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116話

「あれだけうるさかった貴族たちが、最近一切騒いでこないんだ。お前何か知ってるか?」

「いや、知らないけど? そうなんだ?」

「ああ、この間までが嘘のようだ」


 俺に対して処罰を求めていた貴族連中が、騒ぐのを辞めたことに対して疑問を投げてくるラインハルト。

全く、何で俺に聞いてくるかね?

・・・・・・まぁ、知ってるけど。


 訴えていたのは、その昔北の砦を有する領地を取り仕切っていた貴族。

魔物を含む獣が大群をなして、砦付近に出没していたのを税のため放置していた貴族らしい。

そう、結果として俺達が告発した形になった、あの領主だった。

積年の恨みを晴らすべく、俺の失態にかこつけて復讐しようとしていた。


 まぁ、こんな貴族らしいゴタゴタに巻き込まれたくない俺は、さっさととある重鎮貴族に相談した。

そう、ヘルマン伯爵だ。

訴え出ていた元領主さまは、ヘルマン伯爵の血族だったらしくこってりと絞られ、新しい領地に引きこもったらしい。

まぁヘルマン伯爵には、大きな借りを作った訳だけど・・・・・・。


「ラインハルト。話は変わるけど、お前らって子供さ、あとどれくらいつくるつもり?」

家に帰る道すがら、唐突ではあるがそんな事を聞いてみる。

「なんだ? いきなり・・・・・・そうだな、5人くらいいればと思うんだがな」

「5人か・・・・・・よし!」

「よし?」

「ああ、気にしないで! こっちの話だから・・・・・・」


 バルドゥル様との約束が2人、ヘルマン伯爵との約束が3人・・・・・・いけるな。

「何数えてるんだ?」

「何でもない、何でもない」

「そうか?」

「そうそう」


 うん、魔神の件が終わったら、精力剤でも・・・・・・いや、あの魔法があった。

うん、検証にもちょうどいいし。ラインハルトには、火・土・木の合成を是非とも覚えてもらおう。

上手く暴走してくれれば、何人でも子供がつくれるだろうしね。


 あ、そう言えば・・・・・・。

「ラインハルトって、魔法の合成できたっけ?」

「いや、試したことないな」

「じゃぁ覚えてみなよ。意外と役に立つかもしれないし」

「何か企んでるのか?」

「そんなことないって、やだなぁ」

意外と鋭いのね、やだなぁ。


 まぁ冗談はさておき、合成魔法を覚えて欲しい理由はそれだけじゃない。

俺以外の人が、どのように合成魔法を使用するのかを確認したいと言う理由もある。

なので、ラインハルトにも覚えて欲しいんだけど。

「まぁ気が向いたらな」

こう言って、未だに合成魔法に興味を示さない。


「あ! 戻ってきましたわ」

家に帰ると、何故かまたクラウディアが家にいる。

・・・・・・はっ!! あんまりにも自然だったけどラインハルトも何で家に来てるんだ?

お前らは、城に居なくちゃいけないんじゃないのか?


 クラウディアは、カチヤと一緒になって魔法の訓練をしているらしい。

全く、幾ら良い乳母を見つけて時間を作れるようになったからって、そうそう来られたらヘルマン伯爵に睨まれてしまうじゃないか、俺が。

・・・・・・、まぁいいけどさ。


「何やってるの?」

「見ての通り、魔法の合成ですわ」

へぇ~。・・・・・・?

「なんて?」

「魔法の合成ですわ」

「え? 出来るの?」

「ええ・・・・・・」


 詳しく話を聞いてみると、クラウディアとカチヤは俺とラインハルトが結婚前から色々とやって居たように、嫁同士で魔法の訓練をしていたらしい。

なんと、カチヤは3属性まで、クラウディアは2属性まで合成できるようになったらしい。

そして今も、少しでも上の合成が出来るように訓練を続けているのだとか。

ごめんよ、城から逃げてるなんて思って。


「カチヤも凄いな! 3属性まで使えるなんて」

「アディが先に使い方を見つけてるから、意外と簡単にできた」

「へぇ~、それで今クラウディアがやってるのは?」

「豪炎の矢ですわ」

「絶対に撃たないでね!」


 何考えてるんだ、3属性の豪炎を矢に変えるなんて・・・・・・?

「ちょっと、待って。豪炎?」

「ええ」

「それ、3属性?」

「そうですわ」


 あれ? 聞き間違いか?

クラウディアは、2属性だけって言ってなかった?

再度合成を始めたクラウディアの手元を確認する。

浮かんでいるのは、土と水だけだ。

それじゃ魔力増加になるだけじゃ・・・・・・。


 カチヤが火の魔力をクラウディアに受け渡しをしている。

そして出来上がったのは、矢の状態の豪炎の魔法だ。

なにこれ? そんな事出来るなんて知らなかった。


「ちょ、ちょっと、どう言うこと? 二人で3属性を合成してるの?」

「ええ、そうですけど?」

「何か駄目だった?」

「いや、そんな事出来るなんて思わなかったからさ、驚いてるんだけど・・・・・・」


 再度話を聞いてみると、カチヤには3属性魔法は使い辛い魔法ばかりで持て余していたらしい。

そこで、矢にして飛ばせるクラウディアに3属性を覚えてもらおうとしたと言う。

しかし、クラウディアの魔力代謝では3属性まではまかなえない。

そこで、最近は2人で3属性を使えるように特訓していたらしい。


 なんてことだ。

俺一人で、やっていたらこんな事気が付きもしなかった。

魔法に対して、俺は一人で行うことが普通だと思っていた。

しかし、彼女らはそんな事を考えずに全く新しい方法を考えついたんだ。


 2人で行えるなら、もっと多い人数で行えば魔力代謝に頼らずとも大規模魔法が使えるんじゃ?

面白い! これはやってみなくては!!


 2人にお願いして、それぞれ土と木の魔力を出してもらう。

それに俺が、火の魔力を加える。

おお! 確かに合成できてる。

俺が使ってる時と、ほとんど変わりがなさそうだ。


「ラインハルト。使用感を教えてくれ」

魔法をラインハルトに掛ける。

神速の魔法。

できてる。できてるよ!

なにこれ? すげぇぇ!

俺一人で合成している時と変わらず、ラインハルトの姿は出たり消えたりを繰り返す。


「どうだ? いつもと比べて?」

「そうだな・・・・・・若干、動きが楽かな?」

マジか!

魔法の効果にも影響が出るみたいだ。


 これって、全員で神殺しの魔法を使ったら効果が上がったりするのかな?

俺だけだと、腕一本しか効果は無い。

まぁ神殺しの効果がどれくらいあるかは、不明なんだけど。


 試しに全員で5属性をだして合成してみる。

俺が2属性、皆が得意な属性だけを出す。

カチヤが水、ラインハルトは風、クラウディアは火。

木と土は俺の担当になった。


 皆の魔力を受け取り、俺が合成していく。

ああ、出来るじゃないか!

魔力を俺の体に浸透させると、何故だろう?

全身が淡い光を放つ。

凄い、凄いよこれ!


 しかも一目で光っていると分かるぐらいに光っている。

想った以上の成果じゃないか? これ?

常識に囚われない、自由な発想ってすごい効果を発揮するんだな。


 魔法って何でもありなんだな!!

俺は、初めて魔法を使った時のことを思い出していた。

そう! こんなワクワクを感じていたのかもしれない。


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