第5話 ナンパと美少女
ある日の休日。俺は勇希と映画を観るためショッピングモールへと来ていた。
「いやまじ迷探偵アホナン楽しみだわ」
「わかる。主役がおやっさんは熱い」
俺らは会話しながら映画館のある階へと移動する。
「飲み物買ってくるけど何が良い?」
「メロンソーダで!!」
「おけ。じゃチケット頼むわ」
「へいへい」
二手に分かれ、俺はドリンクを買う為列に並ぶ。
てかポップコーンって買う派と買わない派で分かれるよね、ちなみに俺と勇希は買わない派。
注文してから数分後、メロンソーダとコーラを受け取り、チケットを買いに行った勇希の元へと向かう。
「あれ?アイツどこいった?」
周りを見渡してみるが勇希はいない。
メールを開くと『ごめんトイレ行く』の文字とスタンプが届いていた。
まだ入場時間には余裕があるので、どこかに座って待っていようと席を探すと、ある光景が目に止まる。
「ん?」
映画館ロビーの端っこに一人の女性とそれに群がる男達。恐らく家族では無いだろう。見た感じ女性もめちゃくちゃ嫌がってる。十中八九ナンパだ。
再びメールを開き、『俺もちょっと遅れる』と勇希に送り、女性の方へと歩き出す。
◇
「ねぇ〜、いーじゃん?俺らと遊ぼうぜ?」
「そうだって。俺らと遊んだ方が楽しいよ?」
「え、嫌です」
「そんな事言わずにさぁ〜」
差し伸べてきた手を払いのけ、はぁ、とため息を吐く。
めんどくさい。まさかナンパされるなんて...。チャラいし、なんか香水臭いし。金髪似合ってないし。鼻毛でてるし。やばいちょっと笑いそう。
「だから、嫌ですって」
「まぁまぁ、行こうぜ?」
「きゃっ」
強引に腕を掴まれる。流石に相手は男子で体格もデカい、抵抗はできないだろう。
周りに助けを求めるしかない。
「ごめん!待った?」
すると、ある男性が駆け寄ってきた。この人達の知り合いなのだろうか、私は更に警戒心を強める。
「いやアンタ誰?」
どうやら他人らしい。金髪は腕を離して彼を睨みつけるが、彼はその視線に怯まず、私の前に立つ。
「この子の彼氏だけど?」
「はは!こんな奴が彼氏?」
「そうだってば、てかそろそろどっか行ってくんない?」
「は?なに?殴られたいの?」
金髪の目つきが鋭くなる。
「嫌だよ。てかほんとにめんどいし早くどっか行ってくれ」
「お前マジでうざいわ。まぁ誰もみてねーしな」
次の瞬間、金髪が腕を振り上げた。
「いや、ここ普通に監視カメラあるからな?」
彼は天井に設置された監視カメラに指を指す。金髪はカメラを見た後、ちっと舌打ちをして仲間と行ってしまった。
「大丈夫だった?」
「は、はい、助けて頂きありがとうごさいました」
「ちなみに一人で大丈夫?」
「はい。待ち合わせしてるので...」
「それなら良かった」
ほっ、と安堵する彼。
「あ、あの——」
言葉を選びかけたその瞬間、横から明るい声が飛んでくる。
「いや兄ちゃんなにナンパしてんの?!」
声の方向を向けばまた別の男性が立っていた。助けてくれた彼にどことなく似ている。兄ちゃんと呼んでいると言うことは弟だろうか。
「ナンパじゃねーよ」
「あ、そうなの?じゃ、もう入場できるし早く行こ」
「わかったって。では、お気をつけて」
「あ、あの!名前教えてもらっても良いでしょうか?!」
「あぁ、浅瀬悠真です」
「浅瀬さんですか。助けてくださり、ありがとうございました!」
私はぺこり、とお辞儀する。
そうして、彼らは入場ゲートに行ってしまった。
なにかお礼でもできたら良かったな。
◇
「うま。で、なーんであんな可愛い子と一緒にいたの?」
スクリーンまでの廊下。メロンソーダを一口飲んだ勇希がニヤニヤしながら俺に訊ねる。
「いや、ただ困ってたから行っただけだよ」
「ふーん。兄ちゃんらしいね」
なんだよそれ、と微笑み、スクリーンに入場する。それにしてもあの子めっちゃ可愛かったなぁ。でもあの金髪はめっちゃ怖かった、殴られそうだったし。
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あとがき
お久しぶりでふ。こんにちはこんばんはこてです。GW最高ですね、歴戦王楽しかったです。いや別に?モンハンにハマったとかは無いですよ?えぇ。