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59話

 その後も大図書館に籠り、1週間が過ぎた。

大体の本を全員が読み終えると、俺はある箱を見つける。

分類には、【破損図書】と書いてあった。

大体は日記であり、しかも現在上級貴族に名を連ねる者ばかりだ。

・・・・・・そう言えば上級貴族は申請すればここに入れるんだった。

恐らく、先祖の恥部を切り取っていったんだろう。


 目ぼしいのもの無い中、1冊だけ変わった図書を見つける。

それは、原初の魔法使いの直筆の旅の記録だ。

そこには本当に原初の魔法使いが書いたの? と、思えるほどしっかりとした文体で書かれていた。


 いきなりこっちの世界に来た戸惑いや、魔法の力に懐疑的で迫害されそうになったところを、勇者一行に助けられた事。

実践して見せた魔法を真似ようとして仲間の1人が死んだこと。

様々なことが書かれていた。


 そして、いつか現れるであろう後の世の魔法使いに向けた魔法解説もあった。

身体的特徴の違いに気が付いてからは、積極的には教えず手記も手掛かりが無いように、あんな出来にしたようだ。

解説されている魔法は、俺が解き明かした属性の相克までは残っていたが、そこからは破損していた。


 結果としては有用な情報は、

1・父神が死んでいる

2・幼神は2柱いる。

この2点だけ。

魔神の対抗策は一切なかった。

そう言っていい状況だ。


 ただ、魔法に関しては多少のヒントが得られた。

原初の魔法使いが書いた相克の図には、全てに双方向の矢印が書かれていた。

単なる矢印であったなら、強弱の関係で収まったけれど双方向なら話は違ってくるはず。

・・・・・・まぁ、解説部分は破損して読めなっかたんだけど。


 そうしてトムーギで行えるであろう事を、全て行い我がセロフィー王国への帰路についた。

・・・・・・隠していたセロインの日記は見事にラインハルトに見つかり、何故か破損図書の箱に入ることになった。


 セロフィー王国最東端の町に立ち寄ると懐かしい一悶着の有った冒険者ギルドが目に入る。

路銀の心配はないが、ギルドのその後がどうなっているか好奇心もあり、立ち寄ってみる。


 静かだ、それも異様なほど。

人がいないわけではない。

如何にも冒険者と言う風貌の荒くれた男たちが幾人もいるのにも関わらず、一言も発さず依頼を見ていたり、カウンターでのやり取りが入口まで聞こえるのは何でだ?

そして、冒険者が苦い顔で俺達を見ているのは何故なんだろう。


 また何か事件の直後なんだろうか? だとしたら、冒険者がここに留まる訳がない。

冒険者の地位が比較的高い国とは言え、根無し草の冒険者である。

気に入らなければ、他所の国に出て行ってしまうことも珍しいことではない。


 可能性として考えられるのは、何かがあったとしても他より美味しい依頼があるからだろう。

そう思い依頼書を見てみるとギルド支部長代理の所にダグラス先生の名前が・・・・・・。

なるほど、ダグラス先生の指導のお陰でこの空気感なのか。


 どうする?

会うべきか?会わざるべきか?

「やぁ、よくきましたね。」

ビクッ!

ゆっくりと声のする方を見てみると

「ダグラス先生・・・・・・」

俺達の鬼門がそこに立っていた。

「何をそんなに怯えているんです? そうそう、聞きましたよ! トムーギの迷宮を攻略したとね。」


 ・・・・・・よかった。

目も完全に笑顔だ。

「先生、どうしてここに?」

「いや~、例の件でここの支部を一時的に任されてしまって。」

軍人でしたよね?

干渉していいものなんですかね?

そう思っているとラインハルトが

「軍には戻ってこられないんですか?」

おお、以心伝心かな?

「だから、一時的な措置ですよ。」

「じゃぁ、いずれは王都に?」

「ん~、数年後には。まぁ、立ち話もなんですからこちらに。」

奥に通され、迷宮までのことキメラ戦のこと。色々話をした。


「そう言えばアドルフは、キメラ戦の時ちょっとの間呆けてたよな?」

おいいいいい!!

「な、何を言っているのかな? ラインハルト君?」

「詳しく聞きましょうか?」

「えっとですね。キメラと対峙した時に・・・・・・」

こらこら! 言わない約束だったろ!!

「3分の所を10分近く離れられたら流石に・・・・・・ねぇ?」

クラウディアも頷いていた。

カチヤは頷きはしないものの、目を合わせてくれなかった。

終わった・・・・・・。


 一通りの報告を終えて、ギルドを後にする。

いやぁ~、あれがまさか足技だったとは。

あんなに早く動かれたら、防御なんかできないって!

取りあえず、意識を保っていられたのは大きな成長だろう。


 真面目な話、魔神の賭けには先生でも驚愕していたし。

6段階を掛けても動きが見えないと言うのは、流石の先生も警戒していた、今後も十分に精進を重ねるように言い含められた、あれも先生なりの激励なのかもしれない。


 近々に王都に戻ると話す、ダグラス先生。

10年内に先生の本気から1本取って、リーズベルト男爵とも互角に持ち込まなければ、魔神には対抗できないだろう。

それをしながら、神殺しの方法を調べなければならない。


 体術・魔法・神殺し

やる事は1つ増えただけだ。

まぁ、その1つが大問題なんだけど。

やらない選択は無いんだし、やるしかない。

そう思えば自然と吹っ切れた気持ちになる。

思い悩むより、動いている方が気は楽だし。

戦争云々は大人たちに丸投げで、俺達は俺達に出来ることをやるしかない。

皆の顔もどこか晴れやかに見える。


 気分も新たに、今後の方針を決めていると懐かしの王都フェニルニンに帰還した。

さて、国王陛下にも報告するとして、どんな反応が返ってくるか?

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