44話
トムーギ王国入国時、
「ラインハルト、親書はここで見せるの?」
「中まで改めさせなくていいがな。親書の紋章とあとは・・・・・・魔法行使許可願位は見せないとな」
「へー、また持ってきてたんだ? 許可願」
列に並びながらそんな会話をしていると、周囲の視線が集まってくる。
ラインハルトと言う名前、親書だのの会話や魔法と言う言葉。
それらが俺たちの素性を明らかにしている。
視線の中には、好ましくないものも含まれている。
王都周辺で俺の名前を出すと、魔法使いの生まれ変わりだとか、今代の魔道の勇者なんて過大評価を受けることもある。
しかし、辺境まで来るとペテン師と見られることもあり、幾度か望まない決闘を受けることもあった。
そんな事もあり最近では、父上が出発前に絶対持って行けと言っていた虎討伐の勲章を見せることにしていた。
吟遊詩人にはもう飽きられてしまっているが、虎殺しの幼い英雄の話は未だ人々の記憶にあり話をスムーズにしてくれる。
冒険者は、正直名声が物を言う職業だ。
功績に対するやっかみは貴族並出し、如何に大きな案件を熟してきたかを気にする生き物だ。
そんな冒険者の中には、王族と仲がいいだけで未成年なのに冒険者に登録している俺が気に入らない。
そう言う人も実際にいた。
なので勲章を見せると、快く道を譲ってくれたり、必要以上に近づかないと言う姿勢になってくれるので
面倒がなくて助かっていた。
・・・・・・それでもたまに、決闘になる人がいたが、実際に魔法を使って相手をすることで後続を遮断することが出来ていた。
列が進んでいき俺達を睨んでいた人も減り、やっと俺たちの審査になった。
・・・・・・って言うかあっちの貴賓列に並べばよかったんじゃ?
まぁ、ラインハルトの趣味だろうけど・・・・・・。
親書に入った片翼の大鷲。それを見て審査をしていた兵士の一人が部屋の外に駆け出していく。
片翼の大鷲、セロフィー王家の紋章だ。
大鷲は初代王が好んで狩っていた魔物。
何時しか大鷲自体が初代王の物と言う認識になり、紋章になったんだとか。
片翼なのは神の神託を受けた証。
神に忠誠を誓う使徒の証とされている。
「なぁ? 片翼を使徒の証ってなんで?」
「・・・・・・」
審査が一時中断して、兵士たちの上司なるものを待っていた。
メンバーの内ラインハルトと、クラウディアは白い目で俺を見てくる。
・・・・・・これも常識なの?
「しょうがないじゃないか、疑問に思ったんだから」
「お前は英雄譚を物語でしか読んでいない子供か?」
「・・・・・・そうです」
はぁ~と、ため息を漏らした後説明が始まる。
「いいか? 先ず、なんで片翼なのか? それは原初の魔法使い、教会で言う魔道の勇者が討伐した翼竜の羽根を神に感謝して捧げたことに由来する。以降、原初の魔法使いは紋章を片翼の竜にした」
へ~、そうなんだ?
物語では見事に削られている話だな。
「原初の魔法使いに倣って神託を受けたものは、獲物の片翼か片足を教会に捧げることが多く、紋章も獲物の一部を欠けた状態で描くようになった。セロフィー王国は国造りが神託で獲物がなかったから、初代王の好きだった大鷲を捧げたことになっている。わかったか?」
「お、おお」
なるほど。
「そうすると、俺も何かの足なり翼を教会に渡すの?」
「キメラでいいんじゃないか? ・・・・・・ああ、司教が原初の魔法使いの紋章をそのまま使わせようかとか言ってたな」
「え? 使ってる人いるんじゃないの?」
「いや、たしか原初の魔法使いは家を興していないから、一代限りだったと思うけど?」
「へー」
うん、まだまだ先の話だし、深く考えることもないか。
兵士たちが上官を連れて部屋に戻ってくる。
隣国の王太子ともなれば、国賓待遇なのは当然だ。
是非とも馬車での移動をと懇願された。
ラインハルトは嫌がっていたが、隣国の王太子に万が一があってはトムーギ王国の恥。
そして正式な王太子に害が及んでは国際問題だ。
流石のラインハルトもそこは理解しているようで、最後は大人しく兵士にしたがった。
馬車は揺れるのを除けば、かなり快適な旅になった。
俺たちのパーティーの旅にしては、目立ったトラブルもなく10日ほどでトムーギ王国の王都に到着した。
ここで大きな疑問が・・・・・・。
「ラインハルト。隣国の王様に会うのにこんな冒険者丸出しのカッコでいいのか?」
「いいんだ、我が国はセロフィー王国だからな!」
・・・・・・いいんだろうか?
まぁ、悪くても衣裳の類は持ってこなかったので、選択のしようもないんだけど。
王都についたが元々アポイントも取っていないので、いくら隣国の王子が来たからといって直ぐに会いに行けるわけではない。
それはどこでもいっしょなんだろう。
急遽手配された宿に2日ほど滞在し、謁見となった。
恐らく順番をかなり入れ替えたのだろう。
全くありがたいことこの上ない話であった。
2日後何の問題もなく謁見を終了し、城を出る。
親書と魔法行使許可願を読み上げられ許可が下りた。
無事にトムーギの迷宮と、魔法の行使を認めてもらった。
魔法に対して懐疑的な貴族たちが、周り居たためトムーギ王直々に魔法を見せるように言われ懐かしい反応も見れた。
だが、やはり周辺国にはペテンだと言う人も多く、そのせいでちょっとしたトラブルに巻き込まれるのだった。




