表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/146

18話

13歳になった俺と、国王陛下達大人数人は、会議を行う個室で全員頭を抱えていた。


半年前、

「そちも13となった。いよいよ旅立ちの時となったな」

「はい、〔五色の魔物〕必ず討伐して見せましょう」

「アドルフ君も逞しくなって、神の御心に応えてくれることでしょう」

陛下、司教、俺とが揃うのも、旅から帰るまではこれが最後となるだろう。


「して?件の五色の魔物とは、いったいどの様なモノなのだ?」

「え?司教さまから報告を受けているんじゃ? 選考会やらなんやらでそんな時間とれませんでしたし」

「え? 国で探すものと思ってましたが」

「え? 自分で探してたんじゃ・・・・・・」

・・・・・・。


「いやいや、13歳の子供が独力で探せるわけないですし、家は下級貴族で、文献も手に入らないし」

司教を見ながら答える。

「いやいや、教会だって文献は少ないですよ?」

若干、青ざめた顔を陛下に向ける司教。

「国も色々ごたついてて、手が回らないのは知っとるだろう? 新設した魔法省の事もあるし・・・・・・」


嘘だ・・・・・・情報無しで、どうやって旅をすればいいんだ?

「五色の魔物が、5匹なのか、1匹なのかも分からないのに旅は出来ませんよ? まして、国内に居るのかも分からないなんて無茶過ぎませんか?」


こうして、半年間五色の魔物捜索の時間が設けられた。

結果として、5色の魔物の情報は見つからなかった・・・・・・。

完。

じゃなくて!

本当どうするんだ?

話し合いをするも結論は出ず、当事者達は頭を抱える事態となった。


あのちゃらんぽらんな神様め!

最初の情報は、与えていくのが冒険物のセオリーだろうが!!

ゆらりと立ち上がる司教。

「・・・・・・あの神は前回の神託の際も適当に伝えて! 教会の権威が落ちたら、信仰もされなくなるってわかってるんですか?」

司教吠える・・・・・・教会のトップ陣には、聞かせられない発言を大声で言う、もうただの愚痴だ。

「本当にのう、初代王の時も実際は神託外れておったしの! あの神は本当に抜けておる! 全く! 国の権威も、王の権威も考えてくれぬ」

陛下も、司教につられて愚痴が出る。

・・・・・・国王でもあの神託の件、気にしてたんだ。

じゃなかった!


「お二人とも、人がいないとはいえ神様を批判なんて、誰かに聞かれていたら大変ですから!」

焦って止めようとする俺に、二人は言い放つ。

「いいんじゃ! 大体神はあれ一柱じゃないしの!」

「そうですね、主神は別にいますし、神託が抜けてるのも教会では常識ですし。 まぁ、滅多にないことなんで立ち会えたのは喜ばしいことですよ? しかし、またには神らしい振る舞いをしてほしいものです」


再び司教は頭を抱えた。

話を聞くと、神託は希に有るようで、その度に何かしらの情報が抜けていることがあった。


他の神様たちは、何も不備らしい不備はないが、あのちゃらんぽらんは何かしらのポカをやらかすらしい。

ただ、神様たちは個別の名を持たないようで、実際神託を受けて判断することが通例のようだ。

人も何故か、神様達に名前を付けることが出来ず、あのとか、このとか神託に対しての呼び方しか存在しない。


分かってることは1000年前の勇者の神託と、この国に下された神託の神は別の存在であること。

そして、セロインと俺に神託を授けた神は一緒であること。

ということは、俺をこの世界に導いた神も『あれ』ということ。

それだけしかわかっていない。


そんな重要なのか、重要でないのかわからない情報だけが並んだ、司教と国王陛下の大愚痴大会が一段落したところで、話し合いが再開される。


一向にいい方策が出ないなか、国王は苦虫を噛み潰したような顔で提案を行う。

「こうなったら、ヤツの知恵を借りるしかあるまい・・・・・・」

ヤツと聞いて、司教も苦い顔をして。

「あの方ですか・・・・・・仕方ないのかもしれませんね」

両者とも出来れば、関わりたくないという態度が読み取れる。


「ヤツとかあの方って誰ですか?」

どんな情報でもいい。まずは知ることが、今後の魔法開発に繋がるのだ。

「ヤツはこの世界のことなら、大抵のことは知っている」

「ええ、最初の神の使徒ですから」

最初の神の使徒?

1000年前には認識されていた神の最初の?

「生きているんですか? そんな人?」

国王は大仰に頷き。

「今も生きておるだろう・・・・・・人ではないからな」

人ではない?

今一呑み込めない俺を察してか、司教が説明を受け継ぐ。

「あの方は・・・・・・最初の使途はドラゴンなのです。木竜 エンツィアンといいます」

ドラゴン・・・・・・が居たんだ。

もうそれだけで、俺は若干浮かれていた。

木竜エンツィアン・・・・・・彼は神が、この世界を創造した時初めて創造された生物であり、天地を創造した時には、神はその背に乗り天と地を分けたといわれる。

そして服従の証として、鱗を数枚神に献上した。

神は、その鱗を砂に変え風に乗せて陸地すべてに運び、砂が到着したところには様々な樹木が生い茂った。


そんな伝説の生物が今なお生きていて、人とコミニュケーションを取るらしい・・・・・・。

ファンタジーここに極まれりだ。


彼はこの世を見通す唯一の権利を、神から譲り受けた。

ゆえに彼に知らないことはない、とされている。

そんなことなら、是非とも知恵を借りたい。

って言うか、魔法開発に力を貸してほしい。

だが・・・・・・。


「ヤツはな、俗っぽいのだ!」

え?

「木竜様は大変酒好きで、金銀財宝・・・・・・特に意匠の凝ったものを好む傾向にありますね。たまに姿を変え人や魔族と逢瀬を楽しんだ。なんて伝説もありますね。」

「確認したんですか?」

正直脱線だが、どうしても確認してみたい衝動に駆られる。

「えぇ、吟遊詩人が大枚はたいて話を聞いたみたいですよ」


そんなどっかの神話の主神のような破天荒な木竜さん。

話を聞くのにかなり掛かるようだ。

件の吟遊詩人が、自分の話で一儲けしたことに腹を立て、以前は酒だけでも話したことでも、かなりの金額を吹っ掛けるようになったんだとか。

それも飽きて装飾物を求め、気に入ったら話をしてくれる。

そんな気難しい老竜らしい。


「基本的には善人なんですよ? 意気投合した職人に失伝した技術を渡したり、まぁ、一般的には金の亡者のように言われますが、知識欲が非常に高いことも有名ですね」


「これもまた神の試練の一つと思い、彼の老竜に頼みごとをしに行くしかないの・・・・・・」

苦み走った顔の意味を知り、正直申し訳なくなってくる。

前回木竜に話を聞きに行った国は、それだけで何年か困窮した、なんて話もあり、陛下は本当に最後の手段としていたらしい。


今回は個人の神託ではなく、国王も含めた複数人に出された神託。

かなりの愚痴を言っていたが、神託自体が重いことには変わりがない。

信仰、国の権威諸々含めなされないといけない、そんな意味を持つ。


そうしたやり取りを終え、半年伸ばした旅立ちがやっと訪れる。

メンバーはラインハルト、カチヤ、俺、そしてラインハルトの許嫁クラウディア。

4人で行くことになった。


ラインハルトとクラウディアは、首に縄を付けてでも必ず連れて帰ってくるように厳命された。

そんなに言うなら、メンバーに入れなくてもと、思ったがこの件に関わらせないと、成人の儀を受けずに予告なく出ていくと脅しをかけて、メンバー入りを果たしたらいい。


そんなこんなで、旅立ちの日を迎える

目的は木竜との面会、目指す地は北方の山脈にある竜の聖地だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ