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112話

 翌日、再び神殿跡に来ていた。

今日こそは、4属性の全てを解明しないと。

あと、3種類! がんばるぞ!!


 そう意気込んできたものの、ラインハルトはあまり乗り気じゃないようだ。

「ラインハルト、どうしたの?」

「ああ、そろそろ備蓄がな・・・・・・」

「ああ、そう言えば元々神殿に来るだけの予定だったもんね」

「そうなんだ。かと言って伯爵に頼るのもな」


 確かに、反魔神派の集落は枯渇と言うこともないが、かなり食糧事情が悪いみたいだ。

幸い、魔族たちが森で狩りをしているお陰で飢餓には陥ってはいないが、この神殿跡地が更地になったことで狩場までそれなりの時間を要することになっているらしい。

今更ながら悪いことをしたのもだ。


「じゃぁ、4属性が終わったら一旦帰ろうか」

「うむ、そうするか?」

「なに? 煮え切らないね?」

「考えてもみろ、あそこまで言い切って2人を置いてきたのに、このまま帰ったら何を言われるか・・・・・・」

「あ、その問題があったね。でも、今回はしょうがないんじゃない? 魔神に負けたのは事実だし」


 ラインハルトは了承しがたいと、表情で語っていた。

でも、魔族にも頼れない。近くの町もそこまで裕福な町がある訳でもないし、備蓄を補充したければ王都に帰るほかないと思う。

「ラインハルト、今回は嫁さん達に呆れられても、一旦は帰ろうよ。手ぶらじゃないしさ」


 そう、問題の神殺しの法は見当が付いている。

そして、原初の残した神殺しでは太刀打ちできなかった。その経験を得ることが出来たんだ。

それも、2人とも無事で。・・・・・・フランツ様は残念だったけど、それを報告するのも俺達の義務だ。

収穫が0ではないことだけは、胸を張って帰ってもいいと思う。


「アドルフ。あの2人は呆れるより、鼻で笑うんじゃないか?」

「あー、それはあり得るかも」

まぁ、笑われても、呆れられても餓死するよりはましだろう。

腹が減っては戦は出来ぬって言うしね。


 今後の方針もまとまった所で、4属性の魔法だ。

えっと、昨日は水と風を抜いた組み合わせをしたんだよな?

今日は、土を抜いてみるか。

俺は、さっそく魔法の合成を行う。


 出来た魔力の塊は、黒々とした魔力塊になった。

これは・・・・・・。

昨日の拘束魔法を思い出させるな。


 意を決して、撃ちだしてみる。

昨日同様に、一直線に飛んでいく魔法。

なんだ、光の矢の反対で、闇の矢とでも言うのか?

そんな事を考えていると、矢は急に失速し地面に激突する。

森の木近くまで飛んだが、思ったより飛距離はないな。


「なんだ? 失敗したのか?」

「失敗・・・・・・か」

そう見えなくもないな、そう思い魔法から目を離す。

次の瞬間、大きな音上げ木が一本倒れる。


「え? なにあった?」

「アドルフ、見ていなかったのか?」

「うん、失敗なのかなと思って」

「凄かったぞ! 地面から黒い刃が突きだして木を切断してしまった」

なんだって?


 不覚、そんな魔法を見落とすなんて!!

もう一度、もう一度だ。

再度同じ合成を行う。

今度は、そこまで遠くではなくてもいいだろう。


 俺は5メートルくらい先に、魔法を撃ちだす。

金属音が聞こえてきそうなぐらい、立派な刃が地面から生えていた。

うん、もう少し暗い所なら魔法そのものは見えなくなりそうだな。

奇襲に使えるかもな。


 何度か使ってみるたが、若干のタイムラグがあるけどそれも含めて、良い奇襲用の魔法になりそうだ。

さて、今度は木を抜いてみるか。

同じように合成していく。

今度は、またも煌々と光る魔力塊になった。

4属性は、光るか黒くしかないのかな?


 気を取り直して、近くに魔法を放つ。

すると、光が強くなり半透明な箱状に変化する。

上蓋がしまり、人一人入れるぐらいの箱になると、しばらくそこに留まり崩れるように消えていく。

・・・・・・。


「あれ、何かに使えるのか?」

「どうなんだろう?」

再度同じ魔法を使い、今度は閉まる前に3属性の豪火を箱の中に打ち込む。

半透明の箱の中に何匹かの火の大蛇が所狭しと暴れまわり、箱が崩れるのと同時に消えてなくなる。


 周囲への被害は、全くといっていいほど無かった。

熱が俺に襲ってくることもないし、箱を突き破って外に出ることもない。

あ! もしかして3属性の大規模魔法って、こう使えば周りに被害でなかったのかな?

あれって、この4属性魔法ありきの魔法だったのか・・・・・・。


 周囲を見渡す。

見事なまでのベアグラウンドがそこには広がっていた。

「なぁ、アドルフ? これがあればさ、ここも王都近くの森も・・・・・・」

「ラインハルト、それ以上気にしたら皆が不幸になるよ。きっと」

「そ、そうだよな」

うん、ラインハルトも考えるのやめたね。

まぁ、恐らくそれが正解なんだけども、あの時はこの魔法はなかったし。

たらればは、意味がないんだよ。

そうだよ。


「さぁ、続きは飯の後にしようか?」

「そうだな! そうしよう」


◇ ◇ ◇ ◇


 よし! お腹も膨れて気合も入ったし。

無用な? 後悔は忘れて、新しい魔法に取り組もう!!

えーっと! あとは、・・・・・・。


 おー! あと一種類になってるじゃないか!

いやー、頑張ったね俺!

さぁ、もうひと踏ん張りだ。


 残るは火を抜いた4属性のみ。

誰にも見られないうちに、さっさとやってしまおう。

いや、誰に見られてもいいんだけどね?

この場所から、ちょっとだけ早く逃げ・・・・・・じゃない、王都に帰りたいかな!


 合成した魔力塊は、今までとは様子がおかしい気がする。

何と言うか、撃ちだしてはいけないような。

そんな気がした。


 ? まぁ、撃ちだしてはいけないならこれまで通り、足元に落とすだけなんだけど。

ポヨンっと言う擬音が聞こえてくるような、見事なバウンド。

あれ? どっかでこれと同じ感想を持った魔法があったような?


「アドルフ。それ、また探索魔法なんじゃないか?」

あ! ああ、そう言えばソナー式の探索魔法の時も、跳ね帰ってきたっけな。

と、言うことは?

「これ、自分の体に掛ける系の魔法みたいだな」


 まぁ、ここに来て探索魔法ってことは無いだろう。

4種類も探索魔法あってどうするって言うんだよ。

・・・・・・む、ちょっとフリになってるか?

やめておこう。


 再度気を取り直して、魔力塊を自分の体に浸透させる。

ふむ、別段変わった所は無いな。

身体の感覚も今までと同じだ。


「何か変わったか?」

「いや、別に・・・・・・?」

あれ? 本当に何も起きないぞ?

飛んでも、跳ねても何も変わらない。


「ラインハルト、そっちから見てなにかかわった?」

ラインハルトが、目を見開いて俺を見てくる。

「ん? どうしたの?」

ラインハルトの元に行こうとしたら、一歩目で目の前にラインハルトがいた。

え?

今、・・・・・・なにやった? 俺。


「もしかして、・・・・・・俺速く動いてた?」

「ああ、見えないくらいにな」

あれか、自分自身に掛ける神速魔法か。

「おい! 俺がいる意味は?」

「俺に聞かないでよ! 俺だって混乱してるんだから」

「もう、・・・・・・お前だけで十分だな」

「分かんないじゃん! 5属性が他人にしか掛からないかもしれないし!」

「俺、帰るわ」

「待って、5属性試してから! ね? それからでもいいじゃん?」

「いや、頑張れ。アドルフ」

「本当に待って! 拗ねなくてもいいじゃん!!」


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