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76話

 神の御使いの件から、数日たった。

俺達はまだ、新聖国スクロースにいた。

本来なら、もう帰路についていてもいいのだが、困ったことに王族の二人の、病気が発症してしまった。

どんな名医にも直せない、セロフィー王族の特有の病気だ。


「なぁー、ラインハルト。そろそろ帰ろうぜ。」

「お前らも好きにしたんだ、もう少し羽を伸ばさせてくれ。」

前世でも、たまにいたな。

遠出すると、まだ帰りたくないって言うやつ。

そんな訳で、未だにこの国に滞在している。


 俺は余り観光が、得意ではないので借りている一室で、魔法の開発に勤しむ。

今試しているのは、同じ属性を掛け合わせることが、出来るのか?

例えば、火と火を合わせて、炎に成るのか?

と言った、魔法使いなら誰でも生じる当然の疑問を、確かめている。


「風と風は、分かりやすいけど水は、何が変わったんだろ?」

同属性の合成は、恐らく中級で間違いない、そう思える反応を、示すものもあった。

風と風を合わせると、何故か電気が発生する。

今、俺の手の中には、指同士に掛けて幾重もの電気、と言うか、静電気に似たものが走っている。


「アドルフ、何してるんだ?」

後ろから覗き込むように、ラインハルトが近寄ってくる。

「見ての通り、暇だから魔法開発をしてるんだが?」

「お前は・・・・・・馬鹿か?」

不意に小突かれ、魔法が消失する。

「何するんだ、危ないだろう。」

「何するんだ、じゃない。お前は・・・・・・部屋の中で、魔法を開発するんじゃない。」


「大丈夫だよ、調節してるし。」

「ほぉ、じゃぁ家具が傷ついたらお前個人で、弁償しろよ?」

そう言われて、俺は改めて、周囲を見る。

周囲には、趣味がいいとは言えないが高そうな調度品だけだった。

数日過ごしていた部屋なので、変に慣れてしまったのだろう。


 とても俺個人では、弁償できそうもない。

しょうがない、やめるか・・・・・・。

「何だ? やめるのか? なら、丁度いい。 付き合ってくれ。」

「はぁ? どこ行くの?」

俺は、もう見るべきところは、見まわったので街に興味はない。


「面白いものと、面白い場所を見つけたんだ。皆で行こうぜ。」

はぁ、ラインハルトは、王宮に帰らなければどこでもいいんだな。

何だかんだ、理由を付けて帰国を送らせたいんだろうな。

いい加減帰らないと、俺もヘルマン伯爵あたりからお小言貰いそうだから、連れて帰りたいんだけど。


 残念ながら、帰りたがっているのは俺一人で、カチヤも何だかんだで、この国を楽しんでいるようだから、強く言えないんだよなぁ~。


「ハイハイ、どこ行くの? カチヤ達も呼んでくる?」

「ああ、そうしよう。」

そう言って、今日も街に繰り出すことになった。


「へぇ~、こんなところにも、武具屋があったんだね。」

街の西側、貧民街の近くに、その武具屋はあった。

「ああ、掘り出し物とか、有りそうだろ?」

そうだろうか?

店構えは、正直繁盛していない様子が見て取れる。

大体、貧民街には近づかない様、散々騎士団長から釘を刺されていたはずなのに。

こんなところまで来て、しょうがない王太子だな。


「これだよ、見てくれ。」

そう言って、俺達を見せの中に引きづり込むとある盾の前に、連れていかれる。

「綺麗ですわね。」

「アディ、これって。」

「ああ、」

ラインハルトが見せたがっていたもの。

この盾は、店の暗がりにあっても、薄く光を蓄えていた。

他の金属と一線を画す、その金属。


「竜鉱・・・・・・だよな?」

「そうだ、全て竜鉱で作られている、総竜鉱の盾なんだ。」


なるほど、これは珍しい。

全て竜鉱か。

カチヤの剣も、拵えは他の金属を使っているし、これは流石に竜を討伐した国ならではの物だろう。


「これ、欲しいよなぁ~。」

ラインハルトがウットリとした表情で呟く、俺達にも聞こえる大きさで。

「ラインハルト、欲しいの?」

「ああ、欲しいさ。」

珍しいこともあるのもだ、ラインハルトがこうも物欲を前に出してくるなんて。


「へぇ~。」

値段を確認すると・・・・・・。

はぁぁ!?

「ラインハルト、これはさ、無理じゃない?」

金貨で1万と書かれている。


俺達の所持金は、金貨2千枚程度。

それもここにきた時の話であってここ数日の遊びで、もう半分くらいは消費してしまっている。

帰りの路銀を考えると、もう帰路に入っていないと厳しいくらいだ。


「無理だよな・・・・・・。」

明らかに暗い表情になるが、こればっかりは。

「なんだ、兄ちゃんまた来たのか?」

そう、店主に声を掛けられる。

ラインハルトは、顔を覚えられるくらいこの店に来ているのだろう。


「まぁその盾は、ほとんど客寄せの非売品に近いから何度来ても、値引きはしねーぞ?」

そう言って、奥に引っ込む店主。

鍛冶の腕を見せつけるために、造ったのだろう。

なら、これはあきらめた方が賢明だ。


「だが店主、先日の話は本当なんだろ?」

「ん? ああ、材料さえ持って来れば安く作ってやってもいいぞ。そんな滅多に逢える金属じゃねーからな。」


 その話を聞くと、ラインハルトは、俺達の方を見てキラキラとした目を向けてくる。


 いやいや、ないない。

「材料って、竜でしょ?」

ねぇ?

と、カチヤに目を向ける。

あ、キラキラした目をしてる。

「余ったら、剣を造ってもいい?」

いや、もう持ってるじゃん。

クラウディアは・・・・・・。

何でキミまで、キラキラした目をしてるんでしょうかね?

「竜、ドラゴン・・・・・・未知の生物。」

会いたいだけかい!


「丁度、ここから10日の位置にドラゴンが出没しているらしい。」

周到やね?

情報も見つけてきちゃったの?

「皆、冷静になって、相手は騎士団がかなりの損害を出した相手だよ?」

「は! あんな騎士団でも倒せた相手に・・・・・・アドルフ、臆病風に吹かれたか?」


 誰がチキンだ、・・・・・・なんて、時間移動する少年じゃないからそんな挑発には乗りませんけど?

「臆病とかそう言う話じゃないしね? 大体、ドラゴンにどうやって傷をつけるの?」

興味が無いわけじゃないから、俺も騎士団長に話ぐらいは聞いてるよ?

他の大型の魔物以上に固いって話もね。


 やれやれ、みたいなジェスチャーをしながら

「アドルフ、お前の魔法はドラゴンにも通用しないのか? あんなに熱心に開発していても、ドラゴン相手じゃ役立たずなのか?」

ウザっ!

何こいつ?

魔法まで馬鹿にしてきた。

「はぁ? 通用するにきまってるじゃん!余裕だよ! 馬鹿にすんな!!」

「よし、決まりだな。3日後にドラゴン退治に出発するぞ!!」

「「「おー!!」」」


よし!!

見事に乗せられてしまった。

・・・・・・俺は馬鹿だ。


 そして、ラインハルトの言っていた面白い所、それは勇者の生家にして終の棲家になった屋敷だった。

違和感を感じる造りになっていたが中の調査は、ドラゴン退治が済んでからそう言うことになった。


 騎士団長に、出没しているドラゴンの話を聞きに行くと出没した周辺は、被害が大きく侵入禁止地区に指定されてしまったらしい。

なら、これも恩返しの一環、ってことでいいか。

しかし、騎士団長には

「お客人に、何かあっては我が国の名折れ。くれぐれも、近づかないでください。」

そう言われてしまった。

これは、また勇者仮面が登場するしかないか?





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