第6話 どうええええええ?!
「どうえええええええええええええええええ?!?!?!」
スマホに映された画面を見て思わず叫ぶ。
下の階にいる母さんから、「うるさい!!!」と注意されるが今のは許して欲しい。
だって、登録者が1日で2万人も増えたのだから。
いや、えぇ...こんなことある?いや1日だよ?なんでだよ...
原因を突き止めるため、トゥイッターを開いて検索を掛ける。
結果、一昨日行なった配信の切り抜きがバズっていたのだ。
【配信者さん、チーター相手に発狂&通報連打してしまうww】というタイトルで。
コメントでは、『いやwチーター相手にここまでキレる奴初めて見たわw』
『通報連打し過ぎww』『このayって人くそおもろいw』『てかこいつ普通に上手いのなんなんw』とか色々書いてあった。
いや嬉しいよ?嬉しいけどこのバズり方は意味不明っていいますか。
とにかく、今日も配信する予定で、予定時間もあと少しな為、pcを開いて準備を始める。
「う、うーん。なんて言えば良いんだろ...」
とりあえず、登録者7万人ありがとう!って言いたいんだけど、次なんて言えば...。
そんなことを考えていると、時間が来たので、配信を開始する。
「あ、あー。聞こえる?」
『だいじょーぶ』
『いつも通りイケボ(笑)だぜ』
『てか2万人増えたね』
「そう!皆んなまじで7万人ありがとう!いやホントビビったわ。弟と映画から帰ってきて見てみたら2万増えてるんだぜ?」
『草』
『切り抜きめっちゃバズってたしなw』
「ね!いやまじで切り抜きしてくれた人ありがとう!チュッ♡俺からのサービス♡」
『キモ』
『きしょ』
『登録解除しよっかな』
『ここ切り抜きで』
「ごめんて...」
思ったより言われて心はズタボロ。涙ポロポロ。
俺のキスはダメでしたか...。
気を取り直し、ゲームをキャストする。
「で、今日はモンブレしてくか」
『おおおお!ついに!』
『タマタマヨツネ狩るんですか?!』
『激戦王ラ・オウに向けて装備集め?』
「おぉー皆んな勘が良いねー。今言われたこと全部するわ。それじゃ今日も一狩り行きましょ!!」
そこからの俺のプレイは酷かった。
「あぁもう!泡ウザすぎぅぅぁ!」
「いやぁぁ!ダシアさんやめてぇぇ!」
「なんで脚だけでねぇんだよぉ!」
「よっしゃ!脚でた!はぁっ?!ゲーム落ちたんだけどぉぉぉ?!!!」
とまぁ、タマタマヨツネにボッコボコにされたり、欲しい素材が異様に集まらなかったりで発狂したりと騒がしい配信になったと思う。
もっちーさんにも、『あの冷静プレイはどうやってやってたんですか...w』とか言われちゃったよ。恥ずかしぃ。
◇
数時間後、配信を終えた俺は一昨日の配信を編集していた。
「あ、バズシーン」
う、うーん。確かに発狂と通報連打は面白いかもしれないけどあそこまでバズらんだろ。
これを機に10万目指したいな〜。
ショート動画とか上げたら伸びるのかね。なんて思いながら作業を進める。
「お?DM」
誰からかメッセージが届いたようなので開いてみる。もしかするとコラボのお誘いだったりして〜♪
「えーとなになに?Youは素晴らしい!私と一緒にこのワールド経済を回していこう!今すぐ口座番号を打ち込んで!お金を振り込むわ!...だって?」
いやどちゃくそスパムメールやないかい。コラボのお誘いかと思ったじゃねーか!
その後、ある程度編集が終わった俺はベッドの上で考え事をしていた。
以前、彩花のノート写真の端っこに映った俺の配信画面ともっちーアカウントがずっとずっとずっと気になる。
ピントがあっておらず、超ハッキリとは映っていなかったが、あれは俺の配信画面だったと思う。多分、絶対...いや多分!
明日、本人にこの事を聞いてみるのも良いのかもしれないな。
「おっと、もうこんな時間か。寝よ。」
電気を消し、瞼を閉じた俺は数分もしない内に眠りについたのだった。
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次回は明日の19時5分更新です!