フレイタム王国とフールの姉
フールの姉、フェルト・ライアスは召喚師になっていた。
「お姉ちゃん剣士はどうしたの?」
とフールが聞いたら、
「飽きたからもうやめた」
とフェルトは返事をした。
今フールと俺こと戦士のタカヤン、魔術師のミカリン、僧侶のシガシガ、アサシンのノノミンはラファイアス王国の東方に位置する隣国フレイタム王国にやって来ている。
王国にあるフールの姉の家にお邪魔しているところだ。
少し広めの20帖くらいはありそうな部屋の壁にはゴーレム、ゴーレム、ゴーレム。石のゴーレムがずらりと取り囲んで並べられている。その総数28体。微かに動いているようにも見えるそのゴーレムの頭は天井にぶつかって窮屈そうだ。
そのゴーレムに囲まれながらフールの姉フェルトの出してくれたお茶を俺たちは飲んでいる。
「フール久しぶりね、私やっと『ゴーレムちゃん』作れるようになったんだよ……天才の私が半年かかっちゃったよ」
「お姉ちゃん剣士の学校は?」
「ああ2ヶ月でやめた」
フールが姉の言葉に呆れている。
「それよりフールのお友達を紹介してよ。あんた友達って初めてじゃない?」
「そんなことないよ! 『リーちゃん』とかいるよ! えっとまず上級魔術師のミカリンさんと……」
フェルトの言葉に少し膨れながらフールが俺たちをフェルトに紹介してくれた。やはりミカリンに敬意を持っているのか好意を持っているのか、ミカリンの事をやたら詳しくフェルトに話す。
「へー、上級魔術師さんか。フールなんかよりは強いんでしょ?」
フェルトがミカリンに問いかける。
「え、いえフールちゃんにはかないませんよー」
「でもミカリンさんはお姉ちゃんの使えない『広域強化火球魔法:ヘルファイア』使えるんだよ! 私も使えるし!」
「私が使えないのってヘルファイアくらいじゃない。他の上級魔法は全部使えるんだからさ。第一あんな魔法使う時ないからね」
「魔法がたくさん使えたって魔力が小さきゃ意味ないよ。私もミカリンさんも『これ』があるんだからね。へへん」
そういってフールはフェルトにネックレスを見せびらかす。
フェルトは目を細めてそれを見た後フールに返答する。
「ふーん。それね……それつけて私と同等ってとこかしらね」
「ふん! お姉ちゃん『これ』の力知らないからね!」
「大体わかるわよ。言っとくけど、そこのミカリンさんの足元にも及ばないわよあんた。私の3倍位強いよその子」
フールがそれを聞いて変な顔をする。
「いえいえ決してそんなことは無いです。フールちゃんの方がすごいです」
ミカリンが否定をする。
「そうか、フールには内緒なのかな? ふふ」
「何いってんのお姉ちゃん」
「魔力とかじゃなくて、ミカリンちゃんの装備尋常じゃないのよそれ。あとお連れさんのも。タカヤンさんの鎧なんかもかなり魔法で強化されてるよ」
フールに殺されかけた後、俺達は油断していたことを自覚して見栄え重視の装備から今のレベルで装備できる最高装備に変えている。恐らくこれならフールが持つ最高の魔法でも耐えられるだろう。
ミカリンも指輪は好きじゃないと言っていたが、仕方なく魔法防御、物理防御の指輪、魔力強化の腕輪をしている。ネックレスはフールとお揃いのままでいたいそうで弱いもののままだが、腕輪は「かわいくないから装備したくない」と言っていたレアアイテムの『最高級魔強輪:エクス・デーモンズブレス』を嫌々装備している。確かに俺でも装備したくないほど禍々しいデザインの腕輪だ。
「なんで私が分かるかって言うと、フールあんたと違って高級な物をいろいろ見てきたからよ。確かにそのネックレスは凄いけど、世界にはあんたの知らないもっと凄いものっていろいろあるの。まあ私は持ってないけどね」
フールは機嫌の悪い顔をしたまま何も言わない。
「フールあんた物理防御も強化しないと、いつか死ぬよ。ミカリンちゃんみたいに魔法で物理攻撃防御の特性を持たせたローブなんかいいかもね」
「そこまでわかるのですか?」
おもわず俺は口を開いてしまった。
「正確には鑑定してみなきゃわからないけどね。お客人には失礼かと思ったけど、ここへ来るのが見えた時に魔法をかけてあなた達の強さを調べたの。身を守るためだから許してね。万が一戦闘にでもなったら敵の強さを知らないと死ぬでしょ。まあ戦う気はないけどね」
「かまいませんよ。ところで俺たちの装備をもっと強化しようと思うのですが、この国で手に入りますかね?」
「もっと強化しようとしてるの……この国じゃその装備より高級なものって……王国の宝物庫にあるものくらいかしらね。そこら辺の武器屋じゃ……無理でしょうね」
「そうですか……残念です」
「魔王でも倒そうっていうの? フールあんたの友達は」
フェルトがケタケタ笑った。




