第7話 料理の天才では?
翌朝、俺はカーテンから差し込む日差しで目を覚ます。
珍しくアラームが鳴る前に起きれたなぁ、と眠い目を擦り、時間を確認する為スマホを開くと、08:02という数字がデカデカと表示される。ちなみにウチの学校の朝礼開始時間は08:20分から。
.......あえまってやばい。普通に寝坊した。
「うそだうそだうそだ」
俺はすぐさまベッドから降り、制服に着替えてバッグを手にとり下に向かう。
なんで誰も起こしてくれないんだよおおお!!と思ったが、そう言えば今日は母さんも父さんも朝早いと言っていた気がする。もうどうでも良いけど。
「いやホントにやばい」
急いで歯を磨き、寝癖を直した俺は飛び出す勢いで玄関をでる。俺の家から学校までは最速でも13分はかかる。
現在時刻は08:06分。間に合うかギリギリのラインすぎんだろ。
◇
「はぁ、はぁ」
火事場の馬鹿力で自転車を漕いだ俺はなんとか朝礼開始まで30秒前に教室へと入ることができた。
死にかけのセミみたいな感じになっちゃった。
朝礼が終わった後、俺の元に拓斗がやってきた。
「おっすー悠真。なんで今日来るの遅かったん?」
「いや普通に寝坊したわ」
「ふーん、珍しい。てかサボれば良かったのに」
「サボったら親に殺されるわ。成績も下がるし」
「そんなものかねぇ」
「そんなもんだろ」
お前みたいな天才タイプには分かんないだろうな。俺みたいなバカは授業聞かないとテスト解けないんすよ。
「てかさ、俺休みの間に呪術廻戦一気見したんだよ」
「呪術廻戦か、どうだった?」
「めちゃくちゃおもろかった、五条先生カッコよすぎ」
「五条先生か。俺は宿儺好きだなぁ」
あの圧倒的な強者感が良いんだよな。
斬撃っていうシンプルな術式もかっこいいし。
「そういえば拓斗、関係ないけど今日数学小テストするってよ」
「それは本当です?」
「まーたコラだよ...」
◇
午前の授業が終わり、昼食の時間になった。
「どーすっかな」
寝坊したせいで弁当忘れたんだよな。
拓斗はサッカー部の友達と食うわとか言ってどっか言っちゃったし。
母さんから『昼食なら大丈夫よ』という意味不なメールが届いてるし。
購買でパンでも買おうかな、と席を立とうとした時だった。
「ねぇ。悠真」
彩花が声を掛けてきた。
なんか、顔赤くないですか...?
「彩花?どうかした?」
彩花と喋るのはあの日以来だ。普段はNINEでしか喋らないのに。
「お弁当忘れたんでしょ?おばさんから聞いたわ」
そういうことか。でもマッマ...!わざわざ彩花に言わなくても...!!
「俺購買で買うつもりなんだけど...」
「それなら、今日間違えてお弁当多く作っちゃったから」
2つの弁当を持つ彩花。くれるならありがたい。ありがたいんだけど気まずい...!
「いや申し訳ないし。大丈夫だよ」
「はぁ、私は大丈夫って言ってるでしょ。さっさと食べるわよ」
そう言って、彩花は隣の机を俺の机にくっつける。
「あらやだ強引」
「はいはい。ほら、食べましょ」
彩花はいただきますと呟き、弁当を食べ始める。
そ、それじゃ俺も食べるか。
「いただきます」
さて、まず何から食べようか。弁当のラインナップは唐揚げ、卵焼き、きんぴらごぼう等が入っている。全部美味そうだな...。
「いやなんで弁当と睨めっこしてんのよ」
「あ、いやどれから食べよっかなって」
「そ、そう」
そして、結局最初に選んだのは卵焼き。ほら、卵焼きを食べれば料理人の腕がわかるって聞くじゃん?。知らんけど。
俺は箸で掴んだ卵焼きを口に入れる。
「えうんま」
めっちゃくちゃふんわりしてるし、俺が好きなちょっとしょっぱめな感じ。
「マジの本当に美味い。」
きんぴらごぼうも唐揚げも美味しい。彩花って料理の天才では...!?!?
「そこまで褒めなくても良いのに」
「いやいや、控えめに言って毎日食べたいくらい。」
「わかったからそんな褒めないでよ...恥ずかしいって...」
顔を赤くして照れる彩花に俺の脳はフリーズする。
わーお照れてるぅ。このレベルの美人が照れたらダメでしょ。破壊力抜群すぎ。
「褒められちゃった♪」
「ん?なんか言った?」
食べるのに夢中になり、聞き流してしまった。
「いや?なにも?ま、まぁ。また今度作ってあげるから」
「よっしゃー!」
こんな美味しい料理をまた食べれるとは...感謝感激。
そんな俺を見てふふ、と微笑む彩花。
「ほんと、そういうちょっと子供っぽいのは変わらないんだから」
その後、親に叱られるか不安でビクビクしたが、意外にもそこまで怒られず、『彩花ちゃんの料理どうだった?』と聞かれただけだった。
ゲームをしてる俺は気づく。
「あれ?てか彩花にもっちーさんのこと聞けてなくね?」
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まじでごめんなさい。体調悪すぎて寝てました次回更新は明日の19時5分です!寝てたら1時間遅れます!気をつけまずず!