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理屈じゃない 最終話

 5時半……とりあえず遅刻は免れたけど……。


 中央公園のどこだ? そう言えば場所を決めてなかったぜ……。


 こんな片田舎の町の公園だけど、学校の敷地くらいはあるからな。広すぎてまず探すところからだぞこれ。


 とりあえず一番メジャーな噴水前に来たけど……ちっ。カップルが多くてイライラするぜ。


 俺も……津栗さんと付き合うことができたら、あんな風にやたらと肩寄せ合って座ったり、手を繋いで歩いたり……色々出来たりするのか……?


 いや、彼女の場合、普通のデートっていうか、カップルがしそうなこと、そう簡単にはさせてもらえそうにないな……。


 何するにしても、「どうして?」って言われそうだ……。


 ――いや、何を油断してるんだよ俺。まだ何にも進展してねえんだぞ。


 今日だって呼び出されはしてるけど絶対デートじゃない。何せこのノートを渡すだけだし。


 でもこのノート欲しがるってことは向こうも俺に少しは興味持ってくれたのかな?


 いやいや、油断してはダメだ。なにせこの中身でもまた色々理由を求められるぞ。


 きっと「どうして君はからあげが好きなのだ?」とか。


 って、渡す前からアレコレ考えても仕方ねえ。まずは津栗さんを探そう。


 今何分だ。そういやここには時計があったよな――。


 ……え!?


 ま、まさか、あの時計の柱に登ってオペラグラス片手にキョロキョロしてるのって、津栗さん!?




「――早かったのだな、やっぱり」


 地上3メートルはある時計から降りてきて、よくそんな平然とした態度で挨拶できるよな。こんだけ周りがざわついてるってのに。


「休日の公園だからな。人が多くいて静かな方が不自然だぞ」


 いやそうじゃなくて。時計に登って変に目立ってたからだろ。


「私のミスだ」


 は?


「細かい場所まで指定するのを忘れてたからな。一番見晴らしのいい場所はあそこだと考えて行動したのだ」


 ……ていうかよく登れたね。


「木登りは昔から好きだからな。どこに足を置き、どこを掴めばよいか考えるのが楽しい」


 時計の柱は疑いようもないくらい真っすぐ1本だから関係ないと思うけど。


 ていうか、正直こんなこと言うのアレだけど、そのスカートの短さであんな高いところ登ったらダメだと思うよ。


「どうして?」


 時には自分で考えよう!? 俺が口にしたら俺が社会的に終わりそうだから!


「は? ……あぁ、パンツのことか」


 言っちゃったよ!


「君を見つけられるなら安いものだ」


 俺なんかより全然価値あるから! いやこれもなんか変態チックだけどとにかく自分を安く見積もりすぎないでくれ!


「……ちなみにだが、見えたのか?」


 え!? あ、いやその――。


「――あれ? もしかして津栗じゃね?」


 は? ――え、誰だこのカップル。


「えー、リュウキだれこの女?」


「中学生の時の同級生だよ。ま、全然話したことなかったけど。パッと見地味だし、なんか不気味だったんだよな。話しかけても理屈臭くて女子からは嫌われてたし」


「えーでも彼氏といるじゃん? 意外とモテたんじゃないの? 顔は悪くないし。まさかリュウキ今更一目ぼれとかじゃないの?」


「同級生で再会したから一目ぼれにならねーから。でも確かに雰囲気変わったから悪くねえじゃん」


 ……なんだテメェ。


「あ? てめぇこそ誰よ。ガンくれやがって」


 生まれつき目つきが悪いだけだ。


「え、まさかこの津栗の彼氏とか!?」


 彼氏じゃねえよ。……残念ながらな。


「はぁ? じゃあお前まさか津栗のこと好きなわけ? うわ変わってるぅ」


 別にお前みたいなクズに変わってると思われても全然気にしないけど。


「あれ? マジギレ? つーかさっきからケンカ売ってんの? 大丈夫か、見たとこ全然ケンカとか無縁そうだけど」


 テメェも髪染めてるだけのモヤシにしか見えねえけど、とりあえず一つ聞きたいのは、大して仲良くもねえくせになんで話しかけてんだ?


「は?」


 お前本当は津栗さんのことに興味あったんだろ? じゃねえといちいち中学の時の話したこともねえ同級生に、町中で会ったからって話しかけるか? 田舎の学校でもあるまいし。


「確かに……リュウキ、どういうこと?」


「は、はああ!? ぜ、全然そんなことねえし! テメェマジでぶっ殺す!」


「リュウキここではやめて! 通報される!」




「――……リュウキ……」


「あ、あが……あががが…………」


 人を勝手に弱いと思ってる段階で、お前大したことないぞ。テメェから殴ってきといて情けねえな。パンチ一発顎に当たっただけだろ。


「直正くん、意外とやるのだな」


「な、なおみゃひゃ……お、おまへ……まひゃか、あの……ロンリーウルフ直正しゃん!?」


 その通り名やめろ! 俺が名乗ったわけでもねえし。


 とにかくいいかテメェ。それにそこの女!


「ひゃい!」


「はは、はい!」


 二度と俺たちに近づくな。


「「はい!」」


 それと、津栗さんに謝れ。


「「は、はい! すみませんでした!」」


 どうする津栗さん。こう言ってるけど。


「その前に一ついいか? りゅうきくん」


「は、はい……」


「……君、誰?」




 ――アッハッハッハ! こいつは傑作もんだ。あの男、あんなテンションで来てたくせに自分は覚えてもらってないんだもんな。


「興味がないことは覚えないのだ私は」


 覚えない、か。……津栗さんらしいな。


 ……あんなやつらの言うこと、気にする必要、ないからな。


「ロンリーウルフ直正くん……」


 この流れでその呼び名使う!? ていうかやめてくれ恥ずかしいから。


「どうして?」


 ダサすぎてキツいからだよ! 別に俺が呼べって言ったわけじゃないからな。


「どうしてそんな呼び名がついたのだ?」


 さっきも言ったけど俺、目つき悪いからさ。昔からケンカよく売られてたんだよ。でも別にその不良とかになりたいわけでもなかったし、そういうグループでつるむのもめんどくせぇから、いつも一人で……って、このノート見せる前に知られちまったな。


「……そうだな」


 こりゃ、津栗さんのことは諦めるしかないか。


「どうして?」


 ……こんなやつのこと、好きになれねえだろ?


「それは私が決める。私が誰を好きになって、誰と恋をするのかを決めるのは私だ」


 津栗さん……。


 ……え、待って。お、俺ってまだチャンスがあるの!?


「いつ私がチャンスがないと言ったのだ?」


 い、いやだって、あの時の告白の流れ的に、普通はもうダメな感じだったから。


「確かに理由は訊いたが、ダメとは一言も言ってないぞ。でも同時に、良いとも言ってないが」


 お、おぉうふ……。こ、これは喜んでいいのか?


「まだダメ。まだ答えてくれてないだろう?」


 一目惚れの理由か?


「あぁ」


 でもそうだな。一目惚れ――なんて言葉でくくるわけにはいかねえ。


「……どうして私のことが好きなのだ?」


 これは……そう、もう運命だ。


 俺はとにかく、津栗さんが好きなんだ!


 今度は、なんとなくじゃない。


 もっと君のことが知りたい。


「それはノートに書いてあっただろう。読んでいないのか?」


 あぁ。


「……興味がなかったか?」


 いや。めちゃくちゃ気になった。でも、あれを読んでから津栗さんの疑問に答えると、意味が変わってくるだろ? だから読まなかった。


 それに過去のことじゃねえ。いや、過去のことももちろん知りたいけど。


 だけどそれだけじゃない。それなら思い出話を聞くだけで終わる。


 今までの津栗さんを知ったうえで、これから先、津栗さんがどんなことで笑ったり怒ったりするのか、とか、隣で見ていたい。


 楽しいことも、辛いことも、一緒に感じたい。俺の眺める景色に津栗さんにいてほしい、逆に津栗の見ている世界に、俺がいたい!


 結局は俺のエゴだよ。だけどそんなことは分かったうえで、それでも俺は津栗さんのことが好きだ。


「……そう、か」


 津栗さん……?


「悪いがこちらを見ないでくれ」


 ……な、泣いてる?


「……ええいっ。私と一緒にいても楽しくさせてあげるつもりはないぞ」


 あぁ、大丈夫。もう十分面白いから。


「何だそれは。……でも、わかった」


 え、そ、それじゃあ――。


「とりあえず次に会う時までにノート(それ)を読んでおこう。それに君も私のノートをまずは読んでくれないか? 次はそのノートの中から私に関するクイズを出題する。全問正解できなければもうチャンスはないと思え。じゃ」


 …………。


 いやまだなんかああああああああああい!

最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました!

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