表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/146

24話

一晩明け町の復興が始まる。

主に俺が、空けた大穴を埋める作業が・・・・・・。

魔法で空けたものなら、魔法で塞げるのではないか?

・・・・・・出来ない。イメージできても、簡単に行かないもんだな。

まずもって流し入れた水が邪魔だ。


何処からか土を持ってくるか?

魔法で作った水なら土に変えられないかな?

・・・・・・出来ない。某錬金術みたいにはいかないらしい。

うーん、困ったな。

あ、魔素を土に変えればいいのか。


上空に意識を向け、魔素を土に変え落下させる。

大量の土砂が降ってくるので、住民や広場の周囲の空堀を埋めていた兵士たちが驚いている。

何とか埋めることが出来たが、水分のせいで少しぬかるんでるな。


村長に話をして当分の間、通りは使用できそうにない事を話す。取りあえず、手の空いている兵士や俺のパーティーで、塞がった穴の周囲に柵を作り、侵入を禁止する立札を作成する。

一先ず、水を残すと夏場の蚊が大変なことになるからな。

まして、引き揚げたとは言え狼の死骸や、魔石から水に魔素が流れてくるだろうし。

そこで孵化して魔物化した蚊が大量発生なんて・・・・・・想像した地獄絵図を振り払う。


穴は最終的には塞ぐが、現状はこれくらいで。

竜の聖地からの帰りに、再度土を盛るだのして通りに整備する下地を作ることを約束する。

ラインハルトは、王都に帰ったら国で通りの整備に必要な物資や資金を回してもらうように、掛け合うことを約束していた。


そして避難壕だ。町の中央に地下ではあるが、このような物々しい建造物があるのはどうなんだろう?

いっそ上から押しつぶしてしまえれば楽なんだけど・・・・・・。

そんな事を考えていると町長が、

「こちらの穴倉はそのままにしていてもらえますかな?」

と、提案してきた。

何でも今回のようなことがあった場合使用できれば安心だし、備蓄用の倉庫として使用したいということだった。


まぁ、作業の手間が省けたということでいいかな?


町人たちは、今回の騒動であまり手を掛けれなかった畑を見回り、大きな損害がない事を喜ぶ。

俺たちは大いに感謝をされ、兵士たちにはかなり恐れられたが、ヨーゼフ隊長には、部下が欠けることが無かったことを感謝された。


その夜は町を上げての宴会となった。

町の英雄だと持て囃されたが、正直俺はカチヤを守るための行動だったこともあり、若干の居辛さを感じていた。


こういう時は魔法開発のことでも考えて、現実逃避しておくものだ。

席を立つと空気が悪くなるからね。


今回使用したのは土魔法、地面に穴をあけるって、塹壕を掘るぐらいしか用途がないような?

土木関連に転用できるかな?

んー、名前は狼落とし(ファレン・ヴォルフ)

・・・・・・うん、こんな感じでいいな。


後はボス狼に使った(クリンゲ)か・・・・・・。

慣れれば各属性で使えるだろうけど、どう使うかが問題じゃないんだ。


「アドルフゥ~、英雄様が盛り下がってるな」

ラインハルトが肩を組みながら絡んできた。

ん? うわ、酒臭!!

「ラインハルト!お前飲んでるのか?」

「おー! ワインのお湯割りだけどな」

因みに飲酒は成人になってからが慣例だ。

だけど、ワインの水割り(今回はお湯割りだが)は

市場で買える一応子供向けの飲み物だ。


「いや~、久しぶりに飲んだら以外に美味しくってな」

ラインハルトは上機嫌でいい訳をしてくる。

ラインハルトの手から杯を奪い口を付けると

「これ、ホットワインじゃん」

「いやいや、ちゃんと割ってるよ~」

割っているには酒精が強いように感じるんだが。

お酒は20・・・・・・もとい成人になってから!!


ラインハルトは、なおも杯を傾けている。

意外と吞兵衛気質があるのかも・・・・・・。

「アドルフ、あの火の剣なんだが何で創ったの?」

ラインハルトの前で以前必要ないから後回しにすると

言ったことがある。

浪漫武器だし、出来れば創りたかった魔法だし

・・・・・・いや、いい訳だ。


「誰にも言うなよ?」

「おう、言わん!」

ふう、思わずため息が出てしまう。

「お前の剣良い剣だよな?」

「ああ、頼りになる相棒だな」

ラインハルトは山猫の時もそうだが、魔物の毛をものともしない。


腕の問題もあるだろう。しかし剣の腕だけで言えば、ラインハルトはカチヤに劣る。

しかし、カチヤの剣は魔物が大型に近づくと、次第に弾かれる事が多くなる。

腕だけでなく武器の質に問題がある。

そう考えたが、業物の武器の値は天井知らずだ。


成人するば、虎の報酬が手に入る。

しかし、今は子供だ。金がない。

良い武装を手にするのは限りがある。

今回の旅では、大型種の魔物の遭遇が予想される。

それも複数の可能性がある。


囲まれたとき、俺がカチヤを守れない状況もあるだろう。

そんなとき相手に通用しない武器では生存率が低い。

ならば、カチヤの武装強化は急務である。

狼戦の準備に入ってからそのことに気が付き、如何に俺が抜けているのか実感した。


「そんなわけで急遽創ったんだよ。」

後は、如何にカチヤに教えるかが問題だ。

くくく、と含んだ笑いをしながら、俺の後ろを指さすラインハルト。

振り向くと、カチヤが佇んでいた。


どこから聞かれていただろう。

カチヤを傷つけたかとも思ったが、本人が俺の袖を引き、

「アディ、向こうで教えて」

そう言ってきた。


2人で、宴の輪を抜け静かな方へと歩き出す。

ラインハルトが囃し立ててくるが、思いっきり無視をして訓練できるスペースまで、カチヤの手を引いて走り出す。


用意された宿に戻ったのは、空が大分白んできてからだ。

・・・・・・ま、魔法の訓練だけで色っぽいことは一切なかった。

残念だけど、そう言うことはまたの機会でいいだろう。

ラインハルトに「へたれ」と言われたけど、気にしないさ!・・・・・・本当のことだし。

カチヤが魔法を覚えたんだから、それを喜ばないと。


引き上げておいた、狼の魔物の死骸を試し切りしているカチヤの目が若干怖かったから、手を引いたわけじゃないさ。

旅から戻ればいつでも時間はあるんだから、焦らなくてもいいのさ!

本当に! 焦ってないから!!


ラインハルトが、生暖かい目をしているような気がするが、これは気のせいじゃないだろう。

そんなやり取りを終えて、町を後にする。

目的の竜の聖地はまだ見えて来ない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ