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86話

 神殿に入ると、そこは荒れに荒れていた。

外観は、一応神殿の様相を呈しているが、一歩中に踏み込むと内装は破壊され、内壁は一部を壊されている。

「これはひどい」


 確かに、この世界の文化レベルは、前世と比べて多少は劣る。

しかし、功名心や物欲と言った、人間の闇は同じなのかもしれない。

完全に、盗掘されているようだ。

どこにでも、似たような精神の人間はいるようだ。

古い神殿、墓所を暴き、中のものを奪い金銭を得る。

時には破壊もいとわない。

見ているだけで、悲しみがわいてくる。


 まぁ、前世と違い、ありもしない呪いをでっち上げることはないだろう。

この神殿は、母神の神殿。

既に、この世界に祝福と言う呪いを、実際にもたらしている。

それに、俺達がこれから行う行為も、大した変わりはない。

この中から、神殺しに係わる何かを見つけて、自分の物としなくてはならない。


「さて、どこから行くか・・・・・・」

ラインハルトが、呟く。

これだけ、荒れていたらどこから手を出していいのか、疑問が出る。

汚部屋を目の前にした時と、同じ心境かもしれない。

「目の前から、虱潰しにやって行くしかないな」

「・・・・・・そうだな」


 この入った広い部屋、元は礼拝堂なのか?

ひと際目を引く物もない、ただの荒れた空間をひたすらひっくり返していく。

勇者に関連したもの、原初の魔法使いに関連したもの何でもいい。

それらしいものを、ひたすら探し回る。

こっちは、何もないかな?

「なにかあったかー?」

「・・・・・・何も」

「こっちもなさそうだ」

「ないですわね」

この部屋は、はずれか。


 それから、部屋と言う部屋を探し回ったが何もない。

だんだんと、日も傾いていき、捜索できる時間も限られてきた。

明日には、下山しなくてはならない。

雪に周辺が埋もれる前に、出発しないと。

「アドルフ、明日にするか?」

「もう少し、完全に日が落ちるまでお願い」

「・・・・・・クラウディア達には、飯の用意をしてもらうぞ」

「うん、宜しく」


 無い。

それらしいものが、何もない。

ここじゃないのか?

何か・・・・・・無いのか・・・・・・。

そう思い、探索魔法を使用してみる。

見つけたのは、冬眠中の虫だまりだけだ。


 探索魔法でも見つからない。

翌々考えてみれば、原初の魔法使いが使っていた魔法は、理論体系が確立しているであろう完成した魔法だ。

仮に原初が隠したとしたら、俺に見つけることが出来るのか?

俺の開発中の魔法とは、精度も応用の幅も段違いのはず。

それに、探索魔法は原初のパクリだ。

どこかが、劣化している可能性が高い。

どうする・・・・・・。


 原初とは違う、俺の方法論はないか?

霧の魔法なら?

・・・・・・今使ったら、飯の用意をしているクラウディア達に、怒られるだろうな。

大体、探索魔法が二つあるのに、土と木、水と水って別属性を使っているからやりにくいんだ。

いっそ、まとめてしまうか?

相克図を見てみると、土、木、水。

それぞれ連続した位置にあるから、相性は悪く無いはず。

いけないかな?

いや、出来るんじゃないか?


 もう、日が完全に沈んでしまう。

そうすると、明日は短い時間で捜索しないといけない。

時間が無いのは、変わりがないな。

寧ろ、夜中と言う時間がある分、今しかないな。

そうだ、今しかない、今でなければ意味がない!


 3属性を合成するのは、案としてはあったけど、やったことは無いな。

・・・・・・やっぱ、やめようか?

いやいや、今を惜しむやつに、未来があるのか?

そうさ、今に全力を掛けろって、何かで言っていたような気がする。

誰か、偉い人がそんな事を言っていたような気がする。

なら、やらないと!!


 とは言え、副作用を考えると、そうそう全力で魔法を使うことは出来ない。

・・・・・・そうか? 雷撃魔法を考えると、そうでもないな。

じゃぁ、出来るな。

さて、どう合成していくか?

先ずは、3属性を同時に発現。

圧縮合成してみる。


そうだった、土と水だと、土の方が優位だった。

そうすると、木を繋ぎにする感じで、いけば・・・・・・?

あれ? 水が上手く合成していかない?

水が弱いのか?

じゃぁ、水を重ねて、ベースにすればどうだろう?

おお!!

いけるか?


 うん、これまで何回も圧縮合成してきたおかげで、要領みたいなものが分かってきたな。

今、俺の手の中には、安定した魔力の塊がある。

さて、これの使い方はどうだ?

魔力自体の攻撃性みたいな気配はない。

なら、自分に掛けるのに躊躇はない。

例のごとく、足元に落とす。


 ポヨンと言う、擬音が聞こえてきそうなほど、綺麗にバウンドして手の中に戻る。

・・・・・・? なにこれ?

何回やっても、同じだ。

安定しすぎかな?

一向に発動する気配がない、しょうがない。

消して、再度魔素を調整しようと、両手で持つと、魔力は掌から吸収されるように無くなる。

え? やばい! 副作用か???

慌てて、回復魔法を発動させるが・・・・・・何も反応しない。

あれ? 手を見てもそこには何もない。

一応、足を確認するが、変化もない。

なんだったんだ?


  一応の安堵の下、上げていた足を下ろす。

踵が石畳に触れ、音が鳴る。

カツンと言う、音が地面に広がり、その広がりに俺自身の認識も広がる。

二つ向こうの壁を超えた部屋の下に、不自然な空間がある。

そう認識できた。

何が・・・・・・起きたのだろう・・・・・・?


 自分の皮膚感覚のようなのもが、急速に広がり周囲を認識する。

今までに感じたことのないような、不思議な感覚。

これまで使用していた、探索魔法とは異なる感覚に、戸惑いがあるが・・・・・・。

見つけた。


 反応の合った場所に行き、床を叩いてみる。

周囲と違いは無いように思う。

しかし、再度3属性の魔法を使用してみると、・・・・・・確かにこの下は、空間がある。

爆裂魔法で、床に穴をあける。

あった・・・・・・。


 3属性の認識は、正しかった。

降りてみると、真っ暗で何も見えない。

火を出し、周囲を観察する。

何もないか?

そう思った時、視界にあるものが飛び込んでくる。

鞘に入っているが、あれはナイフ・・・・・・だな。


 近づいてみると、そのナイフに探していたものがあった。

片翼の竜の紋章。

中心に宝石が入っている。


 これか?

原初の魔法使いが残した、神殺しの法なのか?

良く見てみたいが、周囲は暗く。

そろそろ、指も熱くなってきた。

上を見ると、完全に日も落ちたのだろう。

真っ暗だ。


 取りあえず、皆の所に戻るか。

何の変哲も無いようなナイフ。

これが、俺の未来を照らす鍵となってくれるのだろうか?

そんな期待を胸に、仲間の下に足を速める。

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