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63話

 父上に喝を入れられ、早1週間。

体調も大分回復してきた。

あの翌日は、回復魔法を掛け忘れて、打ち身による高熱を出してしまったけど、そのおかげで静かな時間が造れて魔法の構想を練るには良い時間だった。


 さて、ここらでいいかな?

「アドルフ、ここはまだ近いぞ。あの森を迂回したところにしよう。」

・・・・・・なぜかラインハルトにばれて付いてこられたけど、今日は少し遠出をして魔法開発に来た。


「アディ、森で食材を取ってくる。」

「私も行きますわ。」

女性陣はさっさと森に駆け出していく。

まぁ、あの二人なら何の問題もないだろう。

飯時が楽しみだ。


 暫く歩くと、広大な草原が広がっている。

「ラインハルト、こんな場所何で手つかずなの? 穀倉地帯にすれば食糧事情が向上するんじゃない?」

「その金を誰が出してくれるんだ?」

「いやいや、それは投資でしょ? 国が出せばいいじゃん。」

「知っているか? 投資にはリスクがあるんだぞ? それに今は食糧事情も安定している。そして、急な農地整備は周辺国に緊張を呼ぶ。」

そんなもんかね?


 まぁいい、農地にする予定が無いなら多少の無茶も大丈夫だろう。

先ずは周辺を確認しないと。

索敵魔法で周辺を調べる。

あ、あそこに普通の兎がいる。

珍しい。

ああ、逃げちゃった。

やっぱりこの魔法は相手にも分かるんだな。

魔力の配分なんだろうか?


 まぁ、これで周辺に何にも居なくなった。

某RPGの聖水みたいな使い方になったけど今はこのままでいい。

さて、では。


 今日の実験は、打ち消しになる属性を調節したらどんな効果になるか。

それを確かめないと。

原初の魔法使いが書いた物には、効果は書かれていなかった。

ただ、合成できるとだけ書かれていた。


 確かめたいじゃないか。

先ずは、スタンダードに水と火だな。

「一応、離れていろよ?」

「言われるまでもない。」

両手に球体を出す。

勿論、それらを混ぜると。

音を立てて消滅していく、後に残るのは蒸気のみだ。


 成功したら、どうなるんだろう。

某漫画みたいに相手を消滅させる魔法になったりして。

お、ちょっと面白そうだ。

後々創るために、アイディアだけ書き記しておこう。


 脱線も済んだことだし、真面目に合成していきますか。

発現させた状態では、蒸気になるだけだ。

なら、発言する前の魔力の状態ではどうだろう?


 水と火をイメージしながらも発現させない。

中々難しいな。

んー、あ、水だけ出てきた。

違う、両方を一辺に出すには・・・・・・。

・・・・・・


あああああああああああああ。

難しすぎるわ!

何だこの魔法!!


 待て待て、落ち着け。

草原が無くなってしまう。

落ち着け、俺。


 両手に出すことは出来る。

そう、出来る。

両手で出すから難しいのか?


 イメージは出来そうなんだけど・・・・・・あと一歩が足りない気がする。

爆裂魔法の様に、膜内で合成するようにやってみるか。


 目を瞑り、より鮮明にイメージを固めていく。

魔力を固定して、その中で2属性を無理やり高出力で。

火の方が弱いか?

そのまま圧縮を掛けて・・・・・・。


どうだ?

出来たか?

ゆっくりと・・・・・・目を開ける。

うお、眩しい!

何が起きてるんだ?

危ない感じはしないけど・・・・・・。


 煌々と光る球体を観察していく。

純粋に魔力だけが発現したのか?

いや、何だ? 光だけなのか?

取りあえず、打ち出してみるか。


 10メートルほど先に撃ちだしてみる。

着弾すると、更に強い光を放ち一筋の光の柱を造り急速に消失していく。


「何が起きた? 何したんだ? アドルフ。」

「いや、水と火を混ぜただけなんだけど・・・・・・何が起きたんだろ?」

着弾地点に恐る恐る近づいていく。


何も起きてい無いような・・・?

あっちは、さっき切れた時の奴だろ?

明らかに焦げてるしな。

それに対して、こっちは・・・・・・。

草は枯れていないけど・・・・・・?

ん? ちょっと元気がないかな?


 分からん。

もう一度やってみるか。

今度は先ほどより、多くの魔力を込めてみる。

んん?

さっきより、魔力が使いずらいな・・・・・・。

行けるか?

何とか、これでどうだ?


 先ほどよりも眩しい光球を、同様に10メートルほど撃ちだす。


あれ?

足に力が・・・・・・。


 急な脱力感に襲われる。

これ・・・・・・魔力切れか?

いや、そんなに大量には使ってないぞ?


 よろめきながら、ラインハルトの方へ戻る。

次第に脱力感は回復していく。


はぁ?

なんで?

あ!

もしかして・・・・・・。

いやいや、そんな馬鹿な。

先ほど強い光を放っていた地点に駆け出す。


 ぐぅぅぅ、やっぱりキツイ。

先ほどよりも強い脱力感、いや倦怠感に襲われる。

這うようにそこから逃げ出すと


 おお。

何ともない。

・・・・・・。

はぁ、嫌な魔法を創ってしまった。


「どうしたんだ? あっち行ったり、こっち来たりして。それに何で寝転んだり、立ったりしてるんだ?」

ラインハルトにはそう見えたのか。

・・・・・・奇行に見えるんだろうな。

「これ、周囲の魔力を無くす魔法だ。」

「・・・・・・」


 微妙な表情のラインハルト。

大丈夫、俺も同じ心境だ。

そして、風が吹けば効果は無くなる。

厳密には着弾地点の空気に作用して空気中の魔素を薄くする効果。


「アドルフ、それ意味ある?」

「な・・・・・・くも無いかな?」

「へぇ、どんな?」

「これから考える。」

「そうか。頑張れ。」


 無表情のラインハルトは俺から遠ざかる。

さっきより、遠いのは何も含みが無いと思いたい。


 さて、今日の実験は、打ち消しになる属性を調節したらどんな効果になるか。

それを確かめないと。


 大丈夫、まだ何もしてない。

火と水はやらなくていいや。

ではでは、土と風を混ぜてみようかな~っつって!


 まだまだ、実験は続くのであった。



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