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ラフィアス・オンライン開発室  作者: 高瀬ユキカズ
フレイタム王国と女王
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ネガルの推測

 俺達は今フレイタム城にあるネガルの自室に招かれている。先程までいた市場の路地裏からここまでの移動は王家の秘宝だという『帰還の石:ホームストーン』で一瞬だった。挨拶する間もなく俺達は城の中に転移した。


 女王の部屋というくらいだから豪華な内装や豪華な家具を想像していたが、いたって質素なものだ。


 転移した場所からここへ来るまでしか見てないが、フレイタム城の絢爛豪華さからしたらこの部屋の地味さが引き立ってしまうほどだ。


「ネガル様お招きいただきありがとうございます」


 俺はみんなを代表して挨拶する。

 

「いえ、堅苦しくせず気楽にくつろいでくださいね」


「それにしてもネガル様、何か地味な部屋ですね」


 フールが無遠慮にネガルに話す。

 

「ええ、私は豪華な内装が好きじゃないのよ。何かまぶしすぎて。この方が落ち着くのよ」


 ネガルが続けて話す。


「去年フールちゃんの噂を聞いてラファイアスまで会いに行った時以来よね。フールちゃん元気だった?」


「うん、まあ元気だったけどね。あの時はわざわざラファイアスまで来てもらって悪かったね」


 それで大丈夫か? と心配になる口調で話すフールだが、女王様との会話なんて慣れていないのだろう。

 

「今みなさんのお茶をメイド(ライラ)達に用意してもらっていますので、もう少し待ってくださいね」


「お心遣い感謝いたします」


 俺が言って、ミカリン、シガシガ、ノノミンがペコリと頭を下げる。フールに動きはない。


「さて、お茶がくるまでに少しお話でもして宜しいでしょうか?」

「もちろんです」


「去年フールちゃんのスカウトにラファイアス王国まで行きまして、お兄様、あ、ラファイアス王国のシルフィール3世のことなのですが、そのお兄様のところの預言者ダーリアってご存知かしら」


「ええ、存じております」


「そうですか、そのダーリアが私がまだラファイアス王国に住んでいた小さい頃に、『将来強力な力を持った軍団が突如現れるだろう』と私に言ってきたのです。私が『将来国を守った時に戦力を増強しなさい』とも言いました。私はそれをずっと覚えていました。お兄様は軍備増強なんて興味ないですし、フールちゃんを引き抜こうとスカウトに行ったのも、そういう理由わけなんです」


「なるほど、そうなんですか」


「そして昨日なんですが、ダーリアから私に直接連絡があり、約4ヶ月後に『将来強力な力を持った軍団が突如現れる』というその予言の時が来ると……」


(まさか4ヶ月後に誰かが集団でログインしてくる……何て事無いよな)


 そう思いながらネガルの話を聞いている。


「そして私の前に強力な力を持った者達が現れるから必ず味方にするようにと言われました。そして今日あなた方と出会ったのですが……私はそれがあなた方であると確信しているのです」


 少し考えて俺が答える。


「ネガル様、私達は先程出会ったばかりです。そこまでおわかりになられているとは、恐れながら思われないのですが……」


「いえ、私は確信しております。2年半前にある事件がありました。そこのフール・ライアスさんが解決した事件です。

……

ダーリアの予言が外れた唯一の事件ですが、私はその事件についてちょっとした疑問を抱き調べさせたのです」


 ネガルが話を続ける。


「ダーリアによりますと私の味方になってくれる人達は『いせかい』のアイテムという物を使いこなすようです。ある酒場で不思議な物を使う戦士と魔術師がいたとの目撃例があります。余りに奇妙な光景だったのでハッキリ覚えていたと……その者達は『きーぼーと』とか言う物をいじり、『こんそーる』なる物を使って『いんふぉもにた』と言う物を突然空間から取り出したというのです」


(軽率に行動しすぎたな……)


 俺は考えていた。


「私が抱いた疑問というのは当時ダーリアが予言した悪魔の突然の消失です。

……

ラファイアス王国では上級魔術師という者は今はそれほど数がいません。いればどこにいても噂になるでしょう。フール・ライアスの解決した事件に参加したという人物から聞いた話です。フール・ライアスが戦士と上級魔術師を連れてきたと。その方々は『タカヤン』、『ミカリン』と名乗ったそうです。もしかして、あなた方ではないでしょうか?」


「……いかにも私は『タカヤン』と申します。こちらの魔術師は『ミカリン』。ご挨拶が遅れました。確かに2年半前のその事件に参加しています」


(ここにフールがいる以上嘘もつけないしな、でも酒場の『インフォモニター』の件は誤魔化すか、どうしようか……)


「そうですか……失礼ですがその後あなた方はどうされたのでしょう。責めているわけではございません。あなたがたの足取りが全く掴めなかったのです。これほどの力を持つ戦士と魔術師です。噂にならないはずがございません。まるで消えてしまったかのような……悪魔と一緒に……」


「ちょっと待って、ミカリンさんが悪魔だって言うの? ネガル様でも怒るよ!!」


 黙って聞いていたフールがほっぺを膨らませて声を荒げる。

 

「フールちゃん、違うの、私はこう結論づけました。預言者ダーリアの予言は悪魔ではなく、あなた方『タカヤン』さんと『ミカリン』さんの2人の出現だったのではないか……と」


(やばい、バレバレなのか?)


「ネガル様、さすがにそれは無いよ。2人とも確かに強いけど、悪魔の力までは持ってないと思うよ。確かに持ってるアイテムは魔王級だけどさ……あ、あれ?」


(やばい、フールまで疑いの目をこちらに向けてる。開発室のリーダーとしてのこの場での答えは何が正解なんだ? あ、やばい、ミカリンにもシガシガにもノノミンにも見られてるし。ちゃんと説明するべきか、3人と相談するべきかそれともどうすryういおp@「)



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