第4話通報通報通報通報
「やっほーみんな。聞こえてる?」
コメント欄は『聞こえてるー!』という文章で溢れかえる。
「うし。じゃあ今日は今まで配信してなかったビークックやってくわ」
ゲームの画面をキャストして、マッチの準備をする。
「えーと、ランク行こうと思うんだけどどう?」
『ええやん』
『ayの実力気になるw』
ランクマッチとは自分と同じ実力帯の人達で行う通常マッチより難易度が高い試合だ。
俺はランクモードを選択し、マッチ開始のボタンを押した。
◇
ビークックの試合は計40人で始まる。プレイヤーは自分の好きな所に降りて物資を集め、別のプレイヤーと戦闘して最後の1人になったものが優勝するというルールだ。
マッチ開始から15分が経ち、初動に勝った俺は物資を集めるために別の街で散策していた。
「お、敵発見」
一件家を漁り終え、次の家へと移ろうとした瞬間、外を走っている敵を発見。
『見つけるのはや!』
『今の内に攻撃できるんじゃね?』
『敵気づいてないしw』
とりあえず、先に敵を見つけることができたのは運が良い。このまま奇襲をかければ結構なダメージを与えれるだろう。
武器を取り出し、照準を合わせて発射する。奇襲に対処できず、シールドを割られた敵は建物に入っていった。
「シールド回復したいよねぇぇ???」
『うぜぇw』
『普通にエイム良いの草』
『一瞬でシールド割るじゃん』
『良い煽りw』
シールドとは、プレイヤーのHPを守る為に存在するバリア的なものだ。回復できるが、そのためには少しの時間が必要。更に、回復をしている間は攻撃やダッシュなどの動きができないためどうしても隙が生まれる。
そのまま突入すると俺の予想通り、敵は回復を開始していた。無防備なところを攻撃し、撃破する。
「よしよーし、良い感じに物資揃って来た」
しばらくして、残りの敵はあと4人。現在のキル数は11。ほーん、やるやん俺。
『キル数エグくね?』
『ランクで11はすげぇ』
「俺今めちゃくちゃ調子良いわ〜、強すぎぃ〜」
『調子乗りすぎで草』
『負けちまえww』
「さてと、最後の敵倒して優勝しちゃおっかなぁ〜」
そう言って、敵を探しに行こうとした時だった。
パシュン、と音が聞こえたかと思えば次に映るのはリザルト画面。
「はぁ?」
あまりにも一瞬の出来事で頭が追いつかずフリーズする。
『wwwww』
『フラグ回収乙w』
『綺麗に抜かれてて草」
「え、あ、これって、まさか...」
俺を倒した敵の観戦画面に移ると、吸い付くようなエイムで他の敵をあっという間に倒してしまった。こいつ...まさか...
「チーターかよ...」
チーターとは、ゲームプログラムを不正に改造して、有利に進める行為を行うプレイヤーのこと。
大体のオンラインゲームでのチートの使用は禁止されており、使うプレイヤーは居ないはずなのだが、一部の奴らは大金を叩いてまでチートを購入してゲームを破壊する。控えめに言ってやろう、◯ね。
「通報通報通報通報通報通報通報通報」
『草』
『通報するスピード早過ぎ笑』
「コイツ!俺の!初陣を!よくも!」
『めっちゃキレてて草www』
『まぁ調子良かったもんねw』
『とりあえず落ち着けww』
「うぅ。そ、そうだな」
冷静さを取り戻した俺は一旦ロビーに戻り、視聴者と先程の試合の感想を言い合う。
◇
あれからもランクに数試合程潜り、気づけば時刻は1時。やめるには丁度良い時間だろう。
「んじゃまぁ、今日の配信は終わろっかな。今からは感想タイムということで。」
『おけ』
『チーター戦おもろかったよw』
「あいつマジ許さんからな。絶対垢BANさせてやる」
『まだキレてて草ww』
『切り抜きやなw』
また2、3個ほどのコメントに反応し、そろそろ締めようと最後のコメントを探すと、ある一つのコメントが目に入る。
アカウント名は、もっちー。そう、中身幼馴染疑惑がある人物だ。いや幼馴染が自分の配信見てるとか普通に死にたくなるからね?ほんとに。
『配信お疲れ様でした。チーター戦めっちゃおもしろかったです。てかFPS系のゲームも上手だったんですね!?』
「ありがともっちーさん!まあちょっとやってる程度だけどね。他の実況者に比べたらまだ下手くそな方だよ」
うぅむ。もっちーさんが彩花ってどうしても信じれないんだよなぁ。
それからしばらくし、無事配信を終えた俺は少しだけ動画編集して眠りにつく。
だが、この時の俺はまだ知らなかった。
先程の配信の切り抜きが既にバズり始めていることを。
おい、ヒロイン全然でてこねぇじゃねぇかと思った方、マジでごめんなさい。学校でないと彩花ちゃん出すタイミングないんですよネェぇぇ、でも頑張って書くんで応援してね。次回は弟君とのデート!いやラブコメでヒロインより先に弟とデートとは???なんか意味わかんないですね。まぁ新キャラも登場しますんでね、はい。
あとあと!!!一番大切な事!
星とブクマお願いします。