84話
はぁ~、やっと街に、・・・・・・着いたぁ~。
いやはや、情報売ってもらっといて何だけど。
やっぱり、情報って、自分で取りに行かないと駄目だわ。
獅子を討伐し終わって、のんびりと魔法の使用感なんかを、ノートに書き込んでいたら、小型の肉食獣が血の臭いに誘われて戦闘になるし。
ハイエナ? ジャッカル? みたいなイヌ科の中型サイズが、わんさかと来やがった。
お陰で、ほぼ不眠で戦闘して、朝方になると今度は、肉食の鳥が襲ってくるし。
やっぱり、そこそこ大きな群れって、不用意に狩ったらいけないんだな。
結構な乱戦になったし、不眠でつらいし。
鳥を撃退してから、かなりの強行軍で現場を離れて、丸一日動きっぱなしだったし、これからは不要な戦闘は避けるようにしないと。
飯を食べ、宿の部屋に入ったことで、ようやく人心地つけた。
「バルドゥル様、これを見越して虎の方に行ったのかな?」
「それは・・・・・・あり得なくもないな」
まぁ、探索魔法を完全に信じ切った、俺達の落ち度でもあるのだが。
「予想付いていたなら、教えてくれてもいいのに」
「兄様は経験で、予想が付いたんだろう
それか、冒険者として常識だったか」
「獅子を狩る状況が、そんなにあるもんかね?」
「市場はあるんだ、なら冒険者が挑まないこともないだろう? 多分何かノウハウがあるんだろ」
そう言って、寝息を立てるラインハルト。
まぁ、納得いかないのはいつものことだし、あの人の考えを読むなんて、時間の無駄だな。理解できそうにないし。
そう思い、三日ぶりにぐっすりと寝ることが出来た。
翌日、ノートを買うついでに、町で女神の神殿に付いて、情報を仕入れに行くことになった。
「女神の神殿? さぁ、聞いたことが無いね」
「勇者様の足跡を辿りに? はぁ~ご苦労様だね」
町の人に聞いてみるが、一向に情報は集まらない。
そもそも、この町の人は町から出ることが無い。
まぁ、商隊を組まないと、まともに移動もできない、大型の魔物が跋扈する地域で、町の外を動こうとする物好きはこの国にはいない。
例外として、貴族が登城するのに出歩くのが一般的だ。
必然的に、町単位で完結するように発展していく。
お陰で、町の近くに何があると言うことも知らないで一生を終える。
なので、この町の人では情報はない。
そこで、他所から来た人が集まる場所。
そう、冒険者ギルド。
金が掛かるのは、もう諦めよう。
何より、情報が必要だ。
・・・・・・どこでも変わらないが、何故? 冒険者ギルドはこうも、柄が悪いのか?
そりゃ、冒険者の地位も上がらないだろう。
有用な情報もないし。
そんな中、一組の冒険者たちが
「お前ら、あの山に行くのか?」
へ? 山?
「女神の神殿がある山に行くのか?」
「ああ、そうですそうです。山? なんですか?」
「そんな事も知らないで、あの山に、近づこうとしていたのか? 悪い事は言わない、やめておいた方がいい」
話を聞くと、デーア山と言われる山には、確かに神殿があると言う。
しかし、近年ある男が住み着いた。
ベニートと言うこの男、山師として色々な山や神殿の類を掘り起こし、金に換える職業らしい。
それだけなら、この話をしている男性も似たようなものだ。
冒険者は元来、金になって違法じゃなければ何でもやる職業。
なら、件のベニートを警戒するに値しない。
しかし、このベニートと言う男。
仕事のためなら、何でもやるようだ。
それこそ、違法行為まで。
要するに、ベニートがデーア山を不法に占拠しているらしい。
来るものを実力で排除し、発掘した物をどこかに売りさばく。
どのルートも抑えられていて、全く近づける様子がないらしい。
なので、交渉も無理と言う話だ。
この男性も、ベニートに仲間を襲われ有り金を無くし、立ち往生しているらしい。
「国に訴えるのは出来ないんですか?」
「勿論考えたがな、山一つでこの国が動くことは無いらしい」
え? そんな事があるだろうか?
大問題だけど・・・・・・裏で繫がっているのか?
情報料を渡し、男が去って行く。
「どう思う?」
「この国がそんな男を、放置するとは思えない何か裏があるのか?」
「けど、この国は大型の獣が多いのでしょう? 男一人に、軍が動くのでしょうか?」
うーん、正直軍を動かすには、採算が合わない。
しかし、領土を占有されて動かない理由にもならない。
「別の国と、繫がっている可能性」
それは、無くもない話だ。
勇者の遺物を集めそうな国。
「スクロースか?」
カチヤは、こくんと頷く。
「あの国もそこまで・・・・・・騎士団の暴走の可能性もあるか」
「それを言ったら、トムーギも我がセロフィーも可能性が無いとは言えない」
そうかな?
「魔族に宣戦を布告されたのは、知っているし、何より開戦派も少なからず居るだろう。セロフィーは陛下が、抑えているから問題は無いだろうがな」
うん、ラインハルトの意見も尤もに聞こえる。
けど、対魔族に関することなら、交渉の余地はある。
結論は出ないけど・・・・・・。
「出たとこ勝負しかないかな?」
「そうだな、けど、みこがいるんだしスクロースだったら、簡単だな」
「巫女?」
「違う違う、覡だ。要するにお前だよ、アドルフ」
え?
「俺って使徒じゃないの?」
「いや、神託を齎すものそれが、巫女であり覡だ。神託を実行する者が使徒だから、この場合俺か、クラウディア、カチヤ、その誰かだろう」
何故だろう、立場や呼び方なんてどうでもいいんだけど、木竜に、思い切り嘘を付いていた。
そう言うことになるのか?
どうでも良いことなんだけど・・・・・・何故だろう、恥ずかしい。
別の意味で、木竜に会いに行けなくなったな。
深呼吸をして、気分を切り替える。
「覡が俺なら、スクロースは引くかな?」
「お前が神託を齎したことは、スクロースも知っているし、あの件がバレていなければ、可能性は高いだろう」
原初の魔法使いが、異端認定された件か。
確かに、それを求めている俺も、十分に異端認定されてもおかしくない・・・・・・。
「でも、異端認定したのが教会ならもう知っているだろう? それに、神殺しの法を探しているって知ってるよね? 話したし」
「そう言えば、そうだな」
あれ?
逃げだした意味、無かったのか?
いや、でも・・・・・・現に方法を示唆した物はあった訳だし。
「過ぎたことはしょうがない。して来たことより、これから何をするのかが重要」
「カチヤの言う通りだ。アドルフも考えすぎると、薄くなるぞ?」
髪を指して、笑みを浮かべるラインハルト。
「関係ないよね? ・・・・・・関係ないよね? ね?」
大丈夫、父上もフサフサだし・・・・・・大丈夫、大丈夫。
取りあえず、行ってみないことには、始まらない。
相手の後ろに、何があろうと、行くことに変わりはないんだし。
まぁ、何もない事を祈るしかないか。
・・・・・・俺が覡なら、神様に祈れば多少の効力もあるのか?
そう言えば、最近姿を現さないな。
以前、現れやすいように、フリもしておいたのに。
怒らないから、出ておいで~。
・・・・・・ダメかな?
まぁ、出てこなくても別にいいんだけどね?




