぐに台に向かって剣を振り下ろす。


キン! と、高い音を上げ台の下まで振り下ろされた剣を、恐る恐る見た。

刃こぼれ一つもなく、先程と同様の姿の翼竜の剣。

台の上を見ると、竜鉱の剣は、台ごと両断されていた。


ちよ、ちょっと待って?

やったの俺だぜ? カチヤじゃなく俺だよ・・・・・・な?

自分がやったのに、現実味がない。

それほど、振り下ろした手に、手応えがない。


振り返ると、カチヤが携えていた、竜鉱の剣を抜く。

早足で、俺の隣に立つと剣を振り下ろす。

金属音は響くが、カチヤの手は、台より下がることはなかった。


剣をカチヤに渡すと、同じ動作を繰り返す。

俺がやったときと同様に、台ごと両断していた。

こんなに違うものなのか?


「どうでぇ~! 良い出来だろう? 竜鉱はそこそこ流通してるけど、こいつは特別さ」

呆気に取られている俺達をよそに、自慢の剣に付いて朗々と話し出す。

何でも同じ竜鉱でも、地竜系統と、翼竜系統では取れる質に大きな隔たりがあるようだ。

翼竜の方が固く、しかし腰の強い金属になるらしい。

興奮しながら話してる所、申し訳ないのだが、ほとんど理解できなかった。


 まぁ、俺は鍛冶師じゃないし、ほどほど理解してればいいか。

ただ、気になることが一つ。

「翼竜だとこんな色になるんですか?」

「ああ、この色は翼竜独特の物だな」

あれ? カチヤの剣って翼竜の竜鉱じゃないの?

カチヤに剣を借りて、説明を求める。

「こりゃ、地竜の物だな。 ん? ああ、これ打ったの俺だな」

え?

「あなたが、エストマンさんですか?」

「ああ、そうだ。 それがどうした?」


 剣を買った経緯を話す、騎士団の歌で翼竜だと思っていたのだが。

「ははは! ああ、悪い悪い。お前さんたち勘違いしてるぞ?」

「何をですか?」

「吟遊詩人って奴らはな、何も真実だけを歌う訳じゃ無いんだ」

「へ?」

「奴らも、商売だからな。人が聞いて面白いように改変するのは腕の内だ」

何だと? じゃぁ俺のも・・・・・・いや、気にしてもしょうがないな。


 原初の虹色の短剣も確認してもらったが、やはり翼竜の竜鉱で出来ているらしい。

こちらの逸話は、本当のようだ。・・・・・・多分。

一通り新しい装備を確認させてもらい、受け取りを済ませ店を後にする。


 店を出て、通りを歩いていると周囲の視線が集まる。

3人に出は無く、俺に。

「これ、やっぱり派手じゃない?」

「くくく、大丈夫だって」

「アディ、カッコイイ」

若干、棒読みですよ? カチヤさん?

「良くお似合いですわよ? 何せ、由緒正しいデザインなんですから!」

クラウディアも目が大いに笑ってるんだけど?


「やっぱり、脱ごうかな」

「何言ってるんだ、折角兄上が『魔導の勇者の正装を再現してくれ』と親方に頼んでくれたのに!」

「それが、余計だったんじゃない? なにこれ? 全身真っ白」

誂えてもらった革鎧。それはロングコートのようなシルエットで、内部に竜鉱の鉄板が仕込まれているが、表向きはレザーのコートだ。 そして全体が、白く染色されている。


 冒険者が白って! 目立たない色が当たり前なのに・・・・・・。

まぁ、軽くていいんだけど。

俺も、そこまで原初に想い入れないんだけど。

あの元第一王子め! 余計なことしやがって!


 はぁ、まぁこれで、この街での用事は無くなったな。

早いとこ帰国しないとな。

因みに、他の素材などを買い取ってもらった代金。

全額で、金貨5万枚になった。

あまりの大金になり、ラインハルトはホクホク顔だ。

それにしても、バルドゥル様って俺達絡みで、どれ位儲けたんだろう?


◇ ◇ ◇ ◇


 帰国の道中、アポステル山に入り竜の聖地に立ち寄る。

思わぬ大金を手にしたので、木竜に話を聞きに来た。

「おお、久しぶりじゃのう!」

「お久しぶりです、あのこれでお話を聞きたいのですが・・・・・・。」

金貨を数万枚見せる。

「・・・・・・、嫌じゃ」

「え?」

「こんな金細工では、話してやる事は何もないわい!」


 そんな感じで、取り付く島もない。

それでは、中級魔法ではどうだろう?

「貴様は、自分で扱い切れないものを他人に押し付けるのか?」

と言った具合で、何も話してはくれなそうだ。

まぁ、予想はしていたけど。


 神様関連の情報は、手に入らなかったな。

神様自身も、俺以外の所には出てくるのに俺の所には出てこない。

何か理由があるんだろうか?


 アポステル山を超えて、やっと帰国出来た。

長かったなぁ~、こんなに長い旅は初めてだからな。


 これから、城に言って報告して、先生見つけて修行して・・・・・・。

後7年もないし、間に合うだろうか?

長距離を移動すると、どうしても時間が掛かるな。移動手段も限られてるし。

考えないようにしていたけど、本当に魔神討伐できるのか?


 考えないようにしていた不安が、首をもたげてくる。

いや、間に合わせるんだ! 俺はやると決めた。

なら、今更泣き言なんて言ってもしょうがないだろ!


 不安を振りきり、王都へ急ぎ戻る。

幸い、金は潤沢にある。馬車を走らせ急ぐ。

久しぶりの自国の王都に付いた、後数週間で年が明ける。

 

 戦争勃発まで、後、6年になろうとしていた。

皆も思い出したのだろう、神妙な面持ちで王都の門を潜り抜けた。

  

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