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クリスマスツリー

 メイリスの手をぐいぐい引っ張って歩くフール。


 程なくして城門まで到達する。


 門をそっと開け、中に入る。モンスター達に気づかれた様子はない。というかモンスターがいない。すぐにシーフル達が捜索に向かったであろう地下へと向かう。慎重にゆっくり進む。途中モンスターが数匹殺されていた。戦闘になったのであろうか。


 地下の階層は意外と深かった。メイリスとフールは地下5階まで降りてきた。おそらくここが最下層ではないかと思われる。生存しているモンスターに出くわすことがなく、難なくここまで来ることができたのは幸運だった。透明マントを羽織った2人、透明化しているとはいえ出来ればモンスターとの遭遇は避けたかったので助かる。


 地下奥深くのとある扉の前に立つ。流石にここは今までのようには行かなそうだった。中からドタン、バタン、ガキン、激しい音が聞こえる。どう考えてもここを開けたら戦闘は避けられなさそうだ。だが中の様子がわからない。

 

「メイリスさん、ここは私に任せてください」

 透明のままそう言ってメイリスの手を離し、「いいですか? 開けますよ?」メイリスの返事を待たず扉を開けるフール。


 ……


 ある程度の予測はしていたが、その先は目を疑う光景。予想を超えていた。

 

 目の前には通路、さらに奥の部屋からあふれ出てくるゾンビ、グール、ポイズンスパイダー、ジャイアントラット、ジャイアントバット、ジャイアントアント、スケルトン、ウルフ、インプ、スコーピオン、アリゲーター、ストーンゴーレム、ラミアなど多種多様なモンスター。それが今2人が開け放った扉に向かって重なりながら「ドドドドっ」っと迫って来る。フールの顔にへばりつくポイズンスパイダー2匹、フールの足をつかむグール、フールに巻き付いてくる半人半蛇のラミア。


 とっさに「うぎゃー」「へぎゃー」と叫ぶ2人。フールは体にモンスターをまとったまま、魔法『超炎爆裂:ギガフレイムバースト』を連続で3発放つ。メイリスもほとんど攻撃力のない手裏剣、小刀、撒菱まきびし苦無くないを手当たり次第投げまくる。


 目の前の通路がフールの魔法で業火に包まれる。通路が一面の炎、炎、炎。メイリスの投げた武器もモンスターに届く前に黒焦げになり、その通路のすべてがあっという間に焼け焦げた……かに見えた。


 ……2人が見たくないものがそこにあった。透明マントが焼け焦げ、姿を現して横たわるシーフルとレンジ、そしてなぜかクリスマスツリーが綺麗な状態のままで横倒しになって。ツリーから丸い飾りの1つが転げ落ちてコロコロとフールとメイリスの足元へと転がってくる。


「あ」

「あ」

 いったん2人は開けた扉を閉めた。再び開けたくはなかった。





(……………………)フールの思考は止まっている。





(クリスマスツリー? クリスマスツリー? 何あれ。シーフル? レンジ?)


 メイリスはパニックになっていた。


(クリスマスツリー? あ、あああ、そうか、あれは『生命の宝石:ヴィクティムジェム』で復活したよというサインか。ジョーク好きのシーフルが1回死んじゃったけどキリストみたいに復活しちゃったよっていう。つまり怒っていないってことを言いたくて取り出したアイテム。きっとそう。きっとそう)


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