77話
いやね?
確かに木竜とか言う、ファンタジーな存在は居たよ?
けど、魔物は大体、前世の獣が大きくなった程度だったからドラゴンも、大方コモドオオトカゲが、馬鹿デカくなったダケジャネ? そんな想像してたけど、
「何で? ドラゴンだけ、ドラゴンなんだよ――――!」
ドラゴンから放たれたブレスから、必死で逃げながら思わず叫んでいた。
俺達が街から、ひっそりと抜け出して9日。
ドラゴンは街に向かって、歩を進めていた。
そのことを探索魔法で知った、俺達は急ぎドラゴンの下まで来ていた。
そこには、山と見間違うような大きな体躯。
背中には、力学を無視したような羽根が生えて
その巨体を宙に浮かしていた。
へぇ~、探索魔法って球状に探索してたんだ。
そんな現実逃避をしながら
「あれ、どうするの?」
「そうだな、魔法で引きずり落としてくれ。」
はぁ~!
あんな巨体を?
魔法だけで?
クラウディアを見ると、今まさに魔法の矢を放とうとしていた。
「待って! タイミング合わせて!!」
そう言ったのに、矢はドラゴンに向かって
放物線を描いていた。
ああぁ、気付かれた・・・・・・。
俺達を認識したドラゴンは、凶悪な形相で俺達を睨んでいる。
ドラゴンが上体を起こし、その長い首を天高く掲げ反動を付けて、振り下ろす。
口からは、大きな炎が放たれていた。
俺は叫びながらも、何とかブレスを避けた。
が、周囲の草は燃えて、周囲に炎の檻が出来ている。
勢いが強く、仲間たちがどこにいるかもわからない。
はぁ、こう言うデカい相手には、ちゃんと連携して取り囲んでいかないと、無駄な被害が出るのに。
仕方がない、周囲の炎に大量の水をぶつけ消火する。
ん?
ああ、やっぱりあの炎魔法と同じなんだな。
周囲の魔素が少なくなっている。
思う様に消火が進まない。
チッ!
「魔法は一時的に使えなくなるから、注意しろ!!」
出来れば使いたくなかったけど。
魔素消失魔法で、辺りを消火する。
ついでにドラゴンにも、消失魔法を飛ばす。
消失魔法が効果を発揮する前に、魔素創造魔法を周囲に広がるように掛けておく、こうしないと最悪、戦闘行動が出来なくなってしまう。
実戦で使うのは、初めてだけど特性を理解しておけば対処もできる。
目論見通り、周囲の炎の檻は無くなり魔素も十分に周辺に、充満している。
ただ、ドラゴンは宙に健在だ。
あ~、魔法で飛んでいると思ったんだけど
そういうものでもないのね?
あれか、なんたらとか言う蜂みたいな、力学的には飛べないけど、何故か飛んでますみたいな?
さて、ドラゴン君も俺達を警戒してブレスを使ってくることは無いみたいだけど。
よし、仲間たちも健在だな。
なら、撃ち落とすのは俺の役目か。
クラウディアに合図して、ドラゴンを挟むように左右に展開する。
今度はタイミング合わせてくれよ?
天高く撃ちだされた、魔法の矢を見ながら俺も魔法を展開していく。
様子見無しだな。
爆裂魔法の弾の雨で羽根の付け根を狙う。
クラウディアの矢は、顔に向かっているようだ。
着弾はほぼ同時・・・・・・かと思ったら、その巨体からは想像もできないくらいに、素早い動きで
魔法を回避していくドラゴン。
「おいおい、嘘だろ?」
身を翻した反動で、ドラゴンの尻尾が地上を払っていく。
縮地などで回避して、俺達は一か所に集まる。
「おい、やっぱり難しいって。」
「アドルフ、ここまでやっておきながら撤退したら、街に被害が出るぞ。」
「だから、俺は嫌だったんだよ。」
「アディ、今更。」
「ハイハイ。 それで?」
ラインハルトに、次の作戦を確認する。
「やはり、地上に落ちてこないとどうにもできんな。」
だよね。
はぁ~、いっちょ、ぶっつけ本番でやってみますか?
「俺がもう一度、魔法を使うから落ちたらお願いね。」
皆が頷くのを見て、仲間たちと離れる。
警戒してくれていたのか、ドラゴンは俺達に注目するだけで手出しはしてこなかった。
ならば、その警戒に応えないとな。
魔素創造魔法を足元に落とし、風を両手で創り重ねる。
両手に雷を生み出し、魔素が急激に増加した状態で特大の雷撃をドラゴンに放つ。
「ああああああああああああああああああああ!!!」
魔素が充満した空気を吸い込むと、徐々に視界が狭窄していくのが分かる。
しかし、それも一瞬。
次第に元に戻る視界を認識しながら、ドラゴンを見据える。
雷撃に撃たれたドラゴンは、煙を上げながら地に落ちていく。
ひどい頭痛がする。
けど、仕方がない。
数日前に開発していた、雷撃魔法。
これがまた、扱い辛い魔法だった。
通常の魔素を含む空気では、出せて静電気程度。
以前、馬鹿魔法と罵った魔素で魔素を創る魔法。
(これを魔素創造魔法と呼んでいる。)
これを併用して初めて、雷撃と呼べる魔法になる。
恐らく、地上で雷を起こそうとすること自体が、異常な状態なんだろう。
この世界にも雷雲と言う、自然現象はある。
あの雲の中は、さぞかし途轍もないエネルギーが渦巻いていることだろう。
創っておいてなんだが、二度と使うことは無いと思っていたのにこうも、早くに使うことになるとは。
馬鹿魔法と呼んでいた、二つの魔法の欠点は未だに解決の糸口は、見つかっていない。
即ち、この雷撃魔法を使うと言うことは半分自爆技なんだ。
現に今俺は、急激な魔素中毒と魔素欠乏を短時間に体験し、動くことが出来ないでいる。
地上に落ちたドラゴンに、抵抗されながらも戦う仲間たちの姿を眺めながら、あの大きさの竜と戦う必要があったのか?
今更ながらに、そう疑問が浮んでくる。
あ、ラインハルト吹っ飛ばされた。
おお、カチヤが手? 前足? を切り離した。
クラウディア、危なっかしいな。
お? 復帰したラインハルト頑張るな。
ふぅ~、やっと終わったみたいだな。
・・・・・・早く助けに来てくれんかね?
いや、確かに安静にしてれば、治るよ? この症状。
でもさ、心配とかさ、あるじゃん?
ある・・・・・・よね?
いや、箱に詰めるのは後でもいいじゃん!
早く来いって! 特にラインハルト!
今回はお前の我儘の部分が、大きいんだしさ。
功労者を労うとか、王族として必須な感覚じゃないの?
あいつ、どこいった? じゃないよ。
ここ!! ここにいます!!!
そう、そっち。
「アドルフ、いつまで寝てるんだ?」
「ラインハルト、何時か・・・・・・死なす。」
それを口にすると、もう気力もなく俺は意識を失った。




