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71話

「で、あなたは誰で、何が目的なんですか?」

数時間監禁され続け、やっと人が現れた。

態度は最悪で、居丈高ってこんな態度なんだろうな。

そう思える人物だ。

視線を向けると、テーブルを挟み対面に男が座っている。

「ふん! お前が魔法使いとか言うペテン師か?」

はぁ、またこのパターンか・・・・・・。

「はいはい、質問を質問で返すなよ。礼儀もないのか? この国の騎士様は?」

身なりの良い鎧姿の青年。

俺よりも5歳程度年上だろうか?


「ほう、野蛮な猿国家の人間が礼儀を語るか? 片腹痛い。お前こそ礼儀を弁えたらどうなんだ?高々属国の分際で!」

「ぶふぅっ!」

なに?

属国?

何言ってんだこいつ?

「何がおかしい!!」

「ククク。はぁーあ、馬鹿が馬鹿なこと言ってるんだ。おかしくないわけないだろう?」


 何時からセロフィーが属国になったのだろうか?

確かに以前はトムーギの保護下にあった。

それは認めよう。

だけど、今は不可侵条約があって独立した一国家なんだけど。

それにこの国とセロフィーはほとんど関係ないじゃん。


「貴様!! 私を侮辱する気か?」

「だから、どこのどなたさまか教えろって。初対面でこんな物言いしてる奴に礼儀を示すほど、俺は大人じゃないの? 分かるかなぁ~、分かんねーかなぁ~」


「この!!」

立ち上がろうとするので、テーブルを蹴り動かす。

テーブルに押され、強制的に座らされる男。

「ぐふっ」

「で? 誰?」

俺はもうすでに戦闘態勢に入っている。

矢玉は握っているし、何ならテーブルの下で水の弾(ウォーター・バレット)を形成している。


は!

この程度で怯んでやがる。

こいつは在籍しているだけの、貴族のボンボンだな。

やっぱり、嫌いだわぁ~この国。

客人にこの態度だし、第一客人監禁するか? 普通。


「貴様如きに名乗るななど、持ち合わせていない! 貴様は黙って異端審問を受ければいいのだ!!」

「はいはい、じゃぁ、今から実演するからその目でよーく検分しなよ?」

俺は立ち上がり、矢玉を腰の袋に戻す。

「これ、見えるかな?これが魔法だよ!!」

窓に向かって水の弾(ウォータ・バレット)を放つ。


 格子が掛かっていた窓は、派手な音を立てて砕け散る。

自体が飲み込めない顔をしている騎士に向き直り

「これでも分からない?じゃぁ、これならどうだい?」

両手を使い、隠形魔法を使用する。

「なにっ!!」

周囲を見回す騎士の男。


「どこにいった!!」

声大きいなぁ~。

部屋に響くくらいの大声だったため、近くにいる俺の耳にはのけ反りそうになるくらい声が響いていた。

騎士が腰の剣に手を掛けると、窓の破片がタイミングよく落ちる。


「くそ! 外か!!」

走り出す騎士。

残念まだ、中にいます。

動けないからね、この魔法。

知らないだろうけど。


 扉の向こうに居たと思われる、従者らしき少年が扉から中を覗き込んでいる。

遠くで警備を外に回せなんて言う、声が聞こえてきたが少年は好奇心からなのか、部屋の中に入ってきた。


 丁度いい。

「少年。法王聖下は、何方におられるのかな?」

俺が声を掛けると、少年は顔を引きつらせて周囲を伺う。

ああ、まだ見えないのか。

よいしょっと。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

まぁ、いきなり目の前に人が現れたらそりゃ驚くよな。

「驚かせて済まない、少年。それで、聖下はどちらに?」

「ぁぁぁっぁぁあああああ。」

腰が抜けたようで、手足を使いながら必至に後退る少年。


「少年、聖下は・・・・・・」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

・・・・・・

「ふぁっ・・・・・・あああああああああああああああ!」

「うるせーーーーーーーー!!!!!!!!!!」


「話を聞いてくれ、いいか?」

コクコクと頷く少年。

ふぅ、やっと話が出来るな。

「聖下は、今何方に?」

「れ、礼拝堂だと・・・・・・思います。」

「へー、本当は?」

「し、執務室です。ご、ごめんなさい。もうやめて。さ、寒いです。」


 何が寒いか、只の風じゃないか。

よーし!

じゃぁ、頭を抑えに行きますか。

あ・・・・・・。

「少年、執務室どこ?」



 少年に案内された、執務室の扉をノックする。

「誰じゃ?」

いるな、良し。

少年に手を振り、追い払う。

少年が遠くなると、再度ノックをする。


「開いておる、入ってまいれ。」

執務室には膨大な書類に囲まれた、法王一人がそこにいた。

御付のものも居ないようだ。

俺が入ってきても、未だに書類から目を離さない。

「誰じゃ?儂は忙しい故、時間まで誰も近寄るなと言っておろうが。」


 顔を起こした法王が、俺を見る。

「これはこれは、魔導の勇者様。どのようなご用件ですかな?」

「お忙しいところ申し訳ありません。法王聖下、少し御耳に入れたいお話が・・・・・・」


 今回の件を詳細に話していく。

窓を壊したのは、・・・・・・仕様がないので包み隠さず申告した。

「なんと・・・・・・」

話し終わると、頭を抱えた法王がいた。

ふむ、法王が首謀者ってわけではないようだな。


「誠に申し訳ありませぬ、魔導の勇者様。我が国でまたしても、このようなことが起きてしまうとは。」

頭を下げる法王。

「頭をお上げてください、聖下。」

「いや、我が不徳の致すところこのようなことになり、恥入ることしかできませぬ」


 この国では、代々法王の命で、魔法使いと思しき人物は丁重に保護するように厳命されてきたそうだ。

原初がトムーギに出奔してしまうことに思うことがあったのだろう。

何時か現れるであろう、新しい魔法使いを保護することで、罪滅ぼしをしたかったのだろう。

それが贖罪にならないと知りながら。


「最近の、騎士達の増長に気が付いてはいたのですが長らく英雄と言うものが出ていない現状で

久しびりに出た英雄に民達も喜んで居た為つい、放置してしまっておりました。」

なるほど、俺が魔法使いとしてこの国に来たのが騎士団には面白くなかったのか。

・・・・・・知らんがな。


 いや、待てよ?

「法王聖下、暫くお目を閉じていてくださいませんか?」

「構いませんが、いったい何を?」

「英雄たちにお灸をすえてやろうかと。」

「はぁ・・・・・・?」


よし!!

お墨付きを貰ったところで、騎士団相手に魔法の実験と行くか。

いや、魔弓術の実戦訓練だな。


 この国の人に、魔法の復活を派手に見せてやろう。

特に、あの男にはかなり痛い目を見てもらおう。

自分の尊厳を保つために、人に当たるやつなんだから少しトラウマを刻むぐらい許されるだろう。

いや、完全に許されるね。



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