49話
何もない白い空間に、気が付くと立っていた。
・・・・・・さっき横になったと思ったんだけど?
もしかして、また死んだ?
「いやいや、死んでへんよ」
出た・・・・・・。
「出たて、ワシは幽霊かなんかか?」
似たようなもんじゃん。
「似てへんわい! もっと神聖な気が漂ってるやろ?」
そうか?
・・・・・・そうか?
「おい、確かめた後に疑問形って・・・・・・流石に傷つくわぁ~!」
後ろを向いて座り込み、足元にのの字を書いて居る。
・・・・・・流石に哀愁が漂ってきた。
幽霊扱いは可哀想だったかな?
チラチラこっちを伺っている。
この場合はスルーが正解だな。
「いやいやいや、正解ちゃうし、もっと敬意を示してくれてもいいんやない?」
はいはい、神様神様。
で?
「でって? なに?」
いや、俺のセリフ。
何しに来たの?
「もう、せっかちさんやね。もっと、おしゃべりしてくれてもいいんやない?」
もう、十分だろ。
「久しぶりの登場なのに・・・・・・」
立ち上がった神様は、手を掲げ
「はい、では改めてお告げをします。」
と言ってきた。
珍しく、スッと話を戻したな。
「なんやぁ~? 実はもっと話したいとか?」
そうじゃないんで、先に行ってください。
「もぉ~、本当は会えて嬉しいくせにィ~」
あ、本当にそう言うの良いんで、何でまた出てきたのか、話して貰えますか?
「キミ、急に敬語とかやめてくれる?」
はい、分かりましたんで、話を進めて下さい。
「あの・・・・・・」
はい、敬語やめますんで話を進めてください。
「・・・・・・イケズやなぁ~、まぁええわ、あの魔族の子なんやけど」
やっぱり、その件か。
「ちょっと、連れて行ってくれた方が、後々都合が良いねんけど。」
どんな都合だよ。
「まだそれは言えへんねんけど・・・・・・」
危険じゃないの?
「危険か危険じゃないかで言うと・・・・・・なんやけど」
は? 聞こえないけど?
「危・・・・・・かな?」
おい! はぐらかすなよ?
「はぁ~、分かりました!! ぶっちゃけ、危険です。」
危険なのに何で連れて行かなくちゃいけないんだよ!
「あぁ~、危険なんやけど大事って言うか、連れて行かない方が危ない? って言うか」
はっきりしないな。
「言われへんから、困っとるんやンけ!」
おっと、逆ギレですか?
「お願い! 連れて行ってやって!」
拝むなよ・・・・・・。
・・・・・・連れて行って、仲間とか家族に危険はないんだな?
「あぁ、直接的には・・・・・・・」
ん? 小声で何か言ったな?
「いってへん、いってへん」
怪しいな?
「怪しくない、あやしくない!」
本当か?
「本当、本当!」
・・・・・・ジー。
「ホンマやって!」
なんか、連れて行きたくなくなったんだけど。
「神託やから、連れて行って?」
・・・・・・はぁ、わかったよ。
「じゃぁ、頼むなぁ~」
軽いなぁ~
「アドルフ! そろそろ起きてくれ。」
「・・・・・・ああ」
「? どうした? 機嫌悪そうだな?」
「いや、大丈夫・・・・・・」
ラインハルトに先ほどのお告げ? の話をする。
「・・・・・・選択肢無いのは釈然としないな。」
「ああ、踊らされてるようで気分良くないだろ?」
「そうだな。」
出発の準備をしながら、他のメンバーにも魔族の子供を連れて行くことを伝える。
一応神託があったことも説明したが、クラウディアは納得できていないようだ。
・・・・・・俺も納得はしていないが。
魔族の子供に、連れて行くことを伝える。
飛び上がりながら、喜ぶ姿は人族の子供のようだ。
・・・・・・まぁ、一回同情してしまった手前連れて行くつもりでは居たけど、神様がわざわざ出てくる必要は感じない。
「それで、名前はなんて言うんだ?」
「はい! エルって言うッス」
「じゃぁ、宜しくエル。」
「はい! よろしくッス」
「アドルフ、角どうしようか?」
「あ、・・・・・・どうしようか?」
魔族であることは角を見れば一目瞭然だ。
これじゃ、今後街に入ることが出来ない。
「こうすればどうでしょう?」
クラウディアがエルの頭に端切れを掛ける。
・・・・・・安易な気もするけど、今はこれしかないか。
それから立ち寄った街では、特にエルに注目が集まるようなこともなく、比較的順調に旅の工程を消化していく。
幾度かエルも狩りに参加してもらったが自己申告があったように、戦闘に関してはからっきしだった。
行動を観察してはいたが、怪しい行動もないように見える。
カチヤは変わらず警戒しているようだが、次第に警戒を弱めてきている。
徐々に動きは良くなってきているような気もするが、俺たちに比べると数段劣っているようだ。
まぁ、これなら逆に、後ろから斬られる心配もなくて安心して戦闘に集中できるけど。
ただ、不安がないわけでもない。
魔族であるエルの前で魔法を使っても、以前の魔族と違い嫌悪感を出してこない。
まぁ、敵対心を出されるよりはいいんだろうけど・・・・・・。
「驚いたッスけど、一緒にいる分には心強いッスから。」
と、本人も言っていたのでそう言う考え方もあるのか?
と一応は納得してみた。
俺たちのエルに対する警戒心がほぼなくなったころに、トムーギの迷宮に一番近い町に到着した。
ここで、最後の準備をして迷宮に突入することになる。




