表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラフィアス・オンライン開発室  作者: 高瀬ユキカズ
フレイタム王国と女王
31/85

3分間の会議

――アイテムの効力が発動する。

 

 周囲の時間が止まる。ネガルとフールが完全に停止しており、タカヤン達のパーティだけが動いている。

 

 超々レアアイテムの『時間停止(強化版):アワーグラス』が砕ける。本来ならば3秒しか止められない時間――正確には極端に遅くなっているだけ――なのだが、それが今は3秒以上止まっている。

 

 このアイテムは公式にはラフィアス・オンラインには存在しないことになっている。このアイテムを使ったプレイヤーが強力な存在になりすぎてゲームバランスを壊さないか、まだテストができていないからだ。


「使っていいか分からなかったけど、ごめん使っちゃったよ」


 口を開いたのはシガシガだった。このアイテムを使ったのは彼女だった。


 確かにこのアイテムの作成者は彼女だが、本サーバーのキャラに所持させているとは思わなかった。今は各自のキャラが本サーバーで所持していたアイテムだけをこちらの世界に持ち込んでいる。


「ちょっと言い訳させてもらうけど、このアイテム時間外にだけ本サーバーでテストしてたんだよ。一般ユーザーがいる時には使ってないからね」


 シガシガが弁解する。


(わかっている。問題はない。そういうテスト中のアイテムは他にもたくさんあるからな)


 そう思った俺が口を開く前にミカリンがシガシガに問いかけた。


「でも3秒以上止まっている感じだけど」


「うん、実はこの『強化版』は3分の設定なんだ。でも実際本当に3分効果あるかわからないよ。この『強化版』は使ったの本当に初めてだから」


 シガシガはそう言った後、続けて早口で話す。


「もうこのアイテム持ってないし、この世界で効果が出るかは分からなかった。効果時間も不安だから急いで話そう。今のネガル様ってやつの話だけど、どうするよ、タカヤンさんとミカリンのことバレバレだし」


「時間が無いみたいだし、ちょっといい? 『誤魔化したり嘘をつく』か、それとも『本当のことを言う』かまずはこの2択だと思う」


 ノノミンが提案する。

 

「よし、それで行こうか、それで多数決か?」


 俺も早口で口を開く。


「偶数だから割れる可能性もあるし、私はリーダーに任せるよ」

「私もタカヤンさんに任せます」

「私も任せる」


 ……


「よし、分かった、本当の事を言ったって信じてもらえない。だから少し信じてくれそうな設定を作るぞ。それでいいか?」


「いい」

「うん」

「わかった」


 俺は少し考えて辻褄つじつまが合いそうな設定を考える。


 …がまったく浮かばない。…ほんとに浮かばない。


 何かいい『言い訳』ない?とみんなに聞こうと思ったその時、3分が経過して『時間停止(強化版):アワーグラス』の効果が切れる。

 

 世界が動き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ