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67話

「全く、幾ら王太子とその仲間といえど、手続き無しで来られると、王としての威厳が損なわれるんだがのぉ」

俺達は先日の魔族の一件を、報告に来ていた。

・・・・・・と言うか、押しかけた。

十分に非常識なのは理解しているつもりだ。

 しかし、異常事態の報告を即時に行う。

これも臣民に課せられた義務だろう。


「そうか・・・・・・そこまで魔族が迫っていたとは。」

宰相はじめ陛下の側近たちは、皆苦い表情で報告を

聞き入っていた。

中でも軍部の重鎮は非常に険しい表情だ。


「侵入されたことはしょうがない。今回は撃破出来たしの。以後、警戒は厳に頼むぞ。」

「は!」

一礼をして、軍部の関係者は急ぎ退室していく。


「さて、これほどまでに活発に動かれては対処のしようもないのも事実。本格的に対応を考えなくてはな。」

「しかし、陛下・・・・・・」

宰相の微妙な表情を見て、俺も同じ表情をしているだろう。

何せ、未だ魔神に対する対応策は見つかっていない。


 魔族自体は通常の方法で対応できる。

しかし、魔神に傷をつける方法。

これは国が総力を挙げて調べているが伝承の類の見つかっていない。


 ここは、やはり木竜に教えを乞う他、ないのではないだろうか?

ただ、それも問題がある。

木竜に支払う報酬だ。

前回の報酬もセロフィー随一の職人に作らせた名品中の名品。

それが話の触りだけの報酬になった。


 今回は俺の魔法指南書も、加筆部分は極わずかだ。

明確な値段が無いものに、どれだけの金額を用意するのか?

そこが今の最大の問題でもある。


「何かいい手立てがあればいいのだが・・・・・・」

陛下も報酬については、見当もつかない様子だ。

「陛下、宜しいですか?」

「おお、魔法使い殿。なにか?」

「木竜の件ではないのですが、少し知りたいことがあります。」

「何が知りたいのじゃ?」

「はい、魔族そのものについて。」

「魔族・・・・・・じゃと?」

周囲も驚きを隠せないように、騒めきが起こっている。


 事前にラインハルトにも確認したが、詳しくは知らないらしい。

俺には、魔族の10段階に対する想いのようなものが、見えて来ない。

何故、1成功例があるにもかかわらず、リスクを負ってまで挑戦する者がいるのか?


 迷宮のキメラは、恐らく以前からあの状態だった可能性はある。

しかし、ヴィルトカッツェ山に居た魔族は俺達が竜の聖地に行った後から、10段階を使用したはず。

その時はもう、エルはエルではなくなっていたはず。魔族にとって、10段階とは何なんだろうか?

そこを知らなくてはいけないような気がする。


「魔族に関する資料、文献はここにはない。」

それは分かっている。

ラインハルトも知らないんだ。

しかし、どこかにはあるはず。

何故なら、木竜と言う生き字引が存在するのだから。

以前に聞いた組織があってもおかしくはない。


「陛下、教会本部なら或いは・・・・・・」

司教が恐る恐る発言する。

教会本部・・・・・・ってどこだ?

「なるほどの、行ってみるか?」

「はい!」

どんな些細な情報でもいい。

今は、知る必要がある。


 陛下との謁見を終え、俺達の今後の方針も決まった所で、疑問を解消しよう。

これまでの教訓もあり、あの場では詳しくは聞かなかったが

「ラインハルト、教会本部ってどこ?」

「はぁ、神聖国スクロースだ。」

だから、それどこ?


 ラインハルトの話では、ここから遥北東の地にあるらしい。

直接セロフィーとは、接していないからトムーギと通り抜ける必要があるらしい。


 神聖と付いているように、宗教国であり彼の勇者を輩出した歴史の深い国のようだ。

最近では、竜退治の英雄として名高い、騎士団を有する国でもあるようだ。


 宗教国か・・・・・・。

もう良い印象が無い。

原初の魔法使いも迫害された国だし。

魔法を独占しようとしていた節もあるし。

まぁ、失敗してるんだけど。


 俺が行って、何もなければいいんだけど。



 若干の不安を含み、来月には旅立つことになった。

何故来月かって?

残念ながら、もう新年の季節になってしまったからだ。

俺ももう、15歳。

名実ともに成人だ。


 本来なら諸手を上げて、喜ぶところだろうが正直これからのことを考えると気が重い。

これで、タイムリミットが残り9年になった。


 あまり進捗が無いまま、リミットが迫る。

吹っ切れたと思っていても、やはり気が重くなることには変わりがないらしい。


 新年のパーティーは、いつもと変わらぬ様子で進み、参加者の多くが新年を祝っている。

俺達を含め、上級貴族の一部は魔族のこともあり、浮かれきれない様子だ。


 この新しい1年は、どんなことが待っているのだろうか?

願わくば、表情に陰りを見せている人たちが心から笑みを浮かべることのできるそんな1年になってほしい。


 そう願わずにはいられない。


 いや、思いつめるのは良いことが無い。

考えようによっては、後9年もあるんだ。

焦ることは無い。

そう自分に言い聞かせ、パーティーを後にするのだった。



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