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78話

 街に戻った俺達は、今、法王聖下と共に大聖堂に来ている。

ここで、説教を貰うためだ。

決して、宗教的なものじゃない。

大人が子供に行う、あれだ。


「・・・・・・なんです。良いですか? それにですね。・・・・・・魔導の勇者様? 私みたいな爺の話は聞けませんか?」

「いえ、そんなことは、有りません!」

「宜しい。さて、今回の責任は特にラインハルト殿下。あなたにあります。良いですかな? 王族と言うのは、己を律して・・・・・・」


 はぁ、だから言ったんだよ。

幾らなんでも、竜退治なんて越権行為も甚だしいって。

大体、盾が欲しいからだしね。

・・・・・・まぁ、魔法の実験が出来て、俺に得が無いかと言えばそうでもないんだけどね?


「法王聖下! 失礼いたします!!」

騎士団の一人が、大慌てで入ってきた。

聖下に耳打ちをして、深々と礼をして出て行く。

はて?

「騎士団が、竜を退治して戻ってきたようですあなた方は、騎士団の実力を甘く見ているようなので検分に、立ち会ってもらいましょう」


 ん?

ドラゴンが、もう一匹いたのか?

探知に掛からなかったけどどこにいたんだろう?


 城の中庭には、人だかりが出来ている。

囲まれている団員の人たちは、俺達が見たことのない人ばかりだ。

「さぁ、こちらへ」

そう促されて、人だかりの中心に進む。

さて、どんな凶悪なドラゴンなんだろうか?


 うん。

小さいっすね?

大きく見積もって、狼ぐらいか。

翼も生えていないようだし、地竜(ミミズではない)と言う奴なのか?

牙も大きいし、肉食恐竜にふさふさの毛が生えたような不思議な風貌をしている。


「どうですか? 我が騎士団が2名の犠牲を出して討伐した竜は? 良いですか? 決して己を過信せず・・・・・・」

どうしよう。

これに2人の犠牲が出たの?

あれで、俺達の翼竜を見た日には・・・・・・。


 ラインハルトを見ると、親譲りの悪戯好きな表情を浮かべていた。

おい? おい!

やめろよ?

絶対にやめろよ?

箱から、手を離せ!!


 俺のアイコンタクトを、どう曲解したのか

ラインハルトは、今回の獲物を披露してしまった。


 俺とクラウディアは、顔を覆ってしまった。

こいつ、ここまで空気読めないの?

カチヤも胸張らなくていいから・・・・・・。


魔道具とは言え、この大きさが良く入っていたよな。

改めて見上げると、いきなり山が出現したのかとそう思わせる大きさだ。


 法王聖下は腰を抜かし、騎士団の人たちは青い表情を浮かべている。


「こ、このような竜が・・・・・・どこに?」

え?

把握していなかったの?

ならラインハルトは、どこから情報を持ってきたの?


「こやつは、この街から10日ほどの距離に居ましたが? 冒険者ギルドで、聞きませんでしたかな?」

したり顔のラインハルトが、これぞドヤ顔と言った表情を浮かべていた。

意外と性格悪いな、・・・・・・いや、色々溜まっていたのかな?

「な、なんと・・・・・・」

騎士団員も把握していなかったようだ。


 因みに確認すると、他国と同様やはり、この国も冒険者の地位は低く、支部長ですら一般騎士団員に頭が上がらないらしい。

そのため、満足に情報の共有が出来ないらしい。

今回の件も、ドラゴンと聞いて騎士団は俺達より先行していたが、見当はずれの所を捜索していたようだ。


 って言うか、こんな大きい獲物を見落とすなよ。

街から少し行けば、十分視認出来ただろうに。

うーん、俺の中で騎士団の株が急降下している。

いや、この国の株も急降下だ。

明らかに、国民を守ることが出来ない国に好感を持つことが出来るだろうか?

俺には、無理だ。


 今回の件は、騎士団の不手際もあり有耶無耶になった。

解放された俺達は、勇者の生家に行くことにした。

残念なことに、今回の竜は大物すぎてこの国では扱えないそうだ。


 まぁ、国に帰ってギルドに出すことにしよう。

得意満面なラインハルトも、ここで竜鉱を取ることが出来ない

そう言われたときは、放心していたけど良い薬になっただろうから、引きずって来た。


 調子に乗るのは良くないよね。

お互いに。


 さて、屋敷に入るとやはり、若干の違和感を感じる。

この勇者の屋敷、現在は保存しているだけだけど何か有りそうだな?


 手分けして、捜索するが特に変わった所が無い。

けど、

「貴族の屋敷にしては、妙だな?」

と、立ち直ったラインハルトも訝しんでいる。

「我が国以外の貴族は、大抵脱出口を造るのだがそれらしいものが、一切ないのは奇妙だ。」

ラインハルトは、そこに引っかかっているようだ。


「年代の違いからでは、無いんですの?」

「なら、もっと妙だ。この国が安定したのは、そんなに昔のことではない。なら、古い屋敷の方が脱出口は無いとおかしい」

「仮にも勇者の家だぞ? 勇者を襲おうとするやつ居るのか? そう考えると、ある方がおかしくないか?」

「そうか? そう言われると・・・・・・」

まぁ、一応調べてみますか?


探索魔法を行う。

隠し通路があれば、そこに住み着く虫やネズミがいるはず。

うわぁ、いたよ。

「あそこの床調べてくれる? ああ、虫がいっぱいいるから、注意して?」

広間の暖炉、その目の前の床。

そこに他には無い位の虫の反応がある。

大きくなく、短く早く動いているので間違いなく、虫だろう。


俺は悪食の件で、虫が苦手になったので皆から少し離れて、指示を出した。

ラインハルトが床を調べ

「ここ、開きそうだな」

と、剣を床に刺し板を剥がしていく。


 突如開いた床から、無数のゴキやムカデなどが家の中に這いずり回る。

一応、魔物化している個体は潰しておいた。


 あーー、もう無理。

「アドルフ、さっさと来いよ」

そう促されて、地下に入っていく。

暗いよ、怖いよ。


「やっぱりあるじゃないか」

なるほど、この通路が脱出口なのか。

あれ?

この部屋は?

通路の一部が朽ちて、奥の部屋を露出させていた。


 うわぁ、埃クサイ。

立ち込める埃が、不快感を引き上げる。

さて、中には?

「何かあったか?」

声を掛けられ、辺りを注意深く見まわす。


 奥に何か有るみたいだな?

隠し部屋の奥。

隠し金庫の様に、壁に穴が開いている。

そこに有るのは・・・・・・。

石板?

それと、腐敗してしまった本だな。

こちらは、もう読めそうにない。


「石板かな? こんなのがあったぞ」

その石板を皆にも見せる。

「随分、古そうですわね?」


 一見、只の石板。

そこには、俺達が探し求めていたもの。

そのヒントが書かれていた。


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