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79話

 石版は、やはり表面も風化もしていて、全文は読めないがある一文が、特に目を引いた。

『〇神を害する〇〇〇〇〇〇〇〇かれ

 再び世にでないことを願う。

 それでも、禁〇〇〇を求めし者

 〇翼竜を追え』


 要約すると、こんなものだが

「おい、これ・・・・・・」

恐らく、1000年前の女神の件を指すであろう、第一説目。そして封印の場所を示す第三説目。

翼竜とは、何を指しているのか?


「勇者の終の棲家から、こんなもの出て来たら・・・・・・間違いないだろう」

「そう・・・・・・ですわね」

ここに来て、例の事件の詳細が出てきた。

全文が読めないのは実際キツイが、ここ一年ぐらい求めていた手掛かりが目の前にある。


「おい、アドルフ!」

余程、常軌を逸した表情をしていたのだろう。

ラインハルトは心配そうに、声を掛けてきた。

「ああ、大丈夫だ」

俺はもう、石板の虜になっていた。

これを読み解くことが出来れば、あの魔神を倒すことが出来る。


 戦争も起こらず、皆が平和に暮らすことが出来る。

その重要な手がかりが、目の前にある。

この気持ちを、歓喜以外でどう表現できるだろうか。


「アディ、落ち着いて」

「ああ、分かってるって」

分かってる、冷静に判断しないと。

何回も繰り返し、繰り返し石板をなぞる。

何度読んでも、これは神殺しの法への手掛かりに違いない。

「どこに、どこにあるんだ?」

掠れた文字を、注意深く、その形状を読み解く。

駄目だ、焦るな。

これはどこを表している?


 不意にドンと、背中を押される。

「痛っ! ないするんだ?!」

「落ち着けと言っているだろう?」

後ろに立っていたのは、ラインハルトだった。

カチヤもクラウディアも冷めた目で、俺を見ている。


「ご、ごめん」

いかん、いかん。

ついつい、我を忘れてしまった。


 立ち上がり、仲間に向き直り

「それで、これはどうする?」

と、意見を求める。

まぁ、解読する以外の方法は、ないのだけれど。


「まぁ、解読するにしても法王聖下にお伺いは立てないと、いけないだろう」

それもそうか。

歴史的文献だからな。

この国のトップに、説明しておかないと、またお小言を貰うことになるよな。


「それで、俺達は帰国する」

え?

「な、なん・・・・・・で?」

嘘だろ?

「やっと見つけた、無いと思っていたヒントがここにあるんだよ? 何で、帰らないといけないんだ?」


「それは、お前が魔法使いだからだ」

そうか・・・・・・ってなるかーー!!

「意味が分からないんだけど? 魔法使いだからって、何でこの石板に手を出しちゃいけないんだよ!」

無茶苦茶だよ!

本当に意味が分からない。

なら誰ならいいんだよ!


「いいか、良く考えろ。原初の魔法使いが、異端認定にまで行った。その事実を、お前は忘れているだろう?」

今、原初の魔法使いのことなんて関係ないじゃん!!

「いや、それとこれとは・・・・・・」

「関係あったら? どうする? 無いって言う、証拠はない。だろう?」


 いや・・・・・・でも。

今回のこととは・・・・・・。

「お前は、気が付いていないのか? この翼竜の意味に?」

「分かったの?」

それが分かれば、この石板に意味はない。

何だ?

俺の知ってること?

翼竜?

ワイバーンに襲われた町に何か有るのか?


 本気で分からないぞ?

ラインハルトは、俺から目を外し他の2人にも目を向ける。

あれ?

俺を見る目が、馬鹿を見る目になってる?

明らかに、呆れてるね?


「因みに、ワイバーンは?」

「関係ないが、惜しいな」

惜しい?

じゃぁ、そこであった人か?

「あ、ダグラス先生・・・・・・」

「関係ないな」

あれ?

「じゃぁ、支部ちょ・・・・・・」

「関係ない、そろそろその町から離れろ」


その町から離れる?

「エル・・・・・・」

「行き過ぎ、少し戻れ」

「トムーギ国王?」

「お前、本気で馬鹿なのか? 国境の詰め所で、何話した?」


え? 国境の詰め所?

「書類出して、紋章の話をして・・・・・・」

「そう、そこだ」

「貴賓だからって、馬車に乗って・・・・・・」

ラインハルトに強かに叩かれる。


「わざとか? わざとなのか?」

え?

何? 紋章のこと?

紋章・・・・!!

「片翼の竜!!!」

「はぁ、・・・・・・それ以外ないだろう?」


そうか! 片翼の竜。

原初の魔法使いが使っていたと言う紋章。

何だ、だからいきなり原初の魔法使いのことなんか話し始めたのか!

「それなら、そうと言ってくれよ」

「お前以外は、全員気が付いていたがな」

嘘だ~。

クラウディアも?


あれ、頷いていやがる。

あ、なんかすっごく恥ずかしい。

「この石板を要約すると、神殺しの方法を知りたければ原初の魔法使いの足跡を追え。そんなところだろう」

なるほど、異端認定された要因の一つに神殺しの方法が含まれている可能性がある。

ならば、同じ魔法使いが、信仰の対象である神に弓引く可能性がある。

弓術使いだけに。

・・・・・・うわぁ、これは駄目だ。

口に出せないな。


「けど、それは可能性だろ? そんな事で、捕まえて異端認定するか?」

「はぁ~、お前は抜けてるんだか、豪胆なのか、馬鹿なのか? 現にここに来て、直ぐに捕まっただろう? 異端認定もされかかったし」

あ・・・・・・そんな事もあったな。


「だから、面倒にならないうちに自国に逃げるんだよ、なんならこの石板を破壊してしまってもいい」

うーん、歴史的文献を破壊するのは、気が引けるなぁ~。

じゃぁ、逃げの一択か。

あ、

「この通路ごと、隠しちゃうのは?」

「アホか、どうせ尾行が付いてるから直ぐにばれるよ」

え?

尾行?


「アディ、それにも気が付いていなかったの?」

「あ、はい」

「お前が派手にやったからな、勇者仮面やら竜退治やらな」

「おい、後ろのはみんなでやったことだろ」

「ハイハイ、さあ、行くぞ」

そう言って、部屋から出る際

ラインハルトは、石板に剣を突き立て、砕いてしまう

クラウディアとカチヤは、足でそれを隅に追いやる。


 地下だからやりたくはないが、両手に火を出し合成する。

高温の炎、完全燃焼を示す、青色の炎を砕けた石にぶつける。

高温でドロリと石が溶けるのを確認すると俺もみんなの後に続いて、出口を目指す。

まぁ、壁も一部溶けたけど、御愛嬌ってことで。


 なんだよ、今日の俺。

全体的に空回ってばかりだな。

ちょっと前の自分が、フラッシュバックする。

ああ、それはない。

恥ずかしさで、死ぬことが出来たら俺はもう、次の輪廻に行ってるな。


 それに触発されたのか、次々に思い出したくもない過去が甦る。

あああああ、もう、前世のことは良いじゃないか!!

何度か身もだえしながら、城に向かう。

この奇行も、何時か触れたくない過去になるのだろうか?

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