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地下牢の会話

 ラファイアス王国の地下牢、そこには今、タカヤン、ミカリン、ノノミン、シガシガの4人が囚われている。フールと、この時点ではタカヤン達にとって謎の人物メイリス・コタビスらに紋別達の捜索に行ってもらい、4人はその結果を首を長くして待っていた。


 タカヤンは時々来る見張りの衛兵のいない時を見計らい、隣の牢にいるミカリン、シガシガ、ノノミンとこっそり話していた。


「そういうわけで、フールとメイリス……コタビスとかいう謎の人物が紋別達の捜索に行ったって言うんだ」


 タカヤンが壁越しの3人に対して話した。


「そのメイリス・コタビス……さん。 信頼できる人物なんでしょうか?」


 シガシガが尋ねる。


「まったくわからん。フールによるとこの城のメイドなんだそうだ。何がなんだか。第一メイドにそんな能力なんてないだろうに。それともこの世界のメイドは戦闘力を有しているとでも言うのかな。同僚のメイド仲間を引き連れて捜索に行った? 無いよな」


「フールちゃんから説明はなかったんですか?」


「もちろん手紙は書いておいたよ。でもまだ返事が来てないんだ」


 タカヤンの言う手紙とは通信スクロールのことだ。


「そうですか、心配ですね。私達も早く牢を出たいですしね」


「まあ出るだけなら出れるよ。『天使の翼:エンジェルズウィング』を使えばいいんだから」


「なんだぁ。タカヤンさん早く言ってくださいよ。こんなところすぐ出ちゃいましょうよ」


 タカヤンとシガシガの会話を黙って聞いていたミカリンが明るい声を出す。ミカリンもこんな明るい声は久しぶりに出した。


「ところでタカヤンさん、どこにマークしておいたんですか? いきなりラファイアス王国の衛兵とばったりっって嫌ですよ!」


 再びミカリンがとびきり明るい声でタカヤンに尋ねる。


 『天使の翼:エンジェルズウィング』はマーク場所の制限やアイテムの使用場所の制限こそあるが、フィールドや室内など現在いる場所でマークしておけばいつでもそこへ瞬間移動できる。


「いや、俺はどこもマークしてないよ。ミカリンやシガシガは? ノノミンは?」


「え? 私もどこも……」

「私も……」

「え? 何で私を見るの? マークしてるわけないでしょ」


「……」

「……」

「……」


(なんか壁越しに俺が3人ににらまれている気がする……お前らだってマークしてなかったんだろ……)


 だいぶ沈黙があった後、口を開いたのはミカリンだった。


「あっ何か通信スクロールが届きました。誰からだろ……あっ。何々。ちょっと待ってくださいね」


 ごそごそして3人で一緒に通信スクロールを読んでいるようだった。その後コソコソと話す3人。なんか「そうしようか」「そうだね」「そうしよう」とか聞こえてくる。


「へー、誰からのスクロール? 何て書いてあったの? スクロール見せてよ」


 届いた通信スクロールの内容をなかなか教えてくれないミカリン達に業を煮やしてタカヤンが言う。


「え、えっっと、読み上げますよ。メイリス・コタビスさんからです。

――――――――――――――――――

紋別さん達は迷宮ダンジョン

連れて行かれたのかもしれません。


フールちゃんとそのお姉さんが捜索に行ってくれましたが、

まだ連絡がありません。


私達はラファイアス王国の隠れ家で待機します。

――――――――――――――――――

だそうです」


 通信スクロールを読み上げるミカリンの口調はややキツイ。


「それだけ?」


「これだけですよ」


「え? メイドが隠れ家って? メイリス・コタビス本人の事は何も書いてないの?」


「書いてないですよ。メイリス・コタビスって一体何者なんでしょうね? ふふ」


 いたずらっぽく言うミカリン。


「マークしなかった罰に内緒にしとこう」「小田部こたべちゃんがメイリスってことは私達3人が知ってれば問題無いでしょう」「ふふふ」


 隣でそんな会話が行われていたのはタカヤンが知るよしもない。


 脳天気なミカリン達であったが、捜索に行ったフールとフェルトからはその後何日も連絡が無く、進展がないまま牢の中で待ち続けていた。


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