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90話

 原初の魔法使い。彼は俺の使う魔法よりも数段発達した魔法を使用し、応用の幅も俺よりも優れていたと言わざるを得ない。

 しかし、しかしだ。

「やっぱり、あの河のどこって言う目印は必要だったんじゃないか?」

「アドルフ、もう済んだことだろう? それに河の下の迷宮は意外と面白かったじゃないか」

 そう、『凍れる河』。今まさにその原初が指し示した場所を特定、迷宮を踏破してきたところだ。

 魔物が出るでもなく、ただただイ〇ディーでジョ〇ンズな地下の大迷路をひたすら歩き続けて、ようやく地上に帰ってきた。

 それを造った原初は確かに凄い。でも、アナウンスの少なさやトラップの意地の悪さ、それが腹に来るものばかりで素直に原初を評価することを本能が拒んでいる。

 元を正せば、河川のどこに入口を創ったのかそれすら言わないで、目指せと言われても。

 ええ、聞きましたよ? 周囲の村、町対岸合わせて10か所もね!!

 お陰で、余計な時間を掛けましたがね!!

 なんてことはない、神殿と地図上で一直線だった時の苛立ちと来たら・・・。


「でも、トラップの種類までよくわかりましたわね」

 分からいでか! 釣り天井だの巨石だの、お約束の物ばかりだしね!!

 最後は頭に来たから、壁と言う壁を粉砕してゴールまで行ってやったわ!

「アディ、落ち着いて?」

「大丈夫、落ち着いてる」

 そんなこんなで、無事次の場所が分かりましたよ。

 また、場所だけどね! ったく! 幾つ回らせれば気が済むんだか。


「けど、何度見ても凄い仕掛けでしたわね!」

 楽しそうにはしゃいでいるクラウディア。

 確かにそこだけは、認めないとな。

 何回見ても、魔法をその場に留めて発動キーを設定する技術。

 それだけは、未だにどうやっているのかさえ見当もつかない。


 恐るべきは、異世界の異世界にある魔法技術と言ったところか。

 いや、下地すら無い世界で、その技術を行使できる原初が凄いんだろうか?

 全く、魔法てのはなんでもありなんだな。


 次の『魔獣の森の神殿』 そこに行くまでは大分時間が掛かるだろう。

 なので、バルドゥル様に会うために、再びアスファムの首都に舞い戻った。

 雪? そんなの土魔法で除雪しながらきましたよ、時間も限られてるしな。

 なのに、あの河で入口をみつけるのに・・・・・・。

 いや、もうよそう。 何事もなくこうして大きな街に戻ってこれたのだから。


「おお、ラインハルトじゃないか。予想より早く帰ってこれたな」

「流石は兄上、虎の番相手でもご無事でしたか!」

 バルドゥル様たちは、無事に虎の番を討伐し、骨休めをしていたらしい。

 ・・・・・・どうせ、3男に甘い長男は、わざわざここで待っていたのだろうけど。

「アドルフ? 何か言ったか?」

「いえ? なにも・・・・・・」

 危ない危ない、かなりの高確率で心を読む異能力者だったんだ。

 余計なことを考えて、藪蛇にならないように気を付けなくては。


「お、ここだな」

 バルドゥル様に連れられて、大きな商家に来た。

 ここで翼竜を解体してくれるらしい。

「ここなら、どんな魔物でも解体してくれるから、よく覚えておけよ?」

 そう言いながら、店の奥に入っていく。

 顔見知りなのか、店の人たちもバルドゥル様に気軽に挨拶をしている。


「いたいた、おーい! 親方、遅くなりました」

 そう言って、バルドゥル様は一人の男性に声を掛ける。

 髭面で筋肉質の男、見るからに職人と言った感じだ。

「おおバルドゥル、この子たちがお前の言っていた子達か?」

「はい、かなりの大物ですよ?」

「は! 任しておけって」

「で、仲介料なんですが・・・・・・」

 小声で何やら話し始めた。

 仲介料って何?

 金取ったのか?

 なんか、冒険者楽しんでるなぁ~。


「よし!! 話がまとまった所で、さっそくここで出してみろや」

 何の話が纏まったんですかね?

 まぁ、良いけどね?

 言われた通り、魔道具の中から翼竜を取りだす。

 いや~~、一寸見ない間に育った?

 前に見た時より、大きく感じるな。

 親方と言われていた人も、大きな口を開けて見上げてるし。


「なるほど、こりゃぁ、ここじゃなきゃ無理だな」

 親方がバルドゥル様を見ると、バルドゥル様はニヤリと笑みを浮かべていた。

 俺達の要望は、盾と剣に使う分の竜鉱以外は売却だ。

「何だ、弓使いの嬢ちゃんは強弓、要らない口か?」

「できますの?」

「ああ、髭を絃にしたり、骨を削って弓を造るとかなりいい品になるんだぜ?」

「是非、お願いしますわ」


 ハイハイ、ここでも俺の装備は変わらないのね?

 何せ、魔法使いだし。

 弓使いとしても、クラウディアほど精密射撃できないしね。

 剣も未だに、錆落とし以外で研いだことないし。

 いいんだ、良いんだ。

 俺には、魔法があるし。


「アドルフ、お前も鎧の一つでも作ってもらえ」

「いえ・・・・・・、重くなると動きが悪くなりますし、

 後で良い革鎧でも見つけます」

「だから、竜の皮で鎧を造れって」

 え? できるの?

 いや、出来ないことは無いよな。

 でも・・・・・・。

「重くないんですか?」

「何だ、兄ちゃん。知らねーのか? こいつの皮は優秀なんだぜ?

 こいつから採った竜鉱を付けても、今着ている奴とそんなに変わらないぞ?」

「お願いします!!」


 イヤッフーー!

 俺にも新装備キターーー!!

「じゃぁ、そこいらでも観光してきな

 急いで仕上げてやるけど、1か月は見てもらわないとな」

 1か月か、何して過ごす?

 魔法開発でもしてるか?

 そんな事を考えていると、親方とバルドゥル様は小声で話し合いを再開した。


「加工料引いて・・・・・・」

「いやいや、これだけの個体なら・・・・・・」

 ラインハルトを小突いて、話し合いに参加させる。

 当事者が知らないうちに、全部決められてどうするんだか。

 もっと、王太子として貪欲に勉強してこい。

 渋々話し合いの場に入っていく、ラインハルト。

 バルドゥル様から、一寸でもいい所を学んでもらわないと。


 クラウディアも同感だったのか、俺にサムズアップしてきた。

「ええええええ!! こんなに? いいんですか?」

「ほれ、当事者もこう言ってるんだ。これで手を打て!」

「親方、幾らなんでも阿漕が過ぎますよ」

「なにこれ・・・・・・、こんな数字見たこともない」


 やれやれ、先は長そうだ。

 クラウディアも顔を覆てるし、まだまだ勉強してもらわないとな。


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