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68話

 いつもとは違い、スムーズに出発できた。

目指す場所はスクロースにある、教会本部。

ざっと道程を計算してみると、行き帰りだけで8か月。

ただ、何もなく順調にいけばだが。


 そう、何もなければよかったのだが・・・・・・。

「おい! 聞いてんのか?」

「さっさと、身ぐるみ置いて御家に帰りな!」

ぎゃははと、下品な笑い声が聞こえている。


 トムーギの国境を越え、数日歩いたところで見るからにまともな職に付いていない、そう認識できる人たちにあった。

「何この人たち?」

「野盗だろうな。」

いやはや、どこかで居るだろうな。

そう思っていたが・・・・・・。


「そう言えば、セロフィーでは、見たことなかったね。」

「そうだな、我が国は冒険者しかいないからな。こんな事をしているより、働いた方が金になるから。それにこれまで散々狩りつくしたらしいから、その手の奴は寄り付かないんだ。」

「なるほど。」


 それにしても、国境近くでこんなにも大人数で活動して目を付けられないのか?

ひい、ふう、みい・・・・・・はぁ、20人いるんですけど。

これで全部か?

普通はアジトに何人か残るもんだが・・・・・・。


「どうする?」

「当然、放置できない。」

「そっか。」

「アドルフ、魔法は使うなよ? 特に例のやつは。」

「ああ、あれはとてもじゃないけど人には撃てないよ、魔物に撃った時ちょっと吐いたから。」

そう、腐食魔法を動物に撃ってはいけない。

幾ら魔物だからといって、動物が腐敗しながらのたうち回り、腐敗した肉をまき散らし周囲の草木を巻き込んで土に帰る姿は、何日か夢に見るほどだった。

あの魔法は、禁忌としか言いようがない。


「ちょっと待て。」

「なに?」

「何時実験したんだ?」

「何時って・・・・・・」

「おい!! 無視してんじゃねーよ!!」

「お前らは黙ってろ!! アドルフ、いつ、どこで使った?」

「新年のパーティーを抜け出して、直ぐに軍が使う森に忍び込んで、かな?」

「お前と言う奴は!!」


 いや、ラインハルトが怒るのも無理はないよな。

あんな凶悪な魔法だったなんて。

「いや、ごめん。あんな魔法だって分からなかったから。」

「そこじゃない!」

「あ、危ない!」

野盗が話を遮り、襲ってくる。

ラインハルトはこちらを向いているので

気が付いていないだろう。


 ラインハルトを押し退けて、相手の剣を剣で受ける。

「ラインハルト、話は後で。今はこの人たちを、どうにかしないと。」

さて、捕まえる方がいいのか。

斬った方がいいのか?

「後で詳しく聞かせてもらうぞ!」

いつもより低い声で、ラインハルトが声を上げる。


 ラインハルトとカチヤは鞘に剣を納めたまま野盗を殴り倒してく。

クラウディアも足を撃ち無効化していく。

良かったぁ~。

流石に人殺しの覚悟は、出来てなかったから斬れなんて言われてもできなかったよ。


 俺もみんなに倣い、野盗を無効化していく。

指弾で脚を撃ち何人かの野党がのたうち回っている。

それを見た野盗たちは、我先に逃げ出した。

逃げる野盗をそのままに、倒れている野盗をしばり上げていく。


 はぁ、気分が悪い。

幾ら野盗とは言え、人に怪我をさせる行為って正直苦手だ。


 もちろん、前世とは倫理観が違うのも分かっているがそういったことに触れて来なかったことで

忘れていた。


「結構な人数になったな。町と国境、どっちが近いかな?」

幾ら犯罪者といっても、捕まえた人間をそのままに出来ない。

引き渡す相手が必要だ。

何せこっちは徒歩だ。

捕まえたのは10人程度だが、連れて歩くわけにもいかない。


 ひと際高い木に、するするとカチヤが上っていき周囲を確認する。

「町が見える。半日も行かない距離にある。」

「よし、クラウディア。警備隊を呼んできてくれ。」

「分かりましたわ。」


 颯爽と走り出したクラウディアを見送るとラインハルトは俺に向き直る。

「さて、アドルフ。先ほどの話を、詳しく聞こうか?」

チッ!

忘れてなかったか。

・・・・・・まぁ、気分転換に話すのも悪くないか。

話した後怒られるとしても。


 ラインハルトに詳しく話していく。

魔法を受けた魔物の様子も、細かく描写してやった。

明らかに曇っていく表情を見ながら事細かく詳細に話していく。


 気分を害したであろうラインハルトにいつも以上に怒られたが、いつも通りに接してくれる。

ラインハルトのお陰で初めて人を攻撃した、その事実が日常に溶けていくようで気分は悪くなかった。


 だけど、忘れないようにしよう。

人を傷つける不快感を、いずれ人の命を奪う可能性を。

いずれ仲間の命が奪われるかもしれない、その可能性を。


 そう、魔族であれ、命を奪ったことをその事実を忘れないようにしないと。

これから、神を名乗るエルを攻撃するためにこの旅があるのだと言うことを。


 戦争をするにしろ、回避するにしろ、相手を攻撃しなくてはならない現実を。


 なんだかんだ言って、俺は甘ちゃんのお子様思考が抜けないようだ。

エルの前に立つまでに覚悟を決めなくては。

あいつを殺す覚悟を。

しなくてはならない。


 そんな事をラインハルトとカチヤのお小言を聞きながら考えていた。


次回投稿は2日後を予定しております。

では、次回投稿で。

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