表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/146

39話

カチヤと森に行った翌日。

朝から父上の下を訪ねた。

「父上! ご相談が」

「まだ、家を出ることは許さんぞ?」

以前、一人暮らしだ! イヤッフウ~!!

と、思ってた時と同様に釘を刺された。

・・・・・・もっと真剣な話なんだけど、顔にでないのかな?


「そうではなく、稽古を着けて欲しいのですが」

「なんとも珍しい!」

そう、正直魔法を開発していることで、剣の稽古が疎かになっている。

たが、元々剣を捨てるつもりはないし、指弾が相手の力量を測るのに便利だから多用していただけで、我が家の奥義を修得するまでやるつもりではいた。


・・・・・・正直仲間達があまりにも、武芸に秀でていて不貞腐れている傾向に在るのは認めよう。

しかも、最近は完全に置いてきぼりをくらっている。

せめて勝てないまでも、リーズベルト男爵に一泡吹かせたい!

いい加減負けるのも飽きた。


この先の事も考え、体術を強化しなくては魔族に殺されてしまうかもしれない。

何せ相手は侵攻=戦争を仕掛けている。

そう言っていたのだから。

俺が足を引っ張るわけにはいかない。


何とか魔族を捉えることぐらい・・・・・・いや、何とか魔族の攻撃に反応できるくらいにならないと。


「お願いします。父上!」

父上は椅子からゆっくりと立ち上がり

「付いてきなさい」

そう、神妙な面持ちで応えてくれた。


家の裏にある訓練場で水の入った桶を渡される。

「なんです、これ?」

「桶以外に見えるか?」

桶に見えるから聞いてるんだけど・・・・・・。

「桶で何をするんでしょうか?」

父上は、足元に置いてあった別の桶を持ち

「真似してみなさい」

と、桶を持ったまま縮地で訓練場を飛び回る。

「こんな感じだ。やってみなさい」


意味も分からず、取りあえず桶を持ち縮地を行う。

一歩ごとに手や服を濡らす。

冷って!

訓練場を一周する頃には桶の中には、水は残っておらず全て訓練場か俺の服にこぼれていた。

「これでいいですか?」

「はぁ~、真似をしろと言っただろう? 父の服が濡れているか?」

・・・・・・え?

良く見ると桶の中には水がたんまりと残っていて、服はおろか手も乾いたままだ。


「これが出来たら、皆伝位の技を教えてやろう」

そう言うと訓練場を後にする父上。

皆伝・・・・・・なんて甘美な響きだろう。

免許皆伝素晴らしい。

前世では滅多に聞かない憧れの言葉だ。


俺に水を貯め、再度挑戦する。

テンションは上がっているが、またも全部ぶちまけてしまった。

意外と難しいな・・・・・・。

数回続けるが何回やってもこぼれてしまう。


大体、縮地は急発進・急制動の動きだ。

地面に凹みが出来る位、地面を蹴るのだからあたりまえだよな?

・・・・・・地面に凹みはあるが、いくつか普通に走った後のような地面が擦れた後を見つける。

これ、父上の縮地の後か?

もしかして、ヴァンデルンって凹み残らないのが本当なのか?


今まで普通に凹ませまくってたけど。

混乱する頭を必死に落ち着かせる。

移動の度に凹みが出来たらどうだろう。

家の武芸は弓兵、すなわち戦場で使うための技と仮定してみよう。


移動の度に凹みを作ったら・・・・・・騎馬が転ぶな、敵味方両方。

歩兵の陣形も崩れるだろう。

だけど、弓兵が縮地を使わなければいけない状況って負けてるよな・・・

いやいや、またやらない理由探しか?

中々直らないな、この性格。


可能性があるならやってみないと。

先ずは、桶を持たずに縮地の練習だ。

凹んだところを均して、練習していく。

凹みを作らないようにすると移動距離が足らず、移動距離を意識すると地面が凹む。

かなり難しいな。


何回も試していくと、ある事に気が付く。

うん、・・・・・・俺、身体強化魔法苦手だわ。

そう言えば、前から言われていたな。

操作が出来ていないって。

身体強化は、階位も大事だけど運用も大事だって。


今まで何となくで使っていたツケが回って来たな、こりゃ。

なるほど、皆伝以上では運用に重きを置くのか。

・・・・・・確かにこんな無駄な力が入っていたら、遅れを取って当たり前だな。


更に数時間、訓練を続けているとカチヤ・ラインハルト・クラウディアの三人が尋ねてきた。

「アドルフ、何やってんの?」

「見れば・・・・・・分かるだろう」

ひたすら短距離の縮地を続けていた。


「クラウディアは分かる?」

「いえ、さっぱり」

「カチヤは?」

「身体強化魔法の、訓練?」

「正解」

ラインハルトは驚愕の表情で

「分かっちゃうのかよ!」

などと大げさに驚いている。


「で、何で今更?」

心底分からないと言う表情のラインハルト。

今更・・・・・・だと?

「今までおろそかに、していたからな」

流石に喋りながらだと、キツイ・・・・・・。


「疎かって、武芸するときの基本じゃん?」

「そう、だな・・・・・・」

「え? 出来ないの?」

ラインハルトいい加減にしてくれないか。出来ないんじゃない、

「する必要がなかったの、今までは。」

・・・・・・あれ?

カチヤとラインハルトの視線が冷たい?


「もしかして出来て当然?」

2人が無言で首を縦に振る。

あれ?

そうなの?


キョトンとしていると、ラインハルトはフゥーと息を吐き

「アドルフ、お前の非常識さ加減には慣れていたつもりだったけど、これは異常だ。もしかして未だに4段階とか掛けっぱなしで旅してたのか?」

「・・・・・・はい」

ラインハルトの表情が、呆れを通り越して怒りに変ってくる。


「ダグラス先生にも散々、注意されていたな?」

随分と昔に感じるなぁ~、先生元気かな?

「おい!」

「はい! 注意されてました!」

「何で今更だ?」

近い近い


「魔法開発に忙しくて?」

はぁ~と、深いため息をつかれ

「カチヤ、見てやってくれ」

「うん」

そこから数時間、カチヤ教官にみっちりとしごかれ、ラインハルトには

「取りあえず、その皆伝位を習得するまで旅も魔法も禁止だ」

と言われ、明日もカチヤ教官の下訓練をすることになった。


一先ずの期限を一か月に設定し、各々訓練と調整を行うことにして

旅立ちの日を伸ばすことにした。

俺が怒られている間、必死にラインハルトの死角に逃げていたクラウディアも、ラインハルトに訓練をしてもらうようだ。


やっぱり流派の違いじゃないだろうか?

そんな事を考えていると、無表情になったカチヤが次のメニューを俺に言い渡してきた。


頑張ろう。

カチヤが元に戻ってくれるように・・・・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ